＃IMAGINEおきなわ vol.89 「吠えろ！全島獅子舞フェスティバル」

沖縄の「今」を見つめる「イマジンおきなわ」です。先月、うるま市の勝連城跡で行われた「全島獅子舞フェスティバル」中でも獅子が地域のシンボルとなっている江洲獅子舞保存会。その歴史は、なんと５００年以上！今回、地域の伝統行事を引き継ぐ若獅子に密着しました。

唸る獅子！吠える獅子！立ち上がり、転がり、勇猛果敢なその姿。沖縄の獅子舞は悪霊を払い、五穀豊穣や地域の繁栄を祈願する伝統文化として県内各地で行われています。「縁起が良い」とされる、獅子に頭を齧られて泣きだす赤ちゃんも。そのバリエーションは豊富で、保存会の数だけ獅子の面や演舞があります。

この日、うるま市の勝連城跡に集結した大勢の獅子たち。地元うるま市や那覇市のほか、石垣島や、栃木県の宇都宮市からもやって来ました。注目を集めたのはうるま市の江洲（えす）獅子舞保存会。江洲の人たちには獅子舞にかける、特別な思いがありました。

先月半ば。江洲自治会館では熱のこもった練習が繰り広げられていました。江洲の人たちは年中行事のなかでも殊の外獅子舞を大切にしています。旧盆中日には獅子を筆頭に総勢８０人以上で道ジュネーを行い、ヌンドゥンチで演舞を奉納。地域をあげて盛り上げています。

ことし獅子舞を演じるのは保存会の中でも若手の二人。

獅子の頭 平良 柚葵さん「お客さんを噛む際に、いろいろな人と触れ合うのが楽しい、難しいところは回転をどんなしたらうまくなるのかを改善したい」

獅子の尾 諸見里 竜雅さん「最初は（体が）痛くなったんですけど、練習したら慣れてきた。拍手もらった時はやりがいを感じます」

平良 柚葵さん「これまでにない演舞と沖縄県１位を目指す獅子舞保存会を目指したい」

諸見里 竜雅さん「（順番が）最後なので盛り上げたい」

江洲獅子舞保存会会長 石川 剛士さん「音とか三線、太鼓の叩き方は区民の体に染みついている。他には類を見ない獅子舞の演舞だと思っているので胸を張って良い演舞を皆さんに届けきれればなと思っている」

世界遺産、勝連城跡。阿麻和利が居城したこの場所では「現代版組踊『肝高の阿麻和利』」や地域のイベントが行われています。全島獅子舞フェスティバルが今回この勝連城跡で開催されるのは初めてのことで、多くの人々が集まりました。

子ども獅子舞に始まり、各地域の獅子舞保存会の演舞が会場を熱く盛り上げます。県外から唯一、参加した栃木県の獅子舞。見慣れない獅子？？いえ寧ろ全国的には沖縄のようなモフモフした獅子よりこのような格好が多いんです。

陽が沈んだころ、人々が手にしたランタンが空に放たれ…はせずにＳＤＧｓに配慮した仕様となっていました。灯はＬＥＤライト、糸を持ったまま空に浮かべるのです。そして。

トリを飾る江洲獅子舞保存会の演舞が始まりました！江洲の獅子舞は約５８５年ほど前、１４４０年代の尚金福（しょう・きんぷく）王の時代に遡るとされています。特徴は、その物語性。

当時の江洲村は伝染病の蔓延で人畜に大きな被害を受けていました。暴れまわる疫病、悪の神「フーチ」を退治する福の神を助けるのが百獣の王として君臨する獅子。獅子の力を借りて福の神はフーチ神を倒し、平和と繁栄がもたらされたのです。

観客 那覇の子３人「迫力があって良かった」「前も後ろも息が合ってすごいなと思った」「獅子舞かっこよかった」「合せることが大事なんだなって」「めっちゃうれしいです、ゆきち（Q.ゆきちはめっちゃうれしいんだね？）ウン」

うるま市民「１５年前からここ（勝連城跡）のガイドをやっていた、だから思いがあって。とても良い思い出になった、今日は」

小学生２人「獅子舞がカッコ良かった（Q.どんなところがカッコ良かった？）動き！」「足が速そうだった」

江洲獅子舞保存会会長 石川 剛士さん「本人的にも自信がついたかなトリをやらせてもらって、いろいろな人に江洲の獅子舞を知られたことが良かったと思う」

平良 柚葵さん「会場も盛り上がったので練習より良い成果を発揮できた」

諸見里 竜雅さん「失敗しないでやれたので良かった」

石川 剛士さん「多分本番に強いタイプ（Q.何点でした？）１００点ですよ」

福の神 大城 峻也さん「楽しかった！緊張感と楽しかったのと」

悪の神 玉城 亮太さん「スゴイね、若いね！俺もう失敗しないか心配すぎてもう」

Q.練習すごく頑張っていたけど本番うまくできましたか？

平林 りん子さん「はい」

安慶名 俐々さん「声が出せなかった（Q.これからの課題は？）みんなと仲良くする！」

みんなと仲良く、伝統を継承しながら、吠えろ！獅子たち！

江洲獅子舞保存会は最高齢が８６歳、下は小学生から参加していて、練習では、大人が子どもたちに和やかな雰囲気で教えている様子もありました。

多くの団体が、課題として「継承」を挙げる団体が多い中、江洲の保存会は、地域のみんなが仲良く、継承がうまくいっているのだなーと取材したディレクターは感じたということです。