首里城復元の歩みを見つめる「復興のキセキ」です。2022年の起工からおよそ3年。令和の首里城の復元工事は着実に進んできました。きょうは、ことし1年の歩みを振り返ります。
色鮮やかな草花が揺れる春。瓦工事が一段落。約6万枚の県産・赤瓦と漆喰の白が屋根を美しく飾ります。
船越 記者「正殿の屋根を飾る龍頭棟飾の一部が今取り付けられようとしています」
城の最も高い場所に据えられたのは国王の象徴・龍をモチーフにした「龍頭棟飾」幅(約)3.4m、高さ1.6m、重さはなんと1t。その巨大さから、200以上に分け制作したパーツを組み立てながら設置されました。
原料には、県内で調達された土が。色味は壺屋焼伝統の釉薬が使われていて、まさに「沖縄」が詰まった特別な龍です。また、正殿の顔ともいえる「唐破風妻飾」や鬼瓦も取り付けられぐっと華やかさが増しました。
夏。正殿の外観が完成し、これまで「見せる復興」の舞台となっていた素屋根が解体されることに。
玉城アナウンサー 「圧巻です。色彩が豊かで堂々とした構え。火災からおよそ6年、正殿はここまで蘇りました!」
火災から5年9カ月。およそ2070日の月日を費やし、この日、正殿の全体像が公開されました。令和の新しい正殿では、沖縄戦前の姿を捉えた写真や古文書から得た情報など新たな知見をもとにより往時の姿に近づいています。その中でも…ひと際注目されている部分があります。
玉城アナウンサー「大部分の柱や壁に塗られているこの赤、実は平成の正殿とは「異なる色」なんです!」
玉城アナウンサー「突然ですが…中村アナ、ここでクエスチョンです。(Q.首里城の赤として採用された琉球独自の新たな色の名前は?)5秒でお答えください…!」
玉城アナウンサー「(中村アナ答える)正解は――久志間切弁柄。現在の名護市久志地域などで採れた「鉄バクテリア由来」の天然顔料です。古文書に記載はあったもの、どこで採れた何を原料に生産されていたのか平成の復元時には特定できませんでした。しかし今回、関係者の努力で、再現することができました。太陽の下だと肉眼でもかなり分かる。ぜひ注目してみてください」
秋になると、素屋根は完全に取り払われ、正殿が首里の街に帰ってきました。
宮大工・後藤亜和さん「この再建に携われていることは自分の仕事にすごく良い影響を与えているし、すごく良い経験になっているし(首里城が)建っていく姿でもいいし完成した姿を見て心を動かしてもらえたらいいなと思う」
復元は、人の技と誇りも育てています。「人材育成」をテーマに掲げている令和の復元。ことしも県出身の技術者が多く携わりました。
漆職人 宮平京弥さん「正殿の復元で培った能力。力で少しでも貢献していけたら」
宮大工 上原翔悟さん「今回学んだ技術や知識を次世代にしっかり伝えていくことが自分の役目だと思っている」
正殿の歩みとともに受け継がれる技術と思い。その積み重ねが“最後の山場”を支えていきます。
玉城アナウンサー「来年秋の正殿完成へ、集大成となる2026年にはどんな作業が予定されているか、見ていきます」
細やかな刺繍が目を引く「垂飾り」など…城を象徴する制作物が、いよいよ完成します。2026年、新たな歴史が始まる首里城正殿。復興の“今”を来年も丁寧に伝えていきます。ここまで復興のキセキでした。











































