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県の天然記念物の陳情も出ている名護市・大浦湾のアオサンゴ群。保護に乗り出す前に白化現象のような症状が見つかり、不安が広がっています。しかし、アオサンゴの群落自体貴重なだけに、研究の蓄積もなく、今回の現象がどの程度致命的なのか、よく分かっていません。

沖縄リーフチェック研究会 安部真理子さん「世界的にも貴重で、普遍的な価値を持つ群集を、天然記念物として 積極的に保護し、次の世代に引き継ぐべき沖縄の宝である」

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先月、自然保護団体が天然記念物の陳情したばかりのアオサンゴ。先週潜って見ると目を大規模な群落の大部分に白く変色している現象が見られたのです。先端が雪のように真っ白になっている部分。多くは、緑色の苔のようなものに覆われて窒息しそうになっている痛々しい状況です。

これは去年2月に撮影した同じアオサンゴです。元気なアオサンゴは全体が褐色。これはサンゴのなかに共生する褐虫藻の色です。それがこのように白くなるのは、一般的に光合成をする褐虫藻が抜けてサンゴが弱っていく「白化現象」の症状とみられています。

ところが、沖縄の海でよく見られるミドリイシサンゴの仲間は、白化が長引くと衰弱死しますがアオサンゴはプランクトンを摂取する能力にたけているため褐虫藻が減ってもダメージが少ないという専門家もいます。いずれにしても、アオサンゴの白化についてはきちんと記録された事例がないため、危機の度合いについては全くの未知数です。

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サンゴの移植のエキスパートで、アオサンゴの飼育経験も長い金城浩二さん。今の状況を見てもらう事にしました。以前にも同じアオサンゴを観察している金城さん。今回の変化を、どう分析するでしょうか。

金城さん「大丈夫。元気ピンピン」「ミドリイシがこんな苔だらけだったら死んでいる状況だけど、アオサンゴは毎年見られること」

金城さんの見解では、アオサンゴは珪藻という植物プランクトンに覆われて苦しくなると、自分で表面の幕を一枚はがして脱皮するように珪藻を取り払うそうです。

すると、光にあたっていなかった白い面が表に来るために白化のように見えますが、サンゴ自体は元気だという事です。しかし、このメカニズムはまだ解明されておらず自然保護団体では 基礎データを蓄積し、保護策を講じるためにも天然記念物の指定は急務だと訴えています。

金城さんは何よりも、成長の遅いアオサンゴがこの規模まで成長したこと自体、天然記念物に相当すると言います。

金城さん「アオサンゴ以外も、ここにあるサンゴはみな大きいのが多いわけ。だから多分ひいいおじいのころから使ってきた名残があるサンゴもあってさ。沖縄の海ってみんな天然記念物だと思うけどね」