「中国とアメリカはともにファシズムと戦った」。習近平主席とトランプ大統領が共有した歴史認識に専門家は懸念を示しています。
■米中首脳会談 専門家が懸念
トランプ大統領から何かを話し掛け、それに応じて習近平国家主席はわずかに口元を緩め、両夫妻は晩餐(ばんさん)会の会場へと入っていきました。
トランプ大統領
「最初の貿易船がニューヨークから中国の珠江に着いて以来、アメリカ人と中国人は常に商品、知識、習慣、考え方を分かち合ってきた。これこそが互いを尊重する土台」
「貿易こそが互いを尊重する土台」。トランプ大統領は晩餐会のスピーチでそう話しましたが、アメリカと中国の関係はトランプ大統領の就任以降、緊張が続いてきました。それも、トランプ大統領が仕掛けた関税による貿易戦争によってです。
今は一時休戦となっていますが、貿易問題が首脳会談の最も大きな議題です。進展はあったのでしょうか。
アメリカ政治に詳しい明海大学 小谷哲男教授
「今回は米中関係が今、安定、良好な関係とアピールすることが目的。実質的な協議は先送りにしたということになると思う」
貿易戦争を仕掛けたのもアメリカ。休戦を申し出たのもアメリカです。
協議の先延ばしは何を意味するのでしょう。
小谷哲男教授
「関税を使ってけんかを仕掛けたのはアメリカ側。そのうち中国からレアアースの禁輸という強い対抗策を打ち出されて、アメリカから休戦を申し入れた。アメリカとすれば、協議を続けていくなかで着実にレアアースの安定供給を確保できるようにそれを進めていくことで、今回、休戦期間を延ばしたということ」
一方、中国にとっては得るものがあったようです。
小谷哲男教授
「中国にとっては、アメリカと対等な大国として歓迎されたということ。中国国内にもその成果をアピールできると思いますから、中国にとってはきわめて大きな成果と言えるのではないか」
実際、習近平主席は「2つの大国」という言葉を繰り返し強調していました。
習近平国家主席
「中国とアメリカは2つの大国として、人類の進歩と発展に対して歴史的な責任を負っている。中・米の両大国は協力すれば、双方に利益をもたらし、対立すれば双方に損害をもたらす」
この歓迎式典のあいさつで、トランプ大統領からは気になる発言がありました。
トランプ大統領
「歴史を振り返れば、共通の利益を追い求めるなかで、両国の人々は広大な海や数々の違いを超え結びついてきた。第2次世界大戦では同盟国にさえなった」
第2次世界大戦に触れ、アメリカと中国は「同盟国」と表現したのです。
これに対して、習近平主席も…。
習近平国家主席
「第2次世界大戦で中国とアメリカはともにファシズムと戦った。まさに先ほど、トランプ大統領がおっしゃったようにこの歴史を中国人民は忘れないし、アメリカ国民も忘れない」
第2次世界大戦におけるアメリカと中国の共通の敵と言えば、当然、日本です。
なぜトランプ氏は、わざわざこんなことを言い出したのでしょうか。
小谷哲男教授
「実は、1年かけてトランプ氏と習近平氏は対面だけではなく、電話会談を何度も行っているが、そのたびに習近平氏が中国の歴史認識をトランプ大統領にすりこんできた。それが今回、功を奏したので、中国は日本に対して様々なネガティブキャンペーンをしている。日本が新型の軍国主義に陥っているとも言っているが、そういう事実を考えると米中で同じような歴史認識を持つことは極めて懸念すべき問題」
ただ、米中首脳会談の前には高市総理もトランプ大統領と会談しています。
小谷哲男教授
「おそらく日本側は歴史認識で米中がすり合わせていることを気付いていなかったと思うので、そういう意味では日米首脳会談はあまりうまくいかなかったと言わざるを得ない」
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