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続いては沖縄を巡る、有事や国際関係などを考える「『有事』の果てに」です。今回は、きのう行われた有事の住民避難の実地確認について取り上げます。きのう夜の宮古空港では、避難者役が飛行機に乗り込むまでの時間の検証などが行われました。国民保護として進む計画の現状を考えます。

塚崎記者「定期便の運航が終わった、夜の宮古空港です。住民避難の実地確認として避難者役の人たちが続々と空港に入ってきます」

「有事」の果てに(7) 国民保護避難「実地確認」/有事の住民避難、どう向き合う?

政府などは、有事に先島地域の5市町村の住民およそ12万人を九州各県と山口県に避難させる計画を立てています。この計画の検討の一環として昨夜、宮古空港で「実地確認」が行われています。

避難者役・およそ100人は分散して空港にバスで到着。臨時の保安検査場などを通過し、飛行機に乗り込むまでの動線や所要時間を検証しました。避難者役には、障がいのある人も含まれ配慮が必要な場面も。職員などが対応の手順を、確認していました。

先島地域からの住民避難は、ここ数年で計画の具体化が進んできています。政府が先島の各市町村の受け入れ先を公表したのは、去年6月。

「有事」の果てに(7) 国民保護避難「実地確認」/有事の住民避難、どう向き合う?

佐賀県 山口知事「私の皮膚感覚では避難をするということは、今までの生活とまったく違うことになるので、大変衝撃的なオペレーション」

先島の市町村と受け入れ先の九州の県で首長などの相互訪問も行われるようになりました。

その動きが加速する中で、先月名護市で開かれた九州地方知事会。先島地域の市町村も参加し、住民避難に関して意見交換を行っています。その中で、本音が漏れる場面も…

玉城知事「家畜を残して避難できない、住み慣れた地域で全うしたいと、どうしようもない不安から私は避難を選択しないという切実な想いを国も受け止めて、丁寧な説明をしていただきたい」

「有事」の果てに(7) 国民保護避難「実地確認」/有事の住民避難、どう向き合う?

高市総理「戦艦を使って、その武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだと考えます」

今月7日、国会答弁でこう発言した高市総理。台湾有事で自衛隊が出動する「存立危機事態」になりえるとしています。高市総理の発言に、中国側は「挑発」だと大きく反発。日本への渡航自粛を呼びかけるなど報復とみられる措置をとっています。

にわかに台湾有事が注目を集める中行われた、今回の実地確認。宮古島市の嘉数市長は、冷静に語りました。

宮古島市 嘉数市長「国民保護に限らず危機管理の要諦は、常に最悪を想定して最善を尽くすということ、実地確認、防災訓練で備えをすることは必要」

ここからは塚崎記者です。きのうの実地確認ですが、どのような目的で行われたのでしょうか。

「有事」の果てに(7) 国民保護避難「実地確認」/有事の住民避難、どう向き合う?

塚崎記者「はい。今回は、避難する住民が、空港で保安検査を通過し、飛行機に乗るまでの動線や所要時間などを確認しました。避難者役とそれを管理する側に分かれていて、事実上の訓練ともいえますが、しかし、県などは『あくまで検討材料の一つ』として『実地確認』としています」

ここ数年、有事発生を想定した住民避難について、先島地域の5市町村が、九州各県と山口に避難する計画が立てられていますよね。宮古島の状況は、どうなんでしょうか。

「有事」の果てに(7) 国民保護避難「実地確認」/有事の住民避難、どう向き合う?

塚崎記者「今回、実地確認が行われていた宮古島市では住民およそ6万人が福岡、熊本、宮崎、鹿児島などに避難することになっています。実際、先月名護市で開かれた九州地方知事会では、先島地域の各市町村も参加しての意見交換も行われています」

計画が、進んでいる感がありますね。また、全国的には高市総理の国会での発言を機に、台湾有事について視点が向けられ、改めて議論になっています。改めて、住民避難の問題はどうとらえればよいのでしょうか。

塚崎記者「今回の実地確認は、あくまで『特定の事態を想定していない』としていますが、先島地域からの九州への住民避難は台湾有事が念頭にあるのは間違いないでしょう。一方で、今回の宮古空港での確認は、年度内にも行う関係機関が集まっての検討会の材料とするもので、今月に入って台湾有事を巡って日中関係が悪化していることを受けて行われているわけではありません」

「今回の『実地確認』が行われたことを冷静にとらえる必要もさることながら、重要なのは、防衛力や住民避難など「有事が起きた時の対応」に加え、外交的な対話も含め、より広い視野で有事を起こさせない取り組みはどうするべきなのか、考えることではないでしょうか」

発言一つで、急激に悪化した日中関係についても、決してあおられることなく、冷静に見ていく必要があると思います。ここまで塚崎記者でした。