2025年、今年を振り返る年録2025です。きょうは県内政治がテーマです。太平洋戦争の終結、そして沖縄戦から80年となった今年。政治家の沖縄戦に関する発言が物議をかもし、歴史認識が問われる事態も起きました。
その一方で10月に発足した高市政権。総理の「台湾有事」に関する発言に中国側が反発するなど、にわかに緊張が高まる事態も起きています。この一年、何があったのか、改めて追いました。
玉城知事「必要最小限の機能の維持のための予算を提案させていただいたところですが、議会の理解をいただけなかったことは、本当に残念であります」
ことしの初頭、県政で大きな争点となったのは、県がアメリカのワシントンに置いていた事務所の存続問題でした。2015年に事務所を置いた際、株式会社にあたる組織を設置したことで、職員の身分の県庁内での取り扱いなどに疑義が生じたのです。
自民党・無所属の会 大浜一郎県議「我々は到底こうした違法状態が是正をされていない法人の存在を前提とした予算議案を審議することはできません」
事務所の予算継続を巡って県議会でも議論が紛糾、県が設置した調査検証委員会の報告なども受け、県側は閉鎖の方針を決めました。
辺野古新基地や有機フッ素化合物・PFASの問題など、県の立場をアメリカ政府や議会関係者に説明する役割を担ってきた県のワシントン事務所。この間、辺野古新基地建設に疑問を呈した、ワシントンのシンクタンクに日本政府が接触し説得を試みた経緯も明らかになっています。
知事「どの段階で事務所を再開できるかも鋭意検討したい」
玉城知事は先月、関係職員を訓告にしたことなどを明らかにし、事務所の再開に向けて取り組む意向を示していますが、見通しは不透明な状況です。
高良沙哉氏陣営一同「バンザイ!」
一方、7月の参院選、沖縄選挙区ではオール沖縄勢力の推す高良沙哉氏が初当選を果たしています。その選挙の京都選挙区で4選を果たした、自民党の西田昌司議員。
5月3日の憲法記念日、那覇市内で開かれた改憲派の集会で講演した際、ひめゆりの塔の展示内容について「歴史の書き換え」などと発言して物議をかもしました。
ひめゆり平和祈念資料館・普天間館長「本当に乱暴に発言をされた」「あの発言を聞いていると、沖縄戦の実相はどうであれ」「自分の考えていること、意見を言いたいだけの発言だったのではと思う」
自民党県連・島袋会長「ああいう発言は県民にとっては厳しい、地上戦を経験した沖縄県だからこそ思いは同じだ」
沖縄戦を経験・玉寄哲永さん「国の姿勢は歴史を勝手に書き換える方向にもっていって、この人たちの青図を見ているから、その方向をたどろうとするけれど、許されませんよ」
沖縄戦体験者や研究者のほか、各政党などからも県内の反発が相次ぎ、議会も抗議決議を可決。
西田参院議員「私の発言したことは訂正・削除させていただきたい。申し訳ございませんでした」
西田氏は発言を撤回したものの、講演でひめゆりの塔に言及した部分のみを削除するとし、発言の主旨自体は取り消しませんでした。
参政党・神谷代表「沖縄の人たちが戦ったのは米軍で、日本軍が日本人が沖縄の人たちを殺したわけではない。日本軍にやられたという記述があるからおかしいというはなし」
そうした中、参政党の神谷代表が同調する発言をして波紋も広げています。戦後80年の節目にあたる今年は、沖縄戦の実相をどう伝えていくか議論を呼びました。
そうした中、参院選を経て、石破内閣は10月に総辞職、代わって女性初の総理となる高市内閣が発足しました。
高市総理の就任直後、11月9日の国会答弁が周辺情勢に大きな影響を及ぼしました。
高市総理「戦艦を使って、その武力行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケース」
台湾有事を巡るこの発言に中国側は強く反発、日本への渡航自粛や、水産物輸入制限など、対抗措置とみられる対応を相次いでとっています。
木原官房長官「今回のレーダー照射は航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為、このような事案が発生したことは極めて遺憾。中国側には強く抗議し再発防止を厳重に申し入れた」
今月に入って沖縄周辺海域で、自衛隊の戦闘機に中国軍の戦闘機がレーダー照射したとされる事案も発生。日本側と中国側で見解が真っ向から対立し、収束の見通しは立たないままです。
日本と中国の応酬が続いていた先月末、高市内閣で就任した小泉防衛大臣と木原官房長官が相次いで来県。南西諸島の防衛力強化と、沖縄の基地負担軽減について、それぞれ強調しました。
小泉防衛大臣「常に全自衛隊員の先頭に立って、隊員と共に我が国を守る国防という崇高な使命を果たしてまいりたい」
木原官房長官「政府としては普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、基地負担軽減を図るため引き続き全力で取り組む」
様々な政治家の発言が、社会や国際関係に大きな影響を与えてきた2025年。政治家の口から出る言葉の重みを、今後どのように受け止めていくべきなのでしょうか。
今年は戦後80年の節目でした、戦争や平和に対する発言が注目を集める中、改めて政治家の言葉一つで私たち県民の感情だけでなく、国際情勢にも大きな影響を及ぼすことを痛感した1年だったと思います。
来年は県知事選挙もあります。私たち有権者は政治家や候補者の言葉に耳を傾け、その意図や真意は何なのか冷静に見極めていく必要があります。















































