■「ホルムズ海峡を完全に解放」
イランのアラグチ外相は17日、「レバノンにおける停戦合意を受けて、ホルムズ海峡を通過する全ての船舶の航行は残りの停戦期間中、完全に開放される」とSNSで表明しました。
航路については「イラン港湾・海事機関がすでに発表した調整済みルート」を指定しています。
これに対し、アメリカのトランプ大統領は自身のSNSに、イランはホルムズ海峡が「完全に開放され、全ての船舶の航行が可能な状態になったと発表した」と投稿しました。
さらに「ホルムズ海峡は完全に開放され、航行に支障をきたすことはない。しかし、イランとの交渉が100%完了するまでは、イランに関する限り、海上封鎖は引き続き、完全に効力を維持する」としています。
ニューヨーク市場は、ホルムズ海峡に関する報道を受けて、前日から大きく値を上げています。
■イランの思惑は
イラン情勢に詳しい、中東調査会研究主幹 斎藤正道氏に聞きます。
(Q.アラグチ外相のコメントをどう評価しますか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「恐らくイラン側としても、アメリカとの停戦を真剣に考えているというメッセージだと考えています」
(Q.アメリカとのイランの協議に向けての前向きなメッセージになりますか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「いつになるかは分かりませんが、停戦協議を今後も続けていきたいというイラン側の意思を明確に表すための方法として、ホルムズ海峡の通行を阻害しないことを表明したんだと理解しています」
(Q.ホルムズ海峡の封鎖が解かれると楽観視してもいいですか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「実際に封鎖が解かれるかどうかは、航行する船舶がどう理解するかにもよりけりです。今後、アメリカとイランの間で停戦に向けた協議が本格的に進むと分かった時点で、実際に封鎖が解かれるかどうかの判断ができると思います」
(Q.レバノンとイスラエルの停戦合意が成立したことが大きかったのでしょうか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「当然そうだと思います。レバノンというか、ヒズボラはイランの弟分と言いますか、80年代以降ずっと支援して育ててきた組織ということで、ヒズボラを切る形で停戦協議はできないというのが、イラン側の立場です。ここがクリアになった以上は、イランとしても停戦協議に応じるこをはやぶさかではないのだと思います」
(Q.トランプ大統領はSNSで「イランとの交渉が100%完了するまでは、イランに関する限り、海上封鎖は引き続き、完全に効力を維持する」と述べていますが、どう分析しますか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「現在の状況が続くのは、イラン経済に非常に大きなダメージがあると。食料品価格も高騰している中、追い打ちをかける形で、ペルシャ湾の海上交通をアメリカが封鎖する状況は、イランにとって非常にまずいという理解があった上で、アメリカがそこに付け込む形で、イラン側に確実なホルムズ海峡の通行妨害の停止を求めているのだと思います」
(Q.イランの足もとを見る形で、アメリカはイランへの封鎖は解かない形になっていますね)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「イランが安全な通行を保障することを確認すれば、アメリカの妨害措置は解くという、駆け引きなんだと思います」
(Q.マーケットは歓迎をしていますが、イランも取り消す可能性もありますし、まだ駆け引きの途中で予断を許さないという見方をした方が良いですか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「私もそう思います」
(Q.アメリカとイランの協議が行われるのかということになりますが、1週間前と比べて見通しは明るくなっていると言えますか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「今回のアラグチ外相の表明自体は、明るい兆しかなと感じています」
■アメリカ・イラン再協議は19日か
アメリカとイランの再協議をめぐり、19日にもパキスタンで開催される可能性があるとアメリカのニュースサイトが報じました。
アメリカのニュースサイト『Axios』は関係者の話として、アメリカとイランの対面での再協議は、パキスタンのイスラマバードで19日にも開催される可能性があると報じました。
濃縮ウランの扱いが再協議の大きな争点となっていますが、Axiosはイランが保有する濃縮ウランを放棄する見返りに、凍結資産200億ドル=日本円で約3兆1600億円分を解除する案が検討されていると伝えています。
(Q.イランが保有する濃縮ウランを放棄する見返りに、凍結資産200億ドルを解除するというのは、両者が折り合う可能性がある案だと思いますか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「なかなか難しい所ではありますが、少なくともカタールに凍結されているイラン側の資産60億ドルの凍結解除に関しては、アメリカが容易に受け入れることができる額だと思います。残りの140億ドルがどの試算なのか判断しかねるところがありますので、イラン側としては200億ドルというのは、かなりつり上げた額かなという気はします」
(Q.アメリカとイランの再協議が、これからの命運を左右すると言えそうですか)
中東調査会研究主幹 斎藤正道氏
「もちろんそうだと思います。イランとしても凍結資産が解除されることになれば、ウラン濃縮作業の停止や、濃縮ウランの引き渡しに対する名分も立ちますので、なるべく高い金額につり上げたいという意図があると思います」
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