9月9日のきょうは、救急の日。山城アナウンサーが取材を担当しました。
救急医療に対する理解や認識を深め、医療従事者の意識向上を目的に制定されました。沖縄の救急現場の今を取材しました。南風原町にある南部医療センター・こども医療センター。県内に4つある救命救急センターのひとつで、県内で唯一、24時間 重篤な小児患者を受け入れる体制が整っています。しかし その現場は、夜間や休日、ひっ迫しています。
南部医療センター 救急科 糸川莉子医師「(準夜間帯は)救急医師が3人で回しています」
救急外来を担当する 糸川莉子(いとかわ・りこ)医師(27)。救急専攻医の1年目です。

糸川莉子医師「ウォークイン(外来)の患者さんが多いのでそこに人手が取られてしまって救急車も基本的には受ける体制をとっているんですけど」
この日は、小児患者を受け入れる輪番日。こちらのお母さんは、4歳の息子が保育園で頭をぶつけたため、救急を受診しました。
お母さん「(去年7月に)頭を打って硬膜外血腫で入院していたのでたんこぶあったから心配で」
糸川莉子先生「ちょっと目の周辺触っていいかな?」「ここ押して痛い?」「大丈夫?」
小児患者の中には、一見 軽症に見えても実は重篤な症状が隠れているケースもあるため、夜間に救急を受診する人も少なくありません。
お母さん「(Q.救急があると心強いですか?)ないと困りますね何かあったときに」
日本の救急医療は、軽症の「一次」、入院が必要な「二次」、そして、生命に関わる重症の「三次」と、三段階に役割が振り分けられています。しかし、沖縄は異なります。アメリカ統治下に、「軽症から重症まで大病院で幅広く診療する」という北米式のER文化が根付いていったのです。その結果、県外にあるような夜間や休日の「一次救急の受け皿」が、県内には十分にありません。

南部医療センター 救急科 星野耕大医師「歴史的な背景もありつつ、今もその現状は変わっていない状況です。軽症の患者さんなどを広く受け入れてしまうと急性期病院としては適してないとして病院全体の入院料が下がってしまったり病院の経済的な損失につながる」
ER型救急は、「どんな症状でもすぐ診てもらえる」という安心感があります。しかし、現在の国の診療報酬制度では、重症患者を診るべき救命救急センターで軽症患者を数多く診療すると病院としての評価が下がってしまいます。
結果として、病院の収益にまで悪影響が及んでしまうのです。そして何より、軽症患者の対応に追われることで…
南部医療センター 救急科 研修医(消防要請を受けた電話対応)「すみません、当院ベッド満床でして・・」
重症患者に必要なベッドやスタッフが不足し、“救えるはずの命が救えなくなってしまう”事態につながりかねません。
星野耕大医師「救急医療全体が総崩れしてしまうのではないかと懸念している」
午後9時25分。休息もつかの間――
生後10か月の赤ちゃんの受け入れ要請が入りました。
糸川莉子医師「小児のお子さんで熱があってけいれんしているということで・・」
20分後、救急車が到着しました。
「けいれん続いてます、ちょっとチアノーゼでています」
重い症状がみられる赤ちゃんの処置にあたる医師たち。時間との闘いです。救命救急の最前線、南部医療センター・こども医療センター。生後10か月の赤ちゃんは、発熱によるけいれんが、すでに1時間近く続いています。小児集中治療室のドクターも駆けつけました。

南部医療センター 小児集中治療室 糸数大吾医師「呼吸も忘れてしまうので挿管して人工呼吸管理を始めました」
緊迫した処置が続く間にも別の小児患者が運ばれ、診察も続きます。。
糸数大吾医師「けいれんは30分以内に(止める)それまでに止められなくてもなんとか早くという処置をしていくんですけど、後遺症を残さないようになるべく早く治療する」
搬送から2時間以上が経過し、ようやく症状が落ち着いたところで、赤ちゃんは小児集中治療室へと移されました。
沖縄では、夜間に大きな病院の救急に行くしかないという現状があるんですね。
山城アナウンサー「そうなんです。軽症であれば病院を受診しないでほしいというわけではありません。私自身も、子どもの頃発熱した時には、大きな病院を受診していたなと思いました。ですが、、ひっ迫する救急医療の現場。こうした状況を「変えたい」と県内でも新たな動きが始まっています」
「来年9月、南風原町に夜間や休日のクリニックが誕生します」
誕生するのは「TAIRA救急クリニック」。鹿児島県の医療法人が立ち上げる、新たな救急の拠点です。

TAIRA救急クリニック 平良隆行医師「ここには主に一次救急の患者、熱や転んでけがをした頭をぶつけたなどそういう患者を診るクリニックが建つ予定です」「24時間365日断らない救急というのが理念」
「24時間・365日、断らない」県内初となるこうした施設を開設する背景には、救急の現場で働く医師や看護師、そして、患者自身の負担を減らしたいという思いがあります。
平良隆行医師「第一には患者のためになる。忙しい病院へ三次救急へ行って待っている時間が少しでも短くなれば、家族が安心して家に帰って寝る時間が増えるし、気軽に来てもらえれば、三次救急の先生たちも一次救急を見ていた時間の分休めるかもしれない。その分家族といる時間が増やせるかもしれない。そういう役割を担えれば」
開院後は、県内の主要病院とも連携を図っていきたい考えです。沖縄の救急医療が抱えるひずみを和らげる一歩となるのか。注目です。
来年開院と、まだ先ですが一次救急の受け皿、期待したいですね。
山城アナウンサー「県内初の一次救急クリニックは来年9月に開院する予定で、引き続き、追いかけていきたいです咲)取材する中で、糸川先生が『生きてここに運ばれてきたらみんな救いたいですよね』とつぶやいていたのが印象的で若手の医師の中には、沖縄のER型救急を学びたいと県外からくる方もいて、意識の高さや熱意をとても感じました」

山城アナウンサー「取材に協力していただいた南部医療センター・こども医療センターでは心肺補助装置ECMOなどが搭載された救急車・通称〝走るICU〟の導入を目指してクラウドファンディングを募っています。詳しくは、来週の金曜日18日に特集でお伝えします」
山城アナウンサー「最後に、特集内で救急車で運ばれてきた10か月の赤ちゃん。無事、自発呼吸ができるようになりおとといから小児病棟で、過ごしています。元気になって本当によかったです。きょうは救急の日。改めて、救急現場の現状を知り医療従事者のみなさんに感謝したいです。ここまで特集でした」







































