最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

首里城復興の歩みを伝える『復興のキセキ』です。来年の秋に完成を予定している正殿の復元には、技術を後世につなごうと多くの若手職人が携わっています。今回はそのひとり、最年少のうちなーんちゅ宮大工に迫ります。

玉城真由佳アナ「作業員の手で慎重に正殿を傷つけないようにクレーンに吊られ屋根部分の大きな鉄骨が外されています」

起工から間もなく3年。外装工事が完了したことで、正殿を覆っていた素屋根が徐々に取り外され、日を追うごとに朱色に輝く島のシンボルがその姿を現し始めています。時を同じくして、沖縄からおよそ1500km離れた地でも復元に向けた工程が進んでいます。それはどこかと言うと…

玉城真由佳アナ「恐竜王国・福井県です」

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

日本で最も多くの恐竜化石が見つかっている福井県、県のシンボル「恐竜」が至る所で出迎えてくれます。中心部から少し離れると…のどかな田園風景が広がります。涼やかに稲穂が風に揺れる そのすぐそばで響くのは復興の音。作業に打ち込んでいるのは北中城村出身の宮大工・後藤亜和(あや)さんです。

宮大工・後藤亜和さん「今のうちにたくさん聞けることは聞いて学んでいけたら」

おととしの秋、21歳の若さで現場入りしました。「技術の継承」をテーマに掲げる令和の復元には、次世代を担う若手のひとりとして参加しています。

今年3月、正殿の工事エリア内にあった木材の加工・保管のための倉庫が解体されるのに伴い宮大工らはお引越し。作業の拠点は、沖縄から福井に移りました。福井工場では、正殿の左右に建てられる「両廊下」に用いる部材を7人体制で準備していて、後藤さんも黙々と手を動かします。

宮大工・後藤亜和さん「屋根に使われる軒回り材の加工をしています。触ったことのない機械を使う仕事が増えて すごく日々 新しいことをさせてもらっている」

福井では、市内の宿舎で独り暮らしをしています。

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

宮大工・後藤亜和さん「結構 母や父に頼りすぎてたなと思うこともある 洗濯の仕方とか めっちゃ表示を見るようになったし 料理もめっちゃ調べるようになって クックパッドとか開いている」
「多分2日分作ろうとしてます。自分でもわかるんですよ。これ多いな。兄弟が多かったので その名残が今でも残っちゃってる感じがする」

後藤さんは、10人兄弟の次女として生まれました。建築士として活躍する父・道雄さんの影響もあり、高校卒業後、幼い頃から身近に感じていた大工の道に進みます。

技術も体力も求められる厳しい世界でどんな時も支えとなっているのは「母・典子さん」の存在です。

宮大工・後藤亜和さん「母に電話したら たまにうって涙出てきくる何でも肯定してくれるので。母からの手紙です。梅干食べて夏を乗り切ってくださいと書いてある」

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

仕事で上手くいかないことを相談をした際に沖縄からサプライズで送ってくれたものだと言います。

宮大工・後藤亜和さん「(母からは)すごいねとすごく言ってもらえる。まだまだ本当、全然まだまだだよってなるんですけど。でも褒められたら素直にうれしいというか家族の存在は大きいかなと思う。なんだかんだ」

この日も、母の手料理の中でも大好きな後藤家流「目玉焼き」を翌日の仕事に備え作り置きしました。

宮大工・後藤亜和さん「(福井は)山が本当に多いので たまに沖縄で見ていた海を見たくなって水平線をめっちゃ求めてるところはある」

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

気分転換は休日のドライブです、この日は福井の名所・東尋坊を訪れました。

宮大工・後藤亜和さん「沖縄でも同じように海を見ることもあったので気持ちが同じようになる 寂しさが消えるみたいな感情になる。同じ海を見ているんだなって」

故郷・沖縄を思いを馳せながら、日々の仕事に向き合う後藤さん。正殿工事に携わって、もうすぐ3年目になります。

令和の正殿棟梁・近藤克昭さん「自分で多分やることが大体わかってきているというのがあって初めの頃と比べると 全然 成長している。1個ずつ確実に 技術でも何でも自分のものにしていって1歩ずつ上がっていってもらえたらと思う」

宮大工・後藤亜和さん「頑張ります」「この再建に携われていることは自分の仕事にすごく良い影響を与えているし、すごく良い経験になっているし(首里城が)建っていく姿でもいいし完成した姿を見て心を動かしてもらえたらいいなと思う」

最年少うちなーんちゅ宮大工・後藤亜和さんの決意

またこれまでの作業を通して、「ある思い」が芽生えてきたと話します。

宮大工・後藤亜和さん「いつか沖縄の首里城以外の伝統建築や、色んなまだ復興・復元が必要な建物がたくさんあると思うのでそういうところに自分の技術を生かしていけたら」

最年少の宮大工が刻む決意が、未来へとつながっています。

立派に成長してますね。

玉城真由佳アナ「そうなんです、頼もしいですよね!実は取材に伺った日は沖縄尚学の甲子園決勝の日で、休憩時間は県出身の同僚の宮大工さんたちと応援していました。また、後藤さん、女性の大工は少ない上にしかもライフステージの変化で仕事を離れる場合も多いけれども後藤さんは仕事を続けて、女性大工が働きやすい環境をつくれるような存在になりたいと目標を教えてくれました。今後の活躍にも期待です」

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