米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」は1月8日、中国が日本向けのレアアース輸出規制を強化した可能性を報じた。中国の輸出業者や中国政府の決定に詳しい関係者の話として、日本に対し一部のレアアースや強力な磁石の輸出規制がすでに始まったと伝えている。同紙によると、中国当局は日本向け輸出について、必要とされる許可申請の審査を停止したという。この措置は日本産業全体に及んでいると関係者は説明している。規制強化の対象とみられているのは、いわゆる「ヘビーレアアース」と称される7品目。具体的には、サマリウム、ジスプロシウム、ガドリニウム、テルビウム、ルテチウム、イットリウム、スカンジウムが含まれるとされる。医療用MRI、航空機の翼の制御システム、映画や印刷向けの光源、特殊ガラスやセラミックスの製造など、工業、医療、電子機器分野に幅広く使用されている。この7品目は、中国商務省の2026年度版「軍民両用品リスト」に掲載されている。これらの品目は、昨年4月、トランプ政権による関税措置への報復として、中国が輸出管理を強化した対象のものとされている。
中国商務省は1月6日、日本への輸出管理を厳格化すると発表した。その理由について「国家の安全と利益を守り、拡散防止などの国際的義務を果たすため」と説明、中国側はあわせて、今回の措置の背景として、日本の指導者が台湾情勢を巡り「誤った発言」を公然と行い、台湾海峡問題への武力介入の可能性を暗に示したと主張した。さらに1月8日、商務省の何亜東報道官は、規制強化の狙いについて「日本の再軍事化や核保有の企みを阻止することにある」と述べた。その上で、「民生利用に関するものは影響を受けない。正常な民生貿易を行う関係者は全く心配する必要はない」と強調した。
中国による軍民両用品やレアアースを巡る輸出規制強化は、日本経済に無視できない影響を及ぼす可能性がある。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミストである木内登英氏は、中国が輸出している軍民両用品目を幅広く捉えた場合、日本経済への影響は年間で約10.7兆円規模に達するとの試算を示している。2024年の日本の貿易統計を基に算出。さらに、レアアースに限定した影響については、2010年の経験を踏まえた試算で、輸出規制が3カ月続いた場合の経済損失は約6600億円に上り、日本の国内総生産(GDP)を0.11%押し下げる可能性がある。規制が1年間継続した場合には、損失は約2.6兆円に拡大し、GDPを0.43%程度押し下げるとの見通しだ。
規制の網は直接取引だけでなく「迂回輸出」にも及んだ。中国商務省は1月6日の声明で、「いかなる国・地域の団体および個人も、本規定に違反し、中国産の関連軍民両用物資を日本の団体および個人に移転または提供した場合、法に基づき法的責任を追及される」と明記した。第三国経由による供給にも牽制をかけた形で、企業の調達に制約が生じる可能性があるとみられる。こうした状況を受け、片山さつき財務大臣は、1月12日に米ワシントンで開催される方向で調整が進むG7(主要7カ国)に加え、重要鉱物財務相会合の協議に出席する予定。会合では、レアアースを含む重要鉱物の供給網強化が主要議題となる見通しで、産出国の参加も想定されている。片山財務大臣は、重要鉱物の供給網の安定化について「各国の経済安全保障や世界経済の安定にとって非常に重要な課題だ」との認識を示している。
★ゲスト:小谷哲男(明海大学教授)、鈴木一人(東京大学公共政策大学院教授)
★アンカー: 杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)
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