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特集「みえるか沖縄の道しるべ」最終回は暮らしです。政府はきょう、今年度あと4か月ぶん38億円に上る母子加算の支給を閣議で決定しました。鳩山政権の政策の柱は子育て支援策の拡充。しかし新たな制度創設や復活のためには財源が必要でその確保のため、政権発足から一か月が過ぎても各省庁での調整が難航しているところです。行政の対応、そして子育て家庭に聞きました。

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政権の後退から一か月。いま鳩山内閣は政策転換の一番の目玉として揚げてきた「子ども手当」の来年度からの実施のため財源確保に力を入れています。

新しく実施される予定の「子ども手当」は第1子から一律月額2万6000円を支給するもので来年度の半額支給予定でもおよそ2兆7000億円の財源が必要とされています。この財源のために、現行制度の見直しや廃止などがいま進められているわけですが…

県福祉保健部 仲村留美子班長「それは完全に執行するということだったんですが、今度執行停止になったのは21年度から、第一子からの。20年度版は第2子からだったんですが21年度版は第1子からの支給だったんです。これが執行停止ということで」

子ども手当財源確保のために執行停止となったのはまえの政権が打ち出し、継続して行われることになっていた「子育て応援特別手当」。第2子以降に3万6千円を支給する一時金で、前年度は全国で330万人が対象。継続された今年度は第1子まで拡充され、今月は対象者の一部の事前申請がすでに始まっていた矢先のことでした。

県福祉保健部 仲村班長「先週15日に執行停止通知がありまして、これを受け県でも各市町村に通知したところです」

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財源確保のための制度見直しは、子育て応援特別手当以外にも家計に直接影響するものがあります。これまで、3歳未満に子どもに月1万円、小学校卒業まで5000円か1万円を支給してきた「児童手当」も廃止される予定。県内ではおよそ19万人が支給を受けています。しかしこれについて、県が厚労省に問い合わせても、いまだ明確な通知や回答はかえってきていないのが現状です。

県福祉保健部 仲村班長「政権が代わりまして。子育て支援策について制度廃止とかあたらしい制度の創設とかいろいろ予定されている所とは思うんですが、内容とか実施時期など詳細情報についてはまだ国の方から通知を受けていない状況で」

大きく変わる現行制度やさまざまな手当の廃止。まさに過渡期の感があるこの時期、出版社で働きながら1歳になる女の子の子育て真っ最中の喜納えりかさんは選挙から政権交代のこの時期を見つめています。

喜納さん「これだけ見たら、なにかいいこと書いてるじゃないですか。でもこれだけ実現するのって具体的にどういう風に動いてどれだけの手間をかけてやるんだろうって」「自分の生活に関わることですし、自分が生きていく世界の話でどこか他国の話でもない、自分の住む地域の話になるんで自分で情報を集めたり判断したりというのはすごく大事だと思います」

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選挙前のマニフェストについて、こう意見を述べた喜納さん。実際に児童手当を受けてもいます。政権が代わって一か月、子ども手当スタートまでのこの時期をどう見ているのでしょうか。

喜納さん「沖縄は経済的に厳しい家庭も多いし子どもの数も多いんでもらえないのは残念だと思います」「いままで長い政治があったわけですから、これだけ大きく変わるんだったら、これくらいの負担はあるだろうなというのが報道・テレビを見ていて思うことですね」

国がどのような方向性を打ち出し、公約を実行するか。新しい政権が「子育て」に力を入れるなら、それは一朝一夕ではなく子育てのように長い時間をかけて達成するまで、選挙で選んだ私たちにも見守り、意見する義務があると喜納さんは考えています。

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喜納さん「私自身、子供が生まれるまで“児童手当ってなに?”って感じだったんで」「(政治は)身近なものとして考えたほうがいい、官僚や政治家のハナ氏は非常に遠くてピンとこないけど」「お金があったら公共事業に入れましょう、という視点だったのがきちんと人にかける、力をつける、そういうドラスティックに転換していく流れの、まだ一ヶ月目なわけで」