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みなさんは、「ロコモティブシンドローム」通称「ロコモ」という言葉を知っていますか?立ったり、歩いたりという日常生活を送るために必要な体の基礎的な能力が不足や低下している状態を「ロコモ」といいます。移動する能力があるという英語「ロコモーティブ」からできた言葉なんです。

コロナで外出自粛が呼びかけられていますが、体を動かしていないという実感がある人は要注意かもしれません。

88歳「(Q:この先、歩けなくなるんじゃないかという不安はありますか?)うん、あるよ。いま病院行っているからね。この足が痛くて」71歳「歩けなくなったりとか、そういったの不安ではあるよね」70歳「座ったり、立ったりする力?全然だめですね」

知ってますか?「ロコモ」 コロナ長期化で身体能力が低下!?

いつまでも自分の力で元気に歩き続けたいというのは、多くの人の願いです。しかし、コロナが長期化するなか、沖縄県民の歩く力に黄色信号が灯っているというのです。

知ってますか?「ロコモ」 コロナ長期化で身体能力が低下!?

琉球大学大学院整形外科学講座・西田康太郎主任教授「どうしても家の中で閉じこもりがちになる。特にご高齢の方を中心に。そうしますと、余計足腰が弱って、筋力が弱ってロコモが進行する、というようなことも十分懸念されると思います」

「ロコモティブシンドローム」、通称「ロコモ」は立つ、歩く、座るなど、移動に関する体の能力が低下している状態をいいます。

西田主任教授「腰痛ですとか、神経の圧迫に伴うような足のしびれ、あるいは股関節とか、ひざの関節、関節が痛むとかですね、まずそのものが変形してくるとか、様々なものが原因になって、十分に歩けなくなるという状態をロコモだというふうにとらえていただいたらいいかなと思います。そのロコモが進行することによって、結局は寝たきりに近い状態になったりとか、要介護の状態になったりする」

知ってますか?「ロコモ」 コロナ長期化で身体能力が低下!?

ロコモは高齢者だけの問題ではありません。去年10月に、県整形外科医会が那覇市で行った調査によると、30代でも3人に1人、70代だと4人に3人、ロコモの傾向がみられました。ロコモの割合を男女別にみると、男性は50代、女性は40代で、4割を超えていました。

ロコモの早期発見に取り組んでいる医療機関があります。友愛医療センターです。

友愛医療センター理学療法士・當山千恵美さん「これから足の筋力を図ります。この台のほうで、両腕を組んでいただいて、これで立ちます。ちょっと難しいですね」

女性が台から立ち上がろうとしますが、なかなかうまくいきません。これはロコモの状態を測るための「立ち上がりテスト」です。

當山さん「足の筋力のほうを見ています。両足の筋力ですね。(台が)低ければ低いほど筋力が必要になってきますので、低い方ができたほうが筋力が高い形になります」

このほか、歩幅を調べたり、体の状態・生活状況をヒアリングして、日常生活に必要な立つ歩くなどの力がどの状態にあるか、総合的に判断します。

知ってますか?「ロコモ」 コロナ長期化で身体能力が低下!?

友愛医療センター整形外科・永山盛隆医師「一般の方が、私は普通だと思っていたところが、やっぱり年齢を重ねるうちにこれだけ落ちてきたと再認識していただいて、何をすればいいかということを実際に自分のこととして考えてただきたい」

ロコモ度の検査を行っている医療機関は、県内ではまだ数か所しかありません。そうした中、琉大病院ではロコモの進行を抑えようと、去年から新たな取り組みを行っていました。

医師「患者のレントゲンの画像です。画面の赤の矢印に示されているように左の大腿骨頚部骨折を認めます」

西田教授「質問いいですか?いつものことですけど、今後の骨粗しょう症の治療プランについて教えてください」

骨折した患者に対し、骨粗しょう症の可能性を検討し、医学的な評価や治療をおこなうようになりました。実は、骨粗しょう症とロコモには、深い関連があるというのです。

琉球大学病院整形外科・仲宗根哲医局長「ロコモと骨粗しょう症は直結ではないですけど、移動が困難になる原因に骨粗しょう症、変形性膝関節症、腰部脊柱管きょうさく症、この3つがあります。その中で骨粗しょう症というのは、骨折をきたして、とたんに歩けなくなってしまいますので、私たちは重要視している次第です」

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沖縄県は、骨粗しょう症による足の付け根の骨を骨折する人が全国でも多い状況にあります。

仲宗根医局長「一般的には太陽にあたると骨密度があがると言われているんですけど、おそらくそこには生活習慣というのが関わってきていると思います。歩かない、メタボ、そうなってくるとロコモにつながります。体重がかからない、歩かないとなると、だんだんスカスカになって、もろくなって骨折しやすい状態になる」

仲宗根医師は、コロナを自分の体の状態を見つめなおすチャンスと捉えてほしいと考えています。

仲宗根医局長「やっぱり自分を見つめなおすチャンスじゃないかと運動も取り入れてもらって、コロナが終わったあとに、足腰もちゃんとしっかりして、骨密度もあげて、元気に長生きしてほしいと思っています」

知ってますか?「ロコモ」 コロナ長期化で身体能力が低下!?