ここからは、沖縄で今を生きる人にスポットを当てる「IMAGINE おきなわ」です。61年前、飲酒運転による事故で母親を亡くした女性が、二十歳を迎えた若者たちの交通安全を願い、ある取り組みを行っています。女性が酒が飲めるようになったばかりの若者に伝えたい思いを取材しました。
眞栄田絵麻さん「成人式のお守りです、成人する皆さんにお配りするお守りを作っています」
先月、宜野座村で女性たちが集い作っていたのは、交通安全を願うお守り。毎年、村が開催する「二十歳を祝う会」で手渡されるものだ。この取り組みを提案した眞栄田絵麻さん(73)
眞栄田絵麻さん「去年はこういう感じで、これは去年の作り方ですね、みんな違うんですよ」「材料を調達して今回はこのように作りましょうということで担当が中心になって」
ひとつひとつ丹精込めて「お守り」を作るそのわけ、そこにはどうしても忘れることができない過去があった。
眞栄田絵麻さん「ことしは母が亡くなって60年になりました。兄貴の結婚式の日が葬式の日に変わってしまった。天国から地獄というのか」
1965年11月、当時12歳の絵麻さんは、兄の結婚式に出席するため那覇へ。式も終わり、宜野座村へ向かっていた帰り道、反対車線を走行していたピックアップ車が中央線を越え、絵麻さんの母や兄など5人が乗った車と正面衝突した。
突っ込んできた車のドライバーは飲酒運転だった。後続車両に乗っていた絵麻さんは事故を免れたものの、目の前の景色は地獄そのものだったと言う。
眞栄田絵麻さん「何がなんやらわからない状況の中で、お母さんは?っていう感じで、姿もみてしまってどうしようもなくて。涙も出ないし、ただこの現場で子ども心でどうしようかって言って立ち往生している感じだったんですが、事故起こした方、でも傷一つもない、何一つ、無傷」
喜びの絶頂からどん底へ、楽しかった兄の披露宴の日が母の命日になった。
県警のまとめでは、去年発生した人身事故のうち、飲酒がらみのものが占める割合は全国と比べ2.7倍でとなっている。これにより沖縄県は、5年連続の全国ワーストを記録した。飲酒した理由についても「大丈夫」だと過信する人が多いという。
知り合いの紹介で30代から飲酒運転防止の啓発活動を始めた絵麻さん、県警や県などから依頼され、講演や飲酒運転根絶アドバイザーを務めるなど活動を40年以上続けている。
眞栄田絵麻さん「それ(講演)を経験したことによって、少しだけ涙がぽつっとでたんですよね」Qそれまでは涙って?「一切流したことありませんでした、事故の寸前に涙がすべて枯れてしまったという感じですだから、いつも笑顔でいることを意識して、笑顔で笑顔で笑顔で生きてこうって自分で思ってましたので」
飲酒運転根絶を目指す絵麻さんが若い人たちに伝えたい活動のひとつにこのお守りづくりがある。当初は14人で始めたこの活動に賛同者が集まり、いまでは24人で行っている。
女性部2年目・髙里由紀さん「もらう方もうれしいんじゃないかなと思う、お守りだからね、車も乗るし、沖縄は車も使う場所だからとってもいいことだと思う」
女性部4年目・松田トシ子さん「一番は交通安全ですね、それを願っています」
神社で浄めた塩や魔除けの「さんぐゎー」とともに、絵麻さんたちの願いを込めた、お守りが完成。
今月5日、華やかな振袖や袴、スーツに身を包んだ二十歳のつどい参加者たちが集う中、絵麻さんの姿があった。
眞栄田絵麻さん「毎年、ことしで12年目になるんですが、さんぐわーのおまもりを手作りをして思いを込めて魂がいっぱい入ってまして、みなさんにお配りすることで少し意識をしていただけたらなと思ってるんです」
二十歳のつどい参加者「将来は救急救命士になって人の命を救える人になりたいと思います」
二十歳のつどい参加者「将来の夢は看護師になることです、おとうさんおかあさん見守っててね~」
二十歳のつどい参加者「目標は、お金の使い方をちゃんと考えて生活していきたいです」
眞栄田絵麻さん「だれひとり被害者にも加害者にもなってほしくないという気持ちを込めて作りました、今年も贈呈いたします」
二十歳のつどい参加者「はたちとして、一人の人間として、成人するからにはその責任があると思うので、人の命にもかかわるので飲酒運転はだめだと思います」
二十歳のつどい参加者「(お守りは)自分たちに対する愛情だと思うので、その愛情をちゃんと受け止めて責任感もって20歳、過ごしていきたいです」
ひとつひとつ、思いを込めたお守り。ことしも青年たちのもとに届いたようだ。
眞栄田絵麻さん「(きょうで)一丸となって沖縄県からゼロに近づけていこうという一歩を歩みだしたような気がしました」「被害者加害者は絶対に出しちゃいけない、ぬちどぅ宝でしょ。だから被害者の立場として遺族として、死ぬまでこの思いは変わらないと思います」
飲酒運転で家族を失った絵麻さん、同じ悲劇をなくすため、そして、この交通安全の取り組みが広がるように活動は続く。
絵麻さんは「酒を飲むことは悪いことではない」ただ、飲んだら絶対に車を運転してはいけないと繰り返し話す様子が印象的でした。
絵麻さんは様々な活動を続けていますが、それでも沖縄県は人身事故のうち、飲酒がらみの事故が占める割合が全国ワーストです。「大丈夫」という言葉で軽率に飲酒運転をすれば、悲しい思いをする人が生まれてしまうということを、ひとりひとりが改めて自覚することが必要です。
以上、IMAGINEおきなわでした。
















































