琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊 和雄(みなと・かずお)さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします」
今回のテーマは「続リュウキュウハシブトガラス」です!
湊 和雄さん「前回は、リュウキュウハシブトガラスの子育てと水浴びを紹介しました。今回も引き続きリュウキュウハシブトガラスなのですが、ちょっと衝撃的なシーンです」
心の準備をして、VTR見てみましょう!
湊 和雄さん「前回の放送直後の週末、朝6時半でした。リュウキュウハシブトガラスの声がしました。その方向を見ると地上で何か捕まえて盛んに突いています。毛の塊と脚から、捕らえられたのは鳥なのは間違いないようです。しかし、この時点で何の鳥かは分かりません。
「カラスが突然、脚を咥えて引きずりました。すると獲物の頭部が見えました。何とヤンバルクイナです!これは大変なことに。さらに激しく突いています。ヤンバルクイナはされるがままですから、もう死んでいるのでしょう」
湊 和雄さん「さて、カラスを追い払うべきでしょうか?しかし、野生動物どうしの食う食われる関係に人間の基準で関わるべきではありません。飽くまでも対等な関係なのですから。しかし、近年カラスが激増したのは、人間の影響による可能性大です。ならばカラスを追い払うことにしました」
「カラスが逃げた後、ヤンバルクイナがむっくりと首を持ち上げました。未だ生きていました!」
湊 和雄さん「しかし、しばらくこのままの状態でした。何処か怪我をしていて動けないのかもしれません。そうであれば、捕獲して治療を受けさせなければ。この後ヤンバルクイナは立ち上がりましたが、左右アンバランスで、そこから動きません」「ところが、やがて完全に立ち上がり、少し移動しました。血が流れたり、傷口が見えたりはしません」
どのような状態なのでしょうか。
湊 和雄さん「フェンスの近くで立ち止まり戸惑っているようです。普段なら跳び越えられそうなフェンスですが、やはりダメージを受けているのでしょうか」
「このフェンスは、ハブの侵入を防ぐためのもので全く隙間がありません。このフェンスを利用してカラスが飛べないヤンバルクイナを捕らえるのが他の場所でも観察されているそうです。前回触れましたが、カラスはとても知能の高い動物なので、それを学習してしまったのでしょう」
湊 和雄さん「少し落ち着いたのか、ヤンバルクイナが少し歩きました」「この様子ですと、ほとんど怪我もなく動きにも不自然なところは感じられません。なかなか逞しいものです。
湊 和雄さん「さらに走り始めました」「そして、フェンスの端から森の中へと消えていきました」
湊 和雄さん「さて、なかなか衝撃的なシーンで始まりましたが、怪我もなくほっとしました。しかし、このシーンは多くの問題を含んでいます。まず、カラスが増えた理由です。前回触れたように30年ほど前まではカラスは沖縄本島では、やんばるの森にわずかに生息しているだけでした」
急増したのは何が原因なのでしょうか。
湊 和雄さん「明確な究明はされていませんが、個人的に感じているのは、まず山の中へゴミ処理場が作られ周囲にカラスが集まるようになったこと。林道が舗装されて誰でも簡単に森の奥に入れるようになり、残飯などが捨てられ、それが餌になった」
「さらに、舗装された林道でロードキルが増え、その動物の死骸の掃除屋がカラス。これも、前回話したように、樹上のヤンバルクイナを襲ったり、子育て中のノグチゲラの巣に首を突っ込んだりしたのを目撃しています」
「世界自然遺産に登録されたやんばる国立公園で、問題点に挙げられるのがロードキルと外来生物問題。そして、個人的にはこのカラスの急増もそれに並ぶ大きな問題だと考えています」
世界遺産のやんばるの森、私たち人間の都合で生態を脅かすようなことがあってはなりませんね。湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました!以上、リュウキュウの自然でした。
