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今年卒業した国立沖縄工業高専の学生たちが一年間かけて泡盛づくりに挑戦しました。実習室を出て、実際に酒造所で自分たちの高専ブランドの泡盛づくりに取り組んだ結果は?一年間の取り組みを追いました。

沖縄高専では2年次から発酵学の授業で泡盛づくりの実験を行います。バイオなど研究実験を続けるうち、4年時だった生物資源工学科の40人は、本格的な泡盛をつくることを決め、酒造所の協力で泡盛づくりをスタートさせました。

仕込んだコメは750キロ。実験室と違って規模の大きさに驚きの連続です。

男子学生「学校ではもうちょっと簡単な方法だった。こんなことをやったのは初めてなので、やっぱり大変さを改めて知りました」

学生たちは大城さんの指導で泡盛づくりの工程に挑みます。タンクの中をかきまぜる。40人が班を組んで、放課後、交代でかきまぜの作業を行いました。高専ブランドをつくりたい。全員の熱意の表れでした。

男子学生「学校でもつくったことあるんですけど、こんな風にスケールが大きいと、やっているなという感じがします」

仕込みタンクから蒸留タンクへ移す作業。そして試し飲み。

女子学生「十分じゃない?もういいんじゃない?熱い、閉じていいの?」

タンクから酒を酌み出して温度を計る。何度も繰り返す。

女子学生「酸っぱいっていうか、酸味とアルコールみたいな感じで口の中が痛い」

高専で指導にあたった玉城准教授は、泡盛づくりの工程を通して、高専で学んだことを実践できる意義を強調します。

玉城准教授「今回初めて使う黒麹菌だったんで、その出来について、ちょっと心配だった。もろみのアルコール度数も高いということなので、一応、目的とする味になってくれるんじゃないかなと、大きく期待しています」

利き酒の時期がきました。酒づくりを始めた時は19歳。そして20歳になって利き酒が出来るようになったのです。

酒を注ぐ、香りが逃げないようにグラスにふたをする、口に含む。

男子学生「辛いです」「辛いけど、最後辺りでまろやか、フルーティーというんですか、そういう味がします」

年が明け、高専では公募したラベルの銘柄やデザインの選定委員会が開かれていました。

沖縄高専・伊東繁校長「そのものに決めていくか、それともネーミングとラベルと別々に決めて結びつけるという手もあるよね。どうしましょうか」

発酵学の学びを発展、展開させた学生たちに伊東校長はこう話します。

伊東校長「実戦を主体としたような学校ですので、単に学ぶだけじゃなくて、自分たちでつくっていくところまで経験させる、体験させる。これは彼らにとって非常にいい経験となって、これから社会に出てやっていけると思います」

酒づくりも大詰め。アルコールの度数が上がりすぎるのを抑えるため、割り水を入れる作業です。

男子学生「32.129リットルの水を入れる」

大城さん「いいんじゃないですかね、計算通りになっているみたいだから」

いよいよ瓶詰です。

男子学生「お酒の温度が15度の時、720ミリリットル入っていないといけないんですけど、今ちょっと温度が高くて膨張率が上がって量が多くなっているので、それにあわせていろいろ測りながらやっています」

最後はボトルにラベルを貼る作業。香の仙と書いて高専ブランドを表す銘柄の誕生です。

女子学生「あれだけ苦労してつくったお酒が、こんな立派な商品として世に出るのがすごく嬉しい」男子学生「自分が好きなお酒が自分でつくれるなんて、とても幸せです」女子学生「実際に泡盛が出来て嬉しいです。今後も後輩が引き継いでいってくれると思うので、期待しています」

学校の実験室の研究を活かした学生たち。沖縄高専5年間の学習と体験は、大きな財産となるでしょう。

学生全員「香仙、出来ました!完成!」

泡盛は43度の一升瓶540本。30度の720ミリリットルのボトルは120本。もう完売だということです。