有人での月周回計画「アルテミス2」は飛行5日目を迎え、人を乗せた宇宙船が54年ぶりに月の重力圏に入ったとみられます。
今回のミッションで宇宙船は、月を周回して地球に戻りますが、2028年に打ち上げが予定されている「アルテミス4」ではいよいよ人類が再び月面に降り立ちます。
アポロ計画から半世紀を経て、月で一体何が行われるのか。その答えは“NASAの科学の心臓部”と言われるゴダード宇宙飛行センターにあります。
いくつものセキュリティーを突破した先で、その実験が最終段階に差し掛かっていました。
LEMS設置責任者 ナオマ・マッコール博士
「(Q.あちらは何ですか?)『LEMS』がどんなものかお見せしましょう。こちらはアルテミス計画の宇宙飛行士によって設置されます。ここにある取手を持って、スーツケースのように運ぶことができます」
「(Q.つまりこれが月に持ち込まれる?)そうです。月で運用されます。非常にエキサイティングなことです」
アルテミス4で月に持ち込まれる3つの科学機器のうちのひとつ、「LEMS」と呼ばれる観測装置です。月に無事到着したら、何が行われるかというと…。
ナオマ・マッコール博士
「まず宇宙飛行士はこのLEMSを月面に設置します。太陽から十分な電力を得られるように向きを調整し、その後、収納スペースから2つの地震計を取り出します。これらがその地震計です。宇宙飛行士が月面地下に設置します。すべての展開が完了したら3つのスイッチを入れてLEMSが月での地震活動を継続的に監視することになります」
あらゆる深さの月の地震や、隕石(いんせき)の衝突、宇宙飛行士が月面歩行するときの揺れも、観測できるといいます。
ただ、当たり前ですが、月とこの実験エリアとでは環境が何もかも異なります。
ナオマ・マッコール博士
「(Q.月は本当にこんな砂っぽい?)そうですね」「(Q.ビーチみたいな感じ?)ビーチよりももっと細かいです。『レゴリス』という月の土壌は、非常に細かいのです。そして大気がなく重力が6分の1しかない月の上にいるので、レゴリスは本当にどこにでも入り込んでしまいます。50年以上誰も月に行っていません。どのように練習すれば確実に設置できるでしょうか」
困難なミッションでありながら、チャンスは限られています。少しでも月の状態に近づけるため、同じような砂を敷き詰めた部屋にLEMSを持ち込み、宇宙服を着て、月面特有の明かりを再現し、シミュレーションを繰り返しました。
NASAが創り出す“宇宙空間”は、見上げるほど大きな巨大な鉄の塊の中にも。
NASA天体物理学者 アキ・ロバージュ博士
「上部の丸い部分から打ち上げ予定の宇宙船などの大型機器を格納します。上部を閉めて、ゆっくり空気を排出し、宇宙空間の極寒の温度まで冷却します。この工程を慎重に進め、開発したものが宇宙空間で機能するか確かめるのです」
「(Q.宇宙と同じ状況にする?)そうです。これは宇宙に打ち上げるほぼすべてのものに対する試験工程です」
「空気はなく宇宙のようにすごく寒い。マイナス200℃くらいかな」
このほかにも、打ち上げに耐えられるのか、実際の轟音(ごうおん)と衝撃を再現するテストもあるそうです。
ナオマ・マッコール博士
「何が起こるかを把握し期待通りに動くか確認するために可能な限りすべてのテストを行わなければいけません。アルテミス計画の有人探査によって月の南極の実態が明らかになるでしょう。50年以上ぶりに新たな月の地震データを得られることに期待を膨らませています」
※「アルテミス2」「アルテミス4」の「2」「4」は、正しくはローマ数字
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