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身の回りのものが目まぐるしく変わっていく4月になりました。実は、県民の移動手段である「ゆいレール」も3両化計画を進めるにあたって今、様々な駅で変化を遂げているんです。なかなか見ることのできない夜の作業現場に潜入してきました。

「2月3日午前0時すぎ 浦添前田駅」ゆいレールの運行が終わって、静まり返った真っ暗な夜の駅。

寺崎アナウンサー「浦添前田駅に新しいホームドアを載せたトラックが到着しました。大きなトラック2台がやってきました。3両化に伴うホームドア増設第1号です」

大型トラックの荷台から次々と運び出される段ボール箱、そして、最後に姿を表したのが「新しいホームドア」です。エアクッションに包まれ台車に載せられたドアが3人がかりで運ばれていきます。実は、今、ゆいレールの駅では、これから2年以内に始まる予定の「3両化」に伴いホームドアを増やす改修工事が夜な夜な進められているんです!

「那覇空港駅」から「てだこ浦西駅」まで19の駅でおよそ17㎞を結ぶ「ゆいレール」は通勤・通学だけでなく観光の足としても重要な役割を果たしています。

今から19年前に開業したゆいレール、当時は新たな交通手段が沖縄にできるということで開通までの一挙手一投足が注目されました。外国人観光客の大幅な増加や那覇空港第2滑走路の運用開始によって利用客は年々増えていき、2019年には一日あたりの乗客が延べ5万6000人に増え開業当初の1.75倍にまで達しました。

その間、列車の数を増やしたほか運行間隔を最短4分に縮めて増便するなどして利用者の増加に対応してきました。

喜納久3両化推進室長「2両編成では対応できない部分が出てきた」

新型コロナで利用客は減少しましたが、アフターコロナにおいて利用客の回復が予想されています。そこで浮上したのが「車両の3両化」計画でした。2両だと定員が164人だったのに対して、3両になれば256人を一度に運べるようになります。今ある21本の列車のうち5本で「中間車」という運転席のない箱型の車両を間につけます。

ゆいレール3両化に向けて ホームドア工事実施中

さらに、3両編成の列車を新たに3本造ることにもなっています。これで、3両編成9本・2両編成16本という構成になり、輸送力の大幅なアップをはかろうというのです。

喜納久3両化推進室長「より乗りやすくなる移動しやすくなる便利になるお客様がより便利に感じて利用してもらえるという環境が整うと思う責任の重さを感じている」

列車の3両化で、乗り降りするドアが増えるため駅のホームドアも増設しないといけないのです。改修工事は辺りが寝静まった深夜に行われ、始発の列車が動き出す直前まで、時間との勝負です。石嶺駅で行われたホームドアの設置作業は最終電車が発車して、日付けがちょうど10日から11日に変わった午前0時、作業員が一斉に改札の中に入っていきました。

扉の奥には、事前に運び込まれたホームドアがお目見えしました。養生カバーを伝い、エレベーターに乗ると、初めてこれから仕事を果たす場所へとたどり着きます。1つのドアは重さが200kg以上あるうえ、自動で開け閉めする精密機器でもあるので慎重に運ばないといけません。

ドアはホームの四隅に設けられ、この日は半分の2カ所に設置が完了しました。メインの作業が終わった時、時刻は午前1時30分、工事はまもなく終わるかと思われましたが…。

微調整、微調整、ひたすら微調整!?多くの人を乗せる鉄道の使命「安全」のために欠かせない作業です!ホームドアが列車側に傾いていないか、ドアの開閉がズレることなく正確にできているか事故を絶対に起こさないための「ミリ単位」の作業はまさに職人技。測量器具を使った確認と微調整が幾度となく繰り返されました。

ゆいレール3両化に向けて ホームドア工事実施中

工事が終わったのは午前4時すぎ、始発の時刻、午前5時45分に1時間半に迫っていました。

喜納久3両化推進室長「限られた時間内で正確に作業をして終わらせるのでまず段取りをしっかりやってもらう。安全にかつ精度の高い施工が求められる。精度の高さについてもしっかり管理していく、やはり安全が大切ですので。これが終わるとその後また営業に入るのでそれを含めて安全を確保しながら一つひとつ遂行していく」

ゆいレールでは、毎日終電から始発までの4時間の間に、ホームドアを設置する改修工事が進められていて、すでに「浦添前田駅」「経塚駅」「石嶺駅」の3カ所で作業が完了しています。

ゆいレール3両化に向けて ホームドア工事実施中

来年4月ごろ、すべての駅でホームドアの増設が完了することになっていて3両編成の車両は試験運行などを経て2023年度内の本格デビューを目指しています。

駅のホームが3両化に対応ということですが、2両の列車も走り続けるんですよね。2両の列車が3両対の駅に上手く止まれるんですか?

寺崎アナウンサー「気になりますよね!!実は上手く設計されているんです」「2両の時に、ホームドアは4つ必要なんです。「中間車」が1つ加わって3両になると、人が乗り降りするドアが2つ増えます」「そこで、今、ホームドアを、駅の両端に設置することで3両化に対応しようとしているんです」

そこで、3両に対応した駅に2両の列車が上手く止まれるのかという部分ですがホームドアの間隔をずらすことができないので、中間車の設計を綿密に練っていたというわけなんです。

「どういうことかといいますと」

ゆいレール3両化に向けて ホームドア工事実施中

「1つの車両にあるドアの間隔や中間車と前後にある車両のドアとの間隔をホームドアの幅にあうように中間車を設計していたんです。なので、2両の車両でも3両に対応した駅にきちんと止まれるというわけなんです」

「これからは2両の列車が来たら2両分のドアが開いて、止まらない部分のドアは開かないそうです」「将来、3両の列車がデビューしたら、駅のアナウンスで「2両でまいります」「3両でまいります」なんて案内を聞くことができるようになるかもしれません」


ホームドア工事完了後の停止位置について

ホームドア工事完了後、2両編成の電車は、現在の停止位置から前に移動し、3両編成の停止位置とそろえる「前合わせ」を行うということです。