琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」です。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。
湊 和雄さん「宜しくお願いします」
今回のテーマは「蝶?それとも蛾?」です。
湊 和雄さん「蝶と蛾の違い、分かりますか?鮮やかなのが蝶、地味なのが蛾。昼間活動するのが蝶、夜活動するのが蛾。とまるときに翅を閉じているのが蝶、開いているのが蛾」「など、いくつかの識別ポイントが挙げられますが、何れも例外が存在します。映像で実際の例を見てみましょう」
蝶なのか蛾なのか!?一緒に考えながら見てみましょう!
湊 和雄さん「とても鮮やかな色彩ですね。サツマニシキという、日本で一番美しい蛾と呼ばれています。
え、蛾なんですかコレ!?
湊 和雄さん「そうなんです、蛾なんです」
湊 和雄さん「表側だけではなく、翅の裏側や胴体もとても鮮やかな色彩に覆われています」
鮮やかなだけではなく、金属光沢を放っていますね!
湊 和雄さん「こちらもよく似た形をしたオキナワルリチラシ。サツマニシキに比べてかなり多く見られます」「一見、サツマニシキに比べると地味に見えますが、拡大して見ると、やはり金属光沢を伴った青色が認められます」
湊 和雄さん「こちらは黒い翅で一見地味に見えますが、頭部から胴体は紅色でかなり目立ちます。後翅には鮮やかな青色も隠されています。これまでの3種類はマダラガというグループで、有毒なのです」「そのことを鳥などの天敵にアピールするための色なのでしょう」
湊 和雄さん「こちらは一見して地味なモンシロモドキ。色は地味ですが、やはり日中花の蜜を吸う蝶のような行動をする蛾です」
湊 和雄さん「そして、蝶のように花から花へと移動します」「再び、鮮やかな蛾、ルリモンホソバ。かつて夜の照明に飛来するのがたまに見られる程度の珍しい種類でしたが、ここ数年昼間の姿がかなり見られます」
湊 和雄さん「和名のとおり瑠璃色が含まれますが、一見黒にも見えます。成虫が有毒という説はありませんが、この黄色と一見黒に見える模様に意味があるのかもしれません」
湊 和雄さん「これはムラマツカノコ。翅に透明な部分も多く、ハチに似ています。ハチは毒針で刺しますから、鳥などの天敵にも恐れられています。それに擬態した作戦なのです」
湊 和雄さん「これもまた鮮やかな色彩のイヌビワオオハマキモドキ。キラキラとした実に派手な色彩ですが、その理由は解りません。そして、この地味な色彩なのは、蛾ではなく蝶なんです。リュウキュウヒメジャノメという正真正銘の蝶です」
蝶!?超・蛾に見えます!!
湊 和雄さん「しかし、注目して欲しいのはこの触角の先端。ちょっと太くなっていますね、これが蝶と蛾の識別点で最も例外の少ないポイントだと言われています」「先端がやや太くなるのが蝶、次第に細くなるのが蛾と言われています」
湊 和雄さん「このチャバネセセリもそうですね。しかし、こんな細かい小さな部分の特徴を確認するのは大変ですよね」
湊 和雄さん「結論。蝶と蛾の明確な区別は、分類学でも存在しないのです。飽くまでも人間の概念なのです。言語でも、日本語や英語では区別しますが、区別しない言語も少なくありません。ウチナーグチでも「はーべーるー」で両方を表します」
湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました。次回はいよいよ今年のラスト回ですね!楽しみにしています以上、リュウキュウの自然でした。

















