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先週、急患ヘリの輸送に向かう途中で徳之島山中に墜落した自衛隊ヘリ、乗員4人は全員死亡といういたましいニュースは県内に大きな衝撃をあたえました。

急患の搬送を自衛隊の空輸に頼らざるをえないという離島医療の課題が浮き彫りになりました。比嘉記者です。

中村カメラマン「徳之島上空です。陸上自衛隊機CH47がこちらで墜落したものと思われます。周りには機体の破片が散乱しています」

事故が起きたのは先週金曜の夜11時40分ごろ。急患搬送要請をうけ、現場へと向かっていた陸上自衛隊第101飛行隊所属の大型輸送ヘリCH47は徳之島の山中に墜落、炎上。パイロットの建村善知三佐ら、乗員4人全員死亡という痛ましい事故となりました。

比嘉記者「昭和47年12月、陸上自衛隊が粟国島から緊急患者を空輸搬送して以来、現在までその出動回数は7200回を超えています」

災害派遣任務として行われる自衛隊の急患空輸。沖縄駐屯地の第101飛行隊がカバーするのは奄美大島から与那国島までという広大なエリアです。

4人1組の2クルーが24時間体制で勤務。出動回数は年間平均200回以上で、その半数近くが夜間の出動。街の灯りや星空などを頼りに夜間飛行。しかし洋上や山岳部など、灯りの確認が困難な地域を飛ぶことも少なくはありません。

辻本さん「基本は、ヘリコプターの大部分は有視界飛行。目視で陸や海など目で確認して、フライトするのが大前提です」

有視界飛行ではその場の気象状況を確認しての判断が非常に重要になります。事故は夜間に発生。測候所によりますと、徳之島空港付近の視界はおよそ200メートル、高度およそ30メートルまで雲が垂れ込めるなど、ヘリの飛行には厳しいコンディションでした。

辻本さん「夜のほうが、遠くの雲の高さや広さなど確認しにくいということはあります」

昨夜、現場では事故機のフライトレコーダを発見し回収しました。調査委員会では今後、事故原因の解明に努めますが、航空関係者は視界不良の夜間飛行中に高度判断をあやまり、山に激突したものとの見方を強めています。

飛行隊の存在なしには語れない離島医療。患者を空輸しなければ救えないという医療体制を、今後どう充実させるか。行政が早急に取り組まなければならない課題です。