ここからはシリーズでお伝えしている「復興のキセキ」です。11月23日のお披露目まで、あと2か月。長く続いてきた作業も、次々とゴールを迎え、首里城正殿はいよいよ完成形が見えてきました。
きょうは、公開目前。その現在地を見つめます。
来園者(静岡から)「火災からここまで復興ができたというのはすごい。きれいなところが見られて本当に良かった。完全に復元したあとにまた見に来たい」
来園者(北海道から)ご夫婦「もうできているかなと思って来てみたらまだ(公開まで)55日あった。(正殿の)中に入りたい。ぜひ」
11月23日の正殿一般公開まで、2か月を切り2022年から始まった復元工事もいよいよ佳境を迎えています。木を組む。漆を重ね、額を仕立てる。龍を刻む。そして、正殿を赤に染める。
かつての姿を取り戻そうと、これまで、様々な職人の力が注がれてきました。
まずは、正殿を形づくる“木工事”です。工事には、全国から延べ49人の宮大工が参加。木を削り、柱や梁に仕上げ、一本一本組み上げてきました。去年3月。正殿での作業をおおむね終えると。
一部の大工たちは、正殿と周囲の建物をつなぐ“両廊下”の工事へ。そこで、作業のまとめ役を任されたのが県出身の若手大工たちです。沖縄に技術を残すことを大切にしてきた令和の復元で成長を遂げた若い世代が、現場を引っ張りました。
宮大工(浦添市出身)大城翔太郎さん「一生に一回あるかないかの地元での一番大きい現場なので誰に見られても恥ずかしくないような建物にしていけたらなと思っている」
宮大工(那覇市出身)上原翔悟さん「今回学んだことを 次の世代につなぐことがこの現場に入れた自分の使命なのかなと思う」
現在は、正殿・両廊下ともに、塗装や瓦葺きを終えた姿を見ることができます。
つぎは、国王の玉座を飾る“扁額(へんがく)”です。中国の皇帝が琉球国王に贈った書をもとに作られた扁額。2019年の火災では、掲げられていた3枚全てが焼失しました。このうち、復元が進められてきたのが中山世土の扁額です。ただし、火災前の姿をそのまま再現するのではなく…
尚家に伝わる古文書や最新の事例調査などをもとに変更が加えられました。例えば、題字は 平成の復元時よりも線を太く、力強く仕上げました。
さらに、地板の色は「赤」から「黄色」に。額縁の龍などの文様も、絵ではなく「彫刻」で表現されます。技が集まり、より王国時代に近い姿にアップデートされた扁額。2年8カ月の年月を経て、ことし8月、遂に完成しました。
漆職人 諸見由則さん「実物を見たら今回のものが全然前回と違うと感じると思うのでそういう反応も見てみたい」
漆職人 天久碧さん「新しくなったこの中山世土の扁額を新鮮な気持ちで見てほしい」
伝統の技と職人たちの情熱がつながり沖縄のシンボルを新たな扁額が彩ります。
続いては、龍をかたどった石彫刻「大龍柱」です原石は、与那国産の「フルシ」と呼ばれる細粒砂岩でおととし(24年)2月からは、うるま市の作業場で本格的に加工が始まりました。
うるま市出身 照屋壮馬さん(当時20歳)「なかなかできない経験、できないことだと思うので首里城の現場に携われて光栄に思う。先輩たちのアドバイスを聞きながら気を付けながら作業できたら」
まずは、大まかに石を削り出す「粗彫り」その後、形を仕上げる「詳細彫り」へ。若手とベテランが協力し合い。位置や彫りの深さを細かく確かめながら、丁寧に彫り進めていきました。
玉城真由佳アナウンサー「大龍柱の制作現場です。今まさに龍の表情を決める目入れの作業が行われています」
今年5月、龍の目の彫りを担当したのがこの道30年以上の岸本さん。
石工(沖縄市出身)岸本学さん「正直これはやりたくなかった、目の位置や向きで龍の表情が変わってくるのでそれがちょっとでもずれたら自分の責任になるので任された以上は 死ぬ気でやらないといけない」
7月、阿吽の龍は正殿の前へ。設置の向きをめぐっては、正面か。それとも向かい合わせか。議論が続いてきましたが、18世紀の修理記録などをもとに、火災前と同じく龍と龍が向き合う形で置かれました。
照屋壮馬さん(うるま市出身)「きれいに加工できたので良かった。迫力があって格好いい龍だと思う」
石工 岸本学さん(沖縄市出身)「沖縄県のみなさんが誇りに思えるような龍になったと思う」
最後は、建物を鮮やかに輝かせる「塗装工事」です。作業がスタートしたのは、おととし(2024年)2月。総勢50人を超える漆職人が携わってきました。
まるで漆器に施すような複雑な工程を踏むことから建物そのものが「巨大な琉球漆器」にも例えられる正殿。場所によっては、下地から仕上げまで最大で27もの工程があります。職人たちは何層にも漆を重ねてきました。
若手職人の島袋さん、実はもともと好きだった色は…。
漆職人(読谷村出身)島袋郁弥さん「ランドセルが青だったくらい青色が本当に好きで、首里城はずっと赤だし、飽きずに塗れるかなって思ったんですけど…。むしろ、ちょっと赤もいい色かなって思えてきちゃうくらい首里城に対する思いは強くなった」
作業開始から2年以上が過ぎた今月17日。正殿と両廊下のすべての塗装が完了しました。
塗装工事を指揮した 森田哲也さん「ほっとしたというのが正直な気持ち。いろんな職人があっての仕事なのでその機会を2年半全うできたのはよかったと個人的に思っている」
起工から、もうすぐ4年。先輩から若手へと受け継がれた伝統の技。赤く誇らしくがよみがえった正殿が新たな歴史を刻み始めます。
きょうは数ある復元の仕事の中から4つに絞ってお伝えしました…公開まで、あと54日です!いや~待ちきれないですよね!
きょうの時点で、建物そのものの復元工事は概ね完了していて来月以降は、扁額といった完成した制作物の設置や防災設備や正殿周辺の整備などが進められる予定です。
いよいよ11月23日、一般公開を迎えますがただ、正殿内部は当日行けばそのまま入れる…わけではありません。お披露目以降、しばらくは見学には事前の予約が必要です。詳しくは、首里城公園のHPをご覧ください。復興のキセキでした。
<正殿内観覧予約ページ>https://oki-park.jp/shurijo/ticket_guide/