2011年2月9日 18時45分

Qリポート 県内農家にTPPの波紋

菅総理「第一の国造りの理念は「平成の開国」です。そのための包括的な経済連携を推進します。経済を開くことは、世界の繁栄を共有する最良の手段です。」国会冒頭の施政方針演説で菅総理が「平成の開国」と銘打ち、最重要課題に挙げた「TPP・環太平洋経済連携協定」元々、シンガポールやチリなど4つの国々で自由貿易圏をつくるという構想でしたが、アメリカが参加し、主導権を握ったことで各国の参加が急速に推し進められています。

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日本政府は自動車や家電などの輸出が増加し、国内景気の底上げにつながるものと、参加に前向きですが、一方で、農業関係者からは不安の声が上がっています。

沖国 来間名誉教授「は一切条件を付けさせない、たとえば、日本の場合だと、コメが重要ですから、コメは輸入を制限したいと日本は思います。だけどそういうことは認められない、一切関税を取っ払う、一切の貿易障害を取っ払うというのがTPPはなんです。」

TPPの特徴は加盟国の間で、例外のない関税の撤廃を掲げていること。参加すれば輸出も自由になりますが、反面、安い輸入品が大量に入ってきて、国内の農業には大きなダメージを与えることが心配されています。例えば主食の米。国産米と外国産米の価格差は4倍強(関税を撤廃した場合)。両者が競合した場合、ほとんどが安い外国産に置き換わると見られているのです。

また麦や牛肉なども大きな痛手が予想されます。価格の内外差は2倍から3倍(関税を撤廃した場合)。いずれも、生き残るのは極めて厳しい状況です。

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こうした中「全滅する」と予想されているものがあります。県の基幹作物・サトウキビ。高い関税に守られてきたサトウキビは、関税が撤廃された場合、全てが外国産に置き換わるというのです。高齢化が進み、小規模経営がほとんどの県内の農家。大規模な諸外国にはとても太刀打ちできないとサトウキビ農家は不安を漏らします。

八重瀬町東風平さとうきび生産組合 川端組合長「オーストラリアなどみると、こことは規模が違いますし、ああいう風にここでやりなさいと言われてもできない。先祖代々作って来たサトウキビを生活の糧として、現金収入としてずっと昔からやって来た。今後も続けていくにはどうしても今の価格が必要になるんですね。」

県では、TPPに参加し、関税が撤廃された場合、県全体への損失は1420億円に上ると試算しています。JA沖縄中央会では、これはもはや農業だけではなく、島や地域社会が維持できるかという大きな問題だと反発しています。

JA沖縄中央会 金城専務「宮古八重山周辺離島を中心に、その定住人口が農業が駄目になると糖業が成り立たなくなる、糖業に働いている人も、サトウキビ農業に依存している農家も他に職を求めないといけなくなる。そうしてくると地域社会が維持できなくなる。」

先月、5400人が参加して開かれたTPP交渉への参加に反対する県民大会では。県民大会参加者「沖縄の農民を殺すようなものですからね、何としてでも阻止しなきゃいかんと。そういう気持ちで参加しました。」「サトウキビが無くなると、島全体が崩壊するんじゃないかということで参加しました。」

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一方、農業以外の分野でもTPPへの参加には慎重です。県経営者協会の知念会長は政府の情報提供が不十分だと指摘します。県経営者協会 知念会長「日本全体として、どういうプラスがあって、どういうマイナスが出るのか、そのマイナスが出る分野において何らかの対策が出るのか、全体像をきちんと出さないと。個々の問題にどう対応するのか方針が出ないと評価のやりようがない。」

TPPは農産品や工業製品だけでなく、人の移動についても規制緩和をうたっています。つまり看護や介護、建築といった私たちの生活全般にかかわってくるのです。ナレ:政府は6月までに方針を決めるとしていますが、国民の理解は不十分なまま。もっと踏み込んだ議論が必要と言えそうです。

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