シリーズでお伝えしている復帰50の物語。今回は、「祖国復帰運動」が盛り上がる当時の沖縄において、その運動とは別の角度から「復帰」への思想に一石を投じた人物がいました。その思想は、いわゆる「反復帰論」として、多くの人に知られることになりました。
復帰50年を迎えるいま、改めて、当時伝えようとした「復帰」への問いかけを見つめなおします。
新川明さん「一般に反復帰論というのはつまり復帰に反対する、当時、復帰を求めて沖縄が全体的に盛り上がっていた復帰運動に対する、反対運動的な考え方と理解されてるんじゃないかと思います。そこに大きな誤解があるんです。日本から離別して琉球独立国つくると、また同じ小さなミニジャパンみたいな国家をつくる、これでは何の意味もないわけです」
新川明さん。沖縄タイムスの記者として、各地をまわった経験をもとに八重山の島々の生活を書き記した「新南島風土記」や沖縄の自立について書いた「反国家の兇区」、沖縄戦の悲惨さを絵本であらわした「りゅう子の白い旗」など、様々な角度から沖縄を見つめ、伝えてきました。
復帰運動が熱を帯びていた1960年代、日本を祖国とみなして突き進むウチナーンチュに対して、新川さんは大きな疑問を抱いていました。