沖縄で今を懸命に生きる人々にスポットをあてる「IMAGINE おきなわ」です。
この番組でこれまでもお伝えしている沖縄生まれの未来のコンクリート!今回は、海の環境に配慮したある取り組みを紹介します。
柔らかく・錆びず・耐久性がある沖縄生まれの未来のコンクリート、ハイブリッド・プレスレスト・コンクリート「HPC」
大阪万博のパビリオンでも使用された建材は、更に進化していてコンクリートの原料であるセメントの廃棄物・コンクリートスラッジと洗い流す際に使われた水・スラッジ水などを使ったセメントゼロのコンクリートHPCが開発されたと前回の放送で紹介しました。
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「この新しいコンクリートは、セメントを使っていないセメントゼロのコンクリート、さらに地球温暖化に悪さをする二酸化炭素をこのコンクリートの中に閉じ込めてます。未来のコンクリートです」
ここで簡単にコンクリートの仕組みを紹介します。コンクリートは中に鉄筋を埋め込み強度を補います、しかし鉄筋が空気や水に触れると錆びて劣化し強度が下がる難点があります、一方、HPCは鉄筋の代わりにカーボンワイヤー・いわゆる錆びない炭素繊維をねじり合わせた素材を使い、圧縮力を導入することで従来のコンクリートより薄くて軽量で粘り強く、更にポリプロピレン繊維を使用することで、ひび割れを防ぐ構造になってます。
細谷仁建築設計事務所 細谷仁代表「物理的に言うと、緊張をかけてコンクリートにプレストレスを与えてるので、普通のコンクリートに比べて、ぎゅっと密実になってるんです、それと、高強度コンクリートを使っているので、表面からの水の侵入がすごく少ないんです」
「万が一ひび割れても、中に鉄が入ってなくて爆裂する要素がない、そういった点でやっぱり通常のコンクリートに比べて半永久的とまでは言えないんですけど、中性化のスピードはすごく遅い、ひび割れて中で爆裂するものがない」
こう話すのは、HPCをうるま市のあまわりパークに採用した建築家・細谷仁さん。錆びず・柔軟性があり、耐久性を持つHPCが、新たに廃棄物を原料に生まれた第2世代のHPCに可能性を見たと話します。
細谷仁建築設計事務所 細谷仁代表「環境配慮について、実際こう魚礁として沈めたのがどの程度環境貢献、魚が戻ってくるとか、藻が付くとか、そういった、まだ実験してみないと分からないと思うので、その値についてはちょっとま未知数ですけど、めちゃくちゃ期待はしてます」
魚が集まりやすい場所のことを「漁礁」と呼んでいて、その漁礁をHPCを使って人工的に作り・観測する実証実験が行われています。
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「大分県の保戸島の方で、HPCがブルーカーボン生態系回復の目的で海に沈められてるんですけれども」「生態系によるHPCの板状礁のところで、カーボンネガティブにすると、両方基礎と板の方、両方でCO2をネガティブしていくと」
カーボンニュートラルを目指す国の政策に合致すると話します
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「コンクリートを脱炭素に向けた製品として付加価値をつければ、これは逆に追い風になるわけですね。そういう意味では、コンクリートを使ったカーボンネガティブにどうやって寄与できるかが」
阿波根さんはこの実証実験で、海の生態系を壊すことなく環境を維持することができると考えていています。
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「海を豊かに要するに『海のゆりかご作り』を一般的に言うと『エコシステム』って言ったりするんですけども、エコシステムをHPCを通して作っていきたい」
注目を集めているHPCは来年、着工予定の中城村立中学校の一部にリユースされることも決まっています。
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「大阪・関西万博で使われた技術が、沖縄で生まれた技術だとレガシーとして沖縄で使われた技術が沖縄に帰ってきて、また使われたらすごく美しい」「今の子供たちにとってリユースが当たり前、サーキュラーエコノミーって普通のこと、というふうな社会になっていくと」「将来、持続的に社会回っていくんじゃない」「夢があると言ったらいいのか、そういう社会を希望したいっていうか、なるんじゃないかっていう、思ってます」
阿波根さんはこれまでに、「コンクリートが有効に海で使えれば、新しいビジネスが生まれてくる」と海底都市への想いを語っています
HPC沖縄 阿波根昌樹代表(2021年2月11日放送より)「いまだに海底都市というのは実現していない、有効に海が使えれば非常に新しいビジネスが生まれてくるのではないか、その一つの役割というか、起用できるような建材に育てばいい」
これまでの成果に阿波根さんは
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「(海底都市構想)めちゃくちゃ近づいてます」
脱炭素を目的に開発されたHPC、壊れて当たり前だったの従来のコンクリートを覆し、リユースを目的に生産される時代に変化し、未来永劫の建材になる可能性を秘めています。
細谷仁建築設計事務所 細谷仁代表「HPCのアイデアを使うことで、新しい光のあり方とか、風の抜け方とか、プライバシーの守り方とか、新しい台風に対するスクリーンの作り方とか、そういったことはもう全然まだまだいっぱいできるんじゃないかなと思ってます」
HPC沖縄 阿波根昌樹代表「いつも逆です、逆張りしてます。逆張りしないとみんなと同じ方向に行くじゃないですか。みんなと違う方向に行こうとすると逆張りですよ。常にコンクリートが硬いねって言ったら柔らかいコンクリートを作るうと、コンクリートは塩害に弱いよねって言ったら沿岸に強いやつ作ればいい」「ある意味、小学校中学生が、そのコンクリートにほとんど興味ない。コンクリートを使ってかっこいいなっていうふうなコンクリートで、こんなんこんなに素敵なことができるのっていうような、コンクリートになっていけるんじゃないのかな」
近い将来、沖縄の海中にあなたが住んでいるかも?しれませんね。
大阪・関西万博に出展した建材でも評価を受けたHPC。現在、さらに開発を続けていて、今後、多くの所で見られるかも知れません。














































