Qプラスリポートです。海外からの定期路線が増え、第2滑走路の建設も進む中、那覇空港では、航空機の整備を専門とする事業をスタートさせる動きが進んでいます。

期待を集める新しいチャレンジを取材しました。

実近記者「今、機体の整備を終えたボーイング737型機がゆっくりと格納庫から出てきています。こうした小型旅客機の整備を専門とする事業が今、那覇空港で始まろうとしています。」

去年、全日空が出資して設立したMRO Japan。国内初の航空機整備専門の企業です。飛行機の整備には、主にフライトの間に行う、ライン整備と、1年半から2年毎に行う、大規模なドック整備があります。MRO Japanが主に担当するのはドック整備。

ドック整備中のこちらの機体。飛行機全体をジャッキで持ち上げ、前輪の交換作業を行っています。ドック整備は短くても1週間。大規模な改修作業が入ると1ヶ月に及びます。

これまでこうした整備は、飛行機を所有する航空会社が行なっていました。なぜ今、整備専門の会社が誕生したのでしょうか?

Q+リポート 沖縄に誕生した新産業とは02

荒川社長「旅客機の市場としては、ここ20年間で3万機くらい増えると予想されております。特にアジア地区というのは、その中でも増加率が高い」

今、特に増えているのが、自社内に整備部門を持たない格安航空会社です。

荒川社長「アジア地区においてのいわゆるMRO整備専門会社、そういうものの拡張ですとか増強は必須になってくる」

そしてMRO Japanがアジアの航空機整備の拠点として注目しているのが、沖縄です。

荒川社長「ちょうど沖縄が東アジアの中心に位置すると(51)いうことでは、各国から運行便が入りやすい」

来年度中には、那覇空港に県内最大規模となる広さ1万9000平方メートルの格納庫が完成し、2018年には沖縄に拠点を移し、整備事業をスタートさせる予定です。

「よろしくお願いします!」

先月入社したMRO Japanの新入社員。19人全員が沖縄出身です。

新入社員「(教官:リミット式トルクレンチのクリックの回数は何回ですか?)はい、一回です。(教官:一回。ラチェット機能は使用してもいいですか?)使用してはいけません。」

ボルトの締め方など、今は整備の基本を学んでいます。

Q+リポート 沖縄に誕生した新産業とは03

志喜屋匠吾さん「今まで見ているだけだった航空機を自分の手で整備するその喜びが一番の魅力だと思います」

そんな、新入社員の教育を統括する内間さんは、全日空で36年間、飛行機の安全を守ってきた、航空機整備のスペシャリスト。那覇市出身です。

内間さん「燃料の匂いだとか、作動油の匂いだとか。見る、触る、聞く、匂いも嗅ぐ、そういったところも使って、整備をする」

新入社員は現在大阪で訓練を行っていますが、2年後には那覇空港での活躍が期待されています。

新入社員「(教官:16分の11)16分の11よし、(教官:4分の3)4分の3よし、(教官:合計で)1、2、3、4、5、6、7、8、9、9本です。」

作業の最後には、ツールや部品の確認を入念に行います。

Q+リポート 沖縄に誕生した新産業とは04

内間教官「ツールの置き忘れ、パーツの置き忘れ、それこそポケットに入れているボールペンから、すべて置き忘れがないか、確認して整備をしています。」

ツールの紛失は、重大な事故につながる恐れがあるだけでなく、ハイジャックに使われる可能性もあります。作業の一つ一つが、人命に関わっているのです。

外間さん「すごい面白くてかっこいい仕事だなと思って」

浦添工業高校出身の外間睦海さん。去年の夏に会社説明会を聞くまで、航空機整備のことは全く知りませんでした。

外間さん「工具の肢の部分が自分の顔に当たりそうになってしまったり、本当に最初の時は、危険で危なくて、よく教官の方に怒られていました」

今後、確実に需要が高まる航空機の整備業界で、整備士の育成は大きな課題です。MRO Japanでは、数年後には従業員を400人まで増やすことにしていて、女性も積極的に採用しています。

作業の最後には、ツールや部品の確認を入念に行います。05

外間さん「男性が上手にやってて、自分が上手にできていないとか、知識が足りてないとか、そういうのが悔しくて、で、その悔しさが、自分のこの、自分を高めていこうっていう力に繋がっているんじゃないのかなって思ってます。」

内間さん「沖縄から出て行かないとなかなかそういう人たちって育たなかったんですけど、それが、今度沖縄の中で、航空機産業だとか、エンジアだとか、それに携わる部品だとか、エンジンだとか、そういったところにまた広がっていくのかなということを考えるとすごく僕はワクワクしてます。」

日本の航空機整備の技術を結集した新しい産業が、沖縄に生まれようとしています。

一つの産業が、また新たな関連する産業を生み出す。県では、こうした航空機に関係する様々な技術者や企業を集積する、航空関連クラスターを将来の重点産業の一つにしたいと考えています。