しかし環境中で分解されにくく、一度体内に取り込まれると長く蓄積されてしまうため「永遠の化学物質」と呼ばれ、有害性が指摘されている。ヨーロッパ環境庁(EEA)は健康影響として、腎臓がん、精巣がん、肝障害、甲状腺疾患、コレステロール値の増加、低出生体重児、ワクチン接種効果の低減、乳腺の発達遅延などをあげている。
当初、影響を受けているとみられたのは嘉手納基地周辺の7市町村、45万人。ところが沖縄県などの調査で、宜野湾市の普天間基地や金武町のキャンプ・ハンセン周辺の川や地下水でも次々に汚染が発覚している。
沖縄戦で住民の4人に1人が犠牲になり、戦後も27年間、日本本土と切り離され、米国統治下を経験した沖縄。戦世(いくさゆー)からアメリカ世(あめりかゆー)、そして大和世(やまとゆー)へと時代が移り変わる中、貧しく、苦しい生活を支え、人々の命をつないできたのは、地中からわき出す「命ぬ水(ぬちぬみじ)」だった。
ディレクターには、これまで数々の米軍基地問題をスクープし、昨年、米国の「レイチェル・カーソン環境出版賞」で2位を受賞したフリージャーナリストのジョン・ミッチェル氏が参加。米情報自由法(FOIA)を利用して得た米軍や米連邦議会資料、内部告発者から手に入れた映像や写真などから、問題の本質に迫った。