2022年7月、那覇市の認可外保育園で一時保育で預けられていた生後3か月の赤ちゃんが死亡しました。
那覇市の調査で、赤ちゃんは複数回うつ伏せ寝の状態にされていたことが確認されて、その後元園長は保護責任者遺棄の容疑で書類送検されましたが、不起訴処分となりました。
「当日、何があったのか、真実が知りたい」と行動を起こした両親の活動と今の心境を取材しました。

母の問いかけに声を上げ、笑う男の子。4年前の2022年、4月4日に生まれた涼空(りく)ちゃん。家族からの愛を一身に受け、元気に育っていたさなか、突然命を落としました。
2022年7月30日。母親は、那覇市の認可外保育園に生後3か月の涼空ちゃんの一時保育利用を依頼。その日の朝、園に預けます。昼過ぎに涼空ちゃんを迎えに行くと中に入れず、15分ほど待たされました。
母親「ちょっとさすがに長いし、他の(人の)お迎えがあるわけでもないので、私だけしかいなかったので、さすがに長いなと思って、ドアを1回開けて覗いてみたんですけど、ただ中が結構薄暗いので様子もあまり見えない状態だった」
そして、当時の園長に抱きかかえられた涼空ちゃんの異変に気付きます。
母親「元気な状態で渡されると当たり前に思っていたので、見たことない息子の姿で、本当に亡くなった赤ちゃんって見たことなかったんですけど、それでももう一瞬で亡くなっているって分かるような」
母親「もう亡くなっているじゃないですかっていうふうに園長に声をかけたんですけど、意味がわからないというか、何が起きたのかももちろんわからないですし、慌てた様子でお母さん大変って出てきたわけでもなかったので」

母親「(園長は)ちょっと冷たいですけど生きてますよっていうふうに言っていて、体のいろんなここが暖かいからほら大丈夫っていうようなことを言ってたんですけど、明らかに亡くなっている姿だったので・・・・」
母親は消防に通報し、涼空ちゃんへの心臓マッサージも行いました。その後病院に搬送されましたが、涼空ちゃんの笑顔は二度と戻りませんでした。
発生後、那覇市が行った調査では、今回涼空ちゃんの死因については特定できていないものの、園長への聞き取りの中で何度もうつ伏せの状態となっていたことが分かっています。
また、事故予防マニュアルや研修は未実施だったこと、予兆や既往歴がない乳幼児が死亡する原因不明の病気(乳幼児突然死症候群・SIDS)の発症リスクを下げるためのチェックを一時預かり利用の園児には行っていなかったなど、ずさんな管理体制が明らかになっています。

県警は去年11月、園長が涼空ちゃんの十分な監視を行わなかったうえ、異変を感じたことを認識していながら応急救護や適切な治療を受けさせなかったなどの必要な保護を行わなかったとして、保護責任者遺棄の容疑で書類送検しました。
しかしことし3月、那覇地検は不起訴処分を発表。その理由について、「収集済の証拠関係を踏まえ、適正な判決を獲得できるかという観点から総合的かつ慎重に検討した結果」としています。
母親「本当に頭が真っ白で・・・信じられない気持ちと、このひどい出来事が起訴にならなかったらどんなことが起訴になるんだろうっていう思いがありました」

うつぶせ寝による乳児の死亡事案について、ことし2月、東京地裁が業務上過失致死の罪に問われていた元施設長と職員の2人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しています。
この裁判では死因が明確に「窒息死」だと断定されていて、施設長が睡眠中の乳幼児の顔色や呼吸状態を観察、記録するように適切に指導しなかったことや、職員が注意義務を怠ったことを認定しています。
一般的に見ても保護責任者遺棄での立件が少ない中で、今回の不起訴処分の理由について代理人弁護士は、次のように意見を述べます。

大井琢弁護士「保護責任者遺棄(罪)で勇気を持って事態を本当にちゃんと端的に見て、これはもうこれ(保護責任者遺棄罪)に当たるよねっていう判断をすればいいのに、周りを見て『業務上過失致死でみんなやってるよな』っていう『じゃあちょっとこれはなんかちょっと怖いよね』みたいな、そういうことがあったんじゃないか」
「もうこれ以上こういう事故を起こさせないということのために、これはもう保護責任者遺棄致死に(までも)当たるようなすごく重い罪なんだよっていうメッセージを送ることが那覇地検はできたにも関わらず、それを放棄したっていうことなんだろうと思います」

不起訴処分を受けて「自分たちで動かなければ変わらない」と感じた両親は、涼空ちゃんの誕生日である先月4日にオンライン上で署名活動を開始。きのう時点で3万6000人以上にまで達しています。さらに-。
「保育園児の死亡事故の署名を集めております」
那覇市の国際通りでチラシを配りながら署名を呼びかけました。
30代夫婦・静岡から「こどもが生まれて父親母親になると、ちょっとつらい事件だなと思って署名だけさせてもらいました。なにか力になれればいいかなという感じで」
60代男性・那覇市「この事件に関しては、すごい不審感っていうかね、ああいうのがいっぱいあったんで、じゃあすぐ署名しに行こうと。署名したからってどうなるかちょっと分からないんだけど、自分の気持ちとしてはね、やっぱちょっと許せない」
事件の概要と両親の思いが書かれたチラシは1000部用意。通行人に配布し署名の協力を求め続けていました。

母親「不起訴から起訴になることも一つのゴールではありますが、その先でしっかり起きてしまった事故に対しての処罰であったりとか、責任を取っていただくということもそうですし、それをきっかけにこれからの園のあるべき姿というのを多くの方々が再認識していただいて、より安全な保育をしていただけるように、日本中にその思いが広がるといいなというふうに思っております」
両親は来週にも、起訴を求めて検察審査会へ申し立てを行う予定です。
今回、那覇地検が不起訴処分とした保護責任者遺棄罪の場合は3ヵ月以上5年以下の懲役刑、致死罪となると、3年以上20年以下の懲役刑が科せられます。
一方、ことし2月の東京地裁の判決でもあった、業務上過失致死罪の場合は、5年以下の懲役や禁錮刑または100万円以下の罰金が科せられます。
この両者には故意と過失の違いがあり保護責任者遺棄罪の方が、刑が重いのが分かります。両親は来週11日にも起訴を求めて検察審査会へ申し立てを行う予定です。







































