ファストファッションによる環境負荷が世界規模で問題となるなか、現代では洋服だけでなく「伝統衣装」も大量に生産され、消費されています。そんななか、廃棄予定だった伝統衣装を再活用させ、環境問題に立ち向かう企業がありました。
9200万トン。これは毎年、世界中で廃棄されている布や生地の量です。
ファストファッションがもたらす大量生産・大量消費の波は近年、洋服だけでなく、伝統衣装にまで押し寄せています。
今もなお多くの人が着用するインドの伝統衣装「サリー」は、低価格で大量生産された布が市場を席巻するなど“ファストファッション化”の影響を強く受け、綺麗なままの布が大量に捨てられていました。
そんななか立ち上がったのが、廃棄予定だったサリーの布を日用雑貨に生まれ変わらせるブランド「I was a Sari」。
創業者はイタリアのファッションデザイナー、ステファノ・フナリさん。色鮮やかな布に惚れ込み、サリーを活用して社会問題の解決に貢献したいと思ったそうです。
さらにもう1人、サリーの布にひかれた人が。「I was a Sari」の日本展開を手掛ける中川雅里名さんでした。
エシカリージャパン代表 中川雅里名さん
「私が(インドの)ムンバイに縁があって2年ぐらい住んでいたんですけど、カラフルな衣装を身にまとって、自信を持って歩く女性たちがすごくすてきだなと。すごくカラフルで個性的な柄なので、自分自身がサリーを着こなすのは日本では難しい。『雑貨とか小物だったら日本でも楽しく持てるのでは』という一消費者としての勘といいますか、『I was a Sari』を知った時に、これだ!と思ってステファノのところに直談判しに行った」
そして、日本でも手に取ることができるように。バッグやアクセサリーなど、個性的なデザインの商品が来場者をひきつけます。
数多くある伝統衣装の中で、なぜサリーが着目されたのか。そこには明確な理由がありました。
中川雅里名さん
「1枚の長い、長方形の布なので、加工がすごくしやすい。すでに形になったものをほどいて切ってとかではなく、そこから加工ができる」
サリー最大の特徴である“長さが6メートルほどある大きな一枚布”。生地を無駄なく再活用させることに適していたといいます。
さらに、ひときわ目を惹く「鮮やかな色」や「個性的なデザイン」も日用雑貨に作り替えるうえで相性が良かったということです。
一度は使われなくなった布が新たな商品に生まれ変わった結果、これまでに、日本の国土の約5.3倍にあたる200万平方メートル以上の布が埋め立て処分されるのを防いできました。
さらに、累計“5億7300万リットルの水”“4109トンの二酸化炭素”を削減することにも成功しました。
それでも、今はまだ道半ば。活動の幅をもっと広げたいといいます。
中川雅里名さん
「まだまだ出会っていないお客様が日本にたくさんいると思うので、できるだけ出向いて、実際に見て可愛いとか、この色がいいなとか、このデザインがいいなって選ぶ時間が楽しいと思うので、そういった機会を増やしていきたい。(将来的には)アメリカとか他のアジア諸国でももっと広げたいなと思う」
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