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辺野古新基地建設予定地で見つかった「軟弱地盤」を巡り、国が「不都合な真実」を隠していた疑いが浮上しました。地質学の専門家も国の姿勢を批判しています。

新潟大学・立石雅昭名誉教授「防衛省は恣意的に数値を動かして、自分たちの都合の良いようにだけやっているという感じは拭いきれない」

国が都合の悪いデータを隠していると指摘するのは地質学を専門とする新潟大学の立石雅昭名誉教授です。

新基地建設に向け埋め立てが進む大浦湾。立石名誉教授ら地質の専門家らでつくる調査チームは軟弱地盤の上に設置される大型護岸の安定性について「最悪の場合、護岸が崩壊する可能性がある」という結論を導き出しました。

Qプラスリポート 軟弱地盤データ隠ぺい?疑惑

新潟大学・立石雅昭名誉教授「施工中、工事を進めている最中も、完成した後もこれはずっと(地盤が)不安定ですよという結果なんですよ。だから、工事そのものが上手くいかないということにもなる。工事の途中で崩落するようなことになれば、(工事が)さらに長引いて、誰にとっても幸せにはならない」

問題となっているのは、マヨネーズ状とも言われる軟弱地盤が水深90mまで続く地盤の強さ。

去年3月に国が明らかにした、1万ページにも及ぶ膨大な資料の中には、水深70mより深い部分の地盤強度を示すデータが存在していました。しかし、国はそんな都合の悪い部分を隠そうとした疑いが持ち上がっているのです。先週の国会では…

共産党・赤嶺政賢衆議院議員「政府がこれまで行ってきていないとしてきた地盤の強度を調べる力学試験を行っていたことがわかりました」

データの存在を巡り国政野党が追及。

河野防衛大臣「受注者が船上において簡易な方法で行ったものでございます。土の強度を測るための力学試験として認められている試験ではありません」

Qプラスリポート 軟弱地盤データ隠ぺい?疑惑

国はデータを報告書に反映させなかった理由について「簡易的に調査で信頼性が低い」としています。しかも再調査をする考えもないと言います。

国が扱わなかったデータを使って、今回、立石名誉教授らの調査チームは地盤の強度を試算。その結果、この地盤が軟弱であることが改めて示され、その上に造られる護岸の安定性が『国の水準を満たしていない』という結果が得られたのです。

新潟大学・立石雅昭名誉教授「護岸の安全性を考え、その上を空港として利用するということを責任を持ってやろうとする立場であれば、きっちりデータを出して、これでは(地盤が)持ちませんよということになれば、改めてここの地盤改良をすればいい」

国は軟弱地盤を固めるため砂杭など7万1000本を海底に打ち込んで地盤を改良することにしています。しかし、水深70mより深い場所は柔らかいことを示すデータがあるにもあるにも関わらず国は『固い』ので改良の必要はないと説明していました。

新潟大学・立石雅昭名誉教授「世界的に見て、深さ70mしか地盤改良する装置はないと。さらに深くなってくると地盤改良する装置がないので、地盤改良しなくて済むようにデータを動かした、改ざんしたということになりますね」

データ隠蔽という指摘も出ているこの問題、河野防衛大臣は…

Qプラスリポート 軟弱地盤データ隠ぺい?疑惑

河野防衛大臣「隠蔽ということではない」

データを使わなかったことは問題ないという考えを示しています。そして、設計変更を予定している国は…

沖縄防衛局・西村拓次長「計画変更における環境影響について、前回提示できていない内容を提示し、ご議論いただくことになっております」

きのう開かれた環境監視委員会。軟弱地盤の改良など設計変更しても環境には影響がないという趣旨の報告をしています。

新潟大学・立石雅昭名誉教授「(辺野古の新基地建設を)強行しようとしていることに私は大きな疑問を感じるわけです。軟弱地盤が深い所までありそうだというようなことがわかってきた段階で、ここはすっぱりとやめるべきだった」

着々と埋め立てが進むなか浮上したデータの隠蔽疑惑。工事の進行を危険視する声が高まるなか、国は来月にも設計変更の手続きに入る見通しです。