「有事」の果てに(8) 小泉防衛大臣初来県/先島訪問で見えてくるもの

「有事」の果てに(8) 小泉防衛大臣初来県/先島訪問で見えてくるもの

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沖縄を巡る、有事や国際関係などを考える「『有事』の果てに」です。今回は、就任後初めてとなる小泉防衛大臣の沖縄訪問を振り返ります。

小泉大臣は、きのう、おとといと先島地域を巡り、自衛隊部隊の視察や地元首長との面談を行いました。

今回は沖縄本島には入らず、玉城知事との面談もありませんでしたが、そうした中で辺野古新基地建設での動きもこの週末に出てきました。

今回の視察の意図を、読み解きます。

小泉防衛大臣「部隊を受け入れていただいている市長、議会の皆さん、地元の皆さんの声を伺いたいと思っていました」

「有事」の果てに(8) 小泉防衛大臣初来県/先島訪問で見えてくるもの

おととい、きのうの二日間で、宮古島、石垣島、与那国島と巡った小泉防衛大臣。自衛隊部隊の視察や、地元首長との面談などを行っています。

今回、訪問した地域はいずれも、自衛隊の「南西シフト」として、近年になって陸上自衛隊が配備された島です。視察を終えた会見で小泉大臣が発言したのは、自衛隊の家族会などが問題提起したという「過度な抗議活動」の存在でした。

小泉防衛大臣「過度な抗議活動を含め、一部の方々の心ない行動により、隊員だけでなく、子どもたちや家族まで肩身の狭い思いをする。このような状況を必ず変えなければならない」

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宮古島駐屯地比嘉司令「私は許可をとってます」「早くいってください」

念頭にあるとみられるのは、宮古島駐屯地の司令が、抗議活動の参加者を恫喝したとされる問題です。司令は「お騒がせしてお詫び申し上げる」と謝罪しましたが、自衛隊関係団体などからは、報道の在り方も含めて疑問を呈する声も出てきていました。

沖縄県自衛官募集相談員連合会 渡久山光宏会長「色々な意見があるので非難するのが悪いといっているのではない。抗議の仕方とか、非難の仕方とか一方的な声ばかり取り上げるのは、いかがなものかと思っている。そうじゃない声もたくさんある」

「有事」の果てに(8) 小泉防衛大臣初来県/先島訪問で見えてくるもの

今回の先島地域訪問で、こうした関係団体の声に応えた小泉大臣。面談した首長は自衛隊には一定の理解を示していました。

そのうえで、大臣が必要性を強調したのは、受け入れに温度差のあるアメリカ軍との訓練でした。

小泉防衛大臣「日米共同訓練を含む、様々な演習によって、わが国、日米同盟の抑止力、対処力を向上させる取り組みが重要と考える」

嘉数宮古島市長「宮古島市においては、自衛隊に理解を示す人の中にも米軍に対しては様々な思いがある。その思いを受け止めて対応しなければならないという話はした」

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玉城知事「工事が埋立申請書の内容に沿ったものかどうか、あるいは環境やその工事による影響などが生じないかということは、引き続きしっかりと注視をしていきたい」

小泉大臣が先島を訪問している最中、にわかに浮上したのは、辺野古新基地建設での大浦湾側への土砂投入開始の報道です。

政府が2018年に辺野古への土砂投入を始めておよそ7年。今年に入って大浦湾の軟弱地盤を固めるくい打ち工事を始めた政府は、来年1月の名護市長選を前に、工事の進展をアピールする狙いも透けて見えます。

小泉大臣の会見でもこの件で質問が飛びました。

小泉防衛大臣「今後の作業の見通しについては、工事の進捗や気象・海象状況等を踏まえて適切に判断していくものだと承知をしています」

小泉大臣から1週間遅れて今週末、沖縄基地負担軽減担当大臣を兼ねる木原官房長官が来県を検討しているとされ、玉城知事との面談も調整している模様です。

「有事」の果てに(8) 小泉防衛大臣初来県/先島訪問で見えてくるもの

政府が、これまでも繰り返してきた丁寧な説明という言葉。防衛力の強化を進める政府関係者の言葉は、県民にどのように響くのでしょうか。

自衛隊員や関係者のみなさんも、沖縄の地域社会で共に生活しているという状況は、今回小泉大臣が訪問した先島地域だと、住民も特に意識していることだとは思います。

一方、自衛隊という組織に向けられる目を、隊員個々人に向けられるものとは、やはりわけて考えるべきではないでしょうか。

小泉大臣は、与那国島で計画されるミサイル配備について、「地域の緊張を高めるものではない」とも発言しています。

高市総理の台湾有事を巡る国会での発言を発端に、日中関係がぎくしゃくしている今、周辺地域の緊張関係が県民の生活にどう影響しているのか、見極める必要もありそうです。