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首里城で今、何が行われているのか追いかけ続ける「復興のキセキ」です。

正殿の再建に必要な木材の加工と工事中の正殿を雨や風から守る「素屋根」を作るための準備が進んでいました。

また、寺崎アナウンサーが、一般の人も参加できて復興の後押しにもなる「ボランティア」を体験してきました。

寺崎アナウンサー「私個人的には2008年、小学校4年生の時以来の首里城です。その時は色鮮やかな建物に魅了された観光客の1人でしたが、今回は再建のボランティアとして携わることができる。とても楽しみです。それでは15年ぶりの首里城、行ってきます」

正殿の復元は4年後の完成を目指して、日々工事が進められています。テーマは「見せる復興」です。

漆塗りの下地に姿を変えて”ボランティア”再建に一役

ところどころ黒くすすけた「赤瓦」、パーツがバラバラになってしまった「龍頭棟飾(りゅうとうむなかざり)」、たくさんのひび割れが目立つ「龍柱」、どれも当時の火の手の強さを今に伝えるものです。

衝撃的な火災を忘れることなく、復興途中の首里城もしっかり胸に刻んでもらおうという工夫が見学デッキに凝らされています。

寺崎アナウンサー「2023年2月17日現在、どんな状況なのかというと、本来ならば目の前の視界が開けて正面には美しい正殿が見えるのですが、現在大きな建物が建っていて、正殿の絵が描かれています。かなり前とは違った光景になっているんですね」

正殿と南殿、北殿に囲まれた広場「御庭(うなー)」には、今木材倉庫が建てられています。中では、正殿の柱に使う535本の木を加工する「製材」が始まっています。

漆塗りの下地に姿を変えて”ボランティア”再建に一役

奈良県から調達したヒノキは、大きいもので長さおよそ9.5メートル、重さ800kg近くあります。去年10月から今月にかけてこれまで256本(今月までに県調達分90本・国調達分156本)が沖縄に運ばれてきました。

流れはというと・・・まず、木に含まれている水分量を測って、どこに節があるかを確認します。

節はできるだけ表に見えないよう据え付ける位置や向きを調整することが重要です。柱や梁、板を無駄なく取り出すために、切る方向や位置、手順を決める「木取り」という工程を経て、大型の機械で木材を削っていきます。

切り出された木材にはさらなる加工や実際の工事に使うための目印を付ける「墨付け」という作業が繰り返されていました。

製材された木材で作られる骨組みは、来年初めごろ出来上がる予定で、その時に正殿の骨格が見えてきます。

漆塗りの下地に姿を変えて”ボランティア”再建に一役

また、正殿を造り直す場所では、作業中に雨や風から守る「素屋根」の土台が完成し、骨組みを組み上げるための準備が行われていました。素屋根の建設には半年ほどかかるということです。

この日は平日にもかかわらず、国内外からの多くの観光客でにぎわっていました。

首里城の復興をより身近に感じてもらうための1つにボランティアがあります。現在は、正殿の柱や壁面の美しい朱色の輝きを生み出す、漆塗りの原料となる「ニービの粉」作りが行われています。

神奈川県から参加した人「復興という部分でかなりの年月がかかると報道でも聞いたので少しでも貢献できるなら36それは良いことなのかなと思ってやろうと思った」

東京から参加した人「主人が沖縄(出身)なので何か手伝えるならと思って簡単に割れるかなと思ったけど結構難しい」

1月13日に始まってきのうまでに8200人が参加しています。

寺崎アナウンサー「まずニービっていったい何ですか?」

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「ニービとは沖縄地方で見られる砂などからなる地層のことです」

粒の小さな砂でできた地層を沖縄では「ニービ」と呼んでいます。中でも特に固い部分を「ニービヌフニ」と言って、平成の復元の時に正殿の柱を支える礎石に使われていました。

4年前の火災で大きなひびが入るなど損傷してしまい、処分が検討されましたが。

漆塗りの下地に姿を変えて”ボランティア”再建に一役

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「この石材については県内でも産地が限られているいる貴重な石材だし細かく砕いて原料とすることとなりました」

柱を支える礎石から漆塗りの下地へ役目を変えてよみがえることになったのです。正殿の漆塗りには29段階もの作業があり、その中で、ニービは下地の原料として活用されます。

必要な量はおよそ7トンと推定されていて、ボランティアで砕いた礎石がその中に組みこまれるため、「平成の復元」の思いを「令和の復元」につなげる大事な役割です。

寺崎アナウンサー「それではニービの粉作りを始めます!」

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「全部をまとめて突くと固くて割れませんので、一つずつ」

寺崎アナウンサー「ちょっと触ってみても良いですか?もうガッチガチですね」

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「コンクリートより固い石材なんです1つずつ細かく細かくしてもらって、最終的に粉状に作ってもらうところまでお願いします」

寺崎アナウンサー「こういう感じですか?」

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「もっと力を入れて大丈夫ですよ」

寺崎アナウンサー「この石を叩く音が心地よいですね」

コツは力を入れすぎず、1つ1つの石を棒の中心で確実に捉えることです。

沖縄総合事務局首里出張所 與那嶺盛明建設監督官「火災の後に何かで首里城の復興に貢献できないかという思いや声をたくさんいただいたので、そういった思いに応えるという意味で企画した」

寺崎アナウンサー「何分くらいやりましたかね。結構あっという間だったんですけどもう砂というか粉ですね」

夢中で作業すること15分。細かい粉末となり、漆の下地に混ぜられるまでになりました。

漆塗りの下地に姿を変えて”ボランティア”再建に一役

寺崎アナウンサー「ニービの粉できました」

ボランティアが終わると、最後に首里城正殿の姿が背景に描かれた参加証と記念に礎石の破片1つがもらえます。寺崎未来完成まで4年近くかかるので、まだまだ時間はかかりますが、完成したときには、私が作ったニービの粉が首里城正殿の漆に使われている。誇りに感じると思います。これからの完成がとても楽しみです。

ニービの粉づくりは来月10日までの予定です。今後も、復元工事に参加できるボランティアが計画されています。