首里城復興の今を伝える「復興のキセキ」です。ことし秋の完成に向けて正殿を飾る「制作物」も形になりつつあります。平成の復元を知る職人 そして次世代を担う若手の決意を取材しました。
いよいよことしの秋に迫る首里城正殿の完成。建物だけではなく城の“顔”となる制作物も仕上げの工程に入っています。浦添市の工房で進められているのが…正殿2階の王座の間に掲げられていた「扁額」の復元です。
2019年の火災では、3枚が失われましたが、正殿の完成に合わせて制作されているのは、そのうちの一つ「中山世土」の扁額です。今回の扁額、平成のものとは見た目の印象が大きく変わるんです。

まず一つは、地板の色。王国時代の古文書の記録などから「朱色」から「黄色」へと変更されました。さらに、前回の復元では額縁の文様は 金箔の絵で表現されていましたが、令和の復元では木の彫刻を採用。彫り出された9体の龍に金箔を貼り、漆で磨き上げる「金箔磨」と呼ばれる技法が使われることになっています。
県指定無形文化財「琉球漆器」保持者 諸見 由則さん「ポイントは 彫刻なのでできるだけ薄く…できるだけ 鱗とかそういった面が残るように」
彫刻の魅力を最大限引き出そうと集中して取り組むのは、諸見 由則さん。

諸見 由則さん「塗料を固めにすると埋まってしまう。単純に言ったら彫刻が。できるだけ彫刻の場合は薄く塗るのに限る それで大体仕上がりが決まる」
この日の作業は、金箔を貼る前の中塗り。立体感を出すため彫りの凹凸を埋めないよう、漆を薄く重ねていきます。
若手漆芸職人 又吉紘士さん「なかなかやはり無い機会なのでこういう所で実際にやりながら学べるのはありがたいし、いい経験になっている」
復元の現場は、若手が技を磨く場としても活用されています。
諸見 由則さん「今の若い人たちは実践が出来なくて漆器屋さんも殆ど(店を)閉めているし、本土でもそうだが首里城が焼失したのは残念だけど後継育成は物がないとできないのでこういったものを若い人たちが出来るというのは今後の意義がとってもあると思う」
扁額は、今週から彫刻に金箔を貼る作業が始まり、4月ごろの完成を目指しています。

一方、うるま市では正殿を彩る石彫刻の制作が佳境を迎えています。細やかな彫りが目を引く阿吽の「小龍柱」一つひとつ表情が異なる12体の「石獅子」が完成。
そして、首里城のシンボル的な存在ともいえる「大龍柱」は…与那国産のフルシと呼ばれる大きな石を粗く削り大まかに形を造っていく「粗彫り」の開始から2年。
徐々に姿が現れ始め…去年11月ごろから最終工程。仕上げの「詳細彫り」に入っています。
平成の大龍柱を3Dスキャンし再現した石膏原型を参考に、腹部やうろこ1枚1枚を丁寧に削っていきます。
大龍柱を制作 岸本学さん「元の大龍柱を元にしてこの石膏模型がつくられているが当時の職人たちの意気込みや思いも感じ取ってもらたら」

形だけではなく、平成の職人の“思い”まで写し取る。削ると無くなってしまう石という素材を扱うからこそ、緊張感も高まります。
岸本学さん「ここまでいくと絶対に失敗はできないとにかく無事に終わらせたいというその一点」
大龍柱の現場でもベテランの職人と一緒に次世代を担う若手も汗を流します。
大龍柱を制作する 津波夏希さん「(大龍柱を作るという)こんな機会はまずもう無いし、無い方が良いとは思うので。でも今回こんなふうに文化財に携わって作れたというのがすごく自分のためにもなるし次に受け継いでいくためのひとつのパーツみたいなものになれるのかなと思っている」
津波さんと伊計さんのやり取り「帯の加工を施行より気持ち深めにした方が~」
作業をそばで見守り、助言を送るのは伊計安さん。平成・令和と復元に携わってきた職人です。
平成・令和と復元に携わる伊計安さん「若手だから上手くなるとか下手のままではなくて、ちゃんと道しるべを作ってそこに向けてみんなが一緒にやることが大事であってそれが達成できたら彼の彼女の自信にもなるしその方向性というのはどの分野でも一緒だと思う」
平成の経験を生かしながら、令和の現場で若手を育てる。技と思いが重なり、正殿完成の秋が少しずつ近づいています。

制作物とともに、技術と人材が育まれていますね。
玉城アナウンサー「そうなんです!首里城火災はもちろん大変悲しい出来事でしたが、それをひとつのきっかけとして、技術がつながれ、今実を結びつつあるんですよね。若手の職人に技術や思いが受け継がれていくことは沖縄の文化を守っていく、次の世代に残していく上では、とても頼もしいことだと感じます」
今回は、漆、石彫刻の分野を紹介しましたが、様々な技術・職人の手で、ことしの秋に首里城正殿が復元されます。完成した暁には建物は勿論、ひとつ一つの制作物にも注目してみてください。







































