ネパールを襲った大規模な土石流から、26日で1カ月。1400人以上が亡くなり、今も5000人以上が行方不明となっている。現地を取材すると、復興までの長い道のりが見えてきた。
■倒壊した建物はそのまま…
ネパール中部にあるヌワコット郡ビドゥール。大規模な土石流の発生から1カ月経った今も泥に覆われ、壊れた建物はそのまま放置されている。
元々この周辺にはもっと多くの建物があったのだが、濁流にのみ込まれ、ほとんどが流されてしまった。
近隣住民
「向こう岸には、私たちの魚の養殖場や養豚場があったんです」
「そのすべてが流されてしまいました」
店舗兼住宅が被災した住民
「苦労して建てたのに、家も店も全部、洪水の被害に遭ってなくなってしまった」
「政府が救援のために、何かしてくれればと願っています」
先月26日に発生した土石流ではこれまでに1453人が亡くなり、今なお5285人の行方が分かっていない。
■甚大被害「警報の前に洪水到達」
なぜここまで被害が拡大してしまったのか。政府の警報担当者は…。
ネパール水文気象局 ビノド・プラジュリ課長
「3つから4つの集落と水力発電所については、私たちが警報を出す前に洪水が到達していました」
「情報を十分に伝えられなかったことを非常に残念に思っています」
洪水の状況などを監視し警報を出すネパール水文気象局は、川に設置していたセンサーが想定外の規模の洪水で流されてしまったことなどが確認の遅れにつながったとしている。
そうした状況のなか、甚大な被害が出たのが水力発電所だった。
ランタン・コーラ水力発電所 ラム・ブハラ氏
「現在は軍も現場作業から引き揚げています。トンネル内にはもう誰もいないことが確認されたためです。 当社としても、捜索活動は終了した状態です」
完成直前に被災したこの発電所では、作業員ら40人が行方不明になっているという。生存者は見つかっていない。
未曽有(みぞう)の被害を出した土石流。被災者は9万人に上り、いまだ4000人近くが仮設テントでの避難生活などを余儀なくされている。
■11年前にも被災 家族失う
1カ月近く避難生活を強いられているチェック・ラマさん(42)。今回の土石流で、両親や兄弟など20人以上の親族が行方不明となった。
義理の兄1人が遺体で見つかったが、他の親族は今も行方が分かっていない。
「寝ても覚めても、家族を失ったことが思い出されます」
「地震と洪水、2度も災害に遭って大切な家族を失いました。もう体の半分が死んでしまったような気持ちです」
2015年に発生したネパール地震。当時、別の場所に住んでいたラマさんはこの時も被災し、家族を失ったという。
「私たちは2015年の地震の時に、移転せざるを得なくなりました」
「地震が起きた後、政府は私たちが住んでいた場所をレッドゾーン(危険地帯)として、そこに住んではいけないと言い、今の場所に移動させました」
当時、ネパール政府は二次災害を防ぐためとして、ラマさんたちに住居の移転を指示。しかし、それから11年後、今度はその移転先を土石流が襲った。
「仕方なく、川のそばで生活していたところ死んだのです」
「私たちの近しい人たちは、8月26日の洪水で亡くなったのではなく、殺されたのです」
■多くの死者 葬儀追いつかず…
こうしたなか、被災地で今課題となっているのが、亡くなった被災者の葬儀だ。
死者数が1400人を超える中、火葬場や寺院などは連日対応に追われているという。
番組が取材したのは、現在日本に住むバスネット・バガワンさん(32)。バガワンさんは土石流で母親を含む7人の親族を失い、ネパールに一時帰国していた。
「葬儀やる場所を探すのも、めちゃめちゃ大変でした」
「弟が洪水の次の日の夜に予約していたので、早めに見つかったんですが、遅くなった人たちはテントとか作って、そのテントで(葬儀を)やっていました」
対応が追いつかず、葬儀や火葬が順番待ちになっているという。
「葬儀をやってくれる人も少なかったし、1人で何人分かの家族(の葬儀を)やっているところもあった」
氷河の崩壊がきっかけとなり発生した大規模な土石流。再びネパールが復興するためには、何が必要なのか。
(2026年9月26日放送分より)
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