琉球朝日放送の第265回番組審議会が2月15日火曜日午後3時30分よりZOOMによるオンラインで開催され、第27回プログレス賞 最優秀賞受賞作品 九州朝日放送「良心の実弾~医師・中村哲が遺したもの~」〈2021年12月31日(金)午前6時~午前6時55分放送〉について審議が行われた。

事務局報告では視聴率と視聴者応答(いずれも12・1月分)について報告が行われた。番組審議の概要は以下の通り。

中村医師の活動や功績に感銘を受けた。彼が語った印象的な言葉が多数盛り込まれており、視聴者が自らの生き方について考えさせられるドキュメンタリーだった。

30年来にわたる取材の成果としてさまざまな映像が使われており、番組に厚みを生んでいた。古い友人が中村氏のエピソードを語っていたが、彼のユーモアがきちんと伝わるよう字幕を工夫してほしかった。

中村哲という人物と、彼を長年にわたり取材してきた九州朝日放送の力量に圧倒された。親交のあった人へのインタビュー、地元ならではの緻密な取材を交えることで、立体的に彼の功績を描いていた。

家族が語る中村氏のエピソードが印象的だった。中村氏の実像とその活動、日本の技術を活かしたアフガニスタンでの灌漑事業など、たくさんの物語が含まれているが、構成がうまくかみ合って素晴らしい作品になっていた。

いい内容ではあるが演出も重々しく、興味のない視聴者には敬遠されてしまうだろう。ドキュメンタリーとして驚きのある見せ方やタイトルの付け方などを前面に出して効果的に惹きつけてほしい。

中村氏の功績の偉大さや言葉1つ1つに胸が熱くなった。ご本人がまだ30代の頃や、中村氏にゆかりのある人物、家族へのインタビューなど、地元局でしか成しえない貴重な映像ばかりで見ごたえがあった。

中村氏の行動原理や人間性の芯に迫っていくスタイルがいい。途上国支援が1過性に終わってしまいがちな中、当事者を主体にした支援のあり方に焦点を当てており、示唆に富む内容となっていた。

出席委員 安里睦子・横田哲・長嶺亮子・波平恒男・渡名喜郁夫
欠席委員 砂川久美子(レポート提出)・宮城栄作(同)