気象庁は、南海トラフ地震の震源域と想定される海域で、津波の観測システムのデータを活用し始めます。これにより周辺の津波を最大10分早く検知できるようになります。
南海トラフ地震の震源域と想定される高知県沖から日向灘付近で、沖合と沿岸部の2カ所に「N-net」と呼ばれるシステムが整備されています。
N-netでは、地震計と津波計を備えた海底のケーブルにより、地震や津波をリアルタイムに観測することができます。
気象庁は6月に整備された沿岸部のN-netについて、これまで津波の観測データの正確性を検証してきました。
その結果、津波警報などの発表に活用できると判断したということです。
これにより最大で10分早く津波を検知することができるようになります。
気象庁 地震津波監視課 桑山辰夫調査官
「沖合システムと沿岸との間で津波を発生させるような地震が起きた場合には、10分程度だが避難するためのリードタイムを取ることができる。沿岸で観測される前に『本当に津波は来る』といった状況になると思うので、避難を継続してもらうという観点ではメリットはあると思っている」
現在、気象庁は、地震の規模や位置を推定することによって沿岸での津波の高さを予測していて、それを基に地震の発生からおよそ3分を目標に津波警報などの情報を出してきました。
津波の検知が早まることで、今後は予測される津波の高さをより正確な値で発表することができるうえ、津波注意報や津波警報の情報などの精度も上がる見込みだとしています。
桑山辰夫調査官
「実際に沖合で津波が観測された場合は、その津波の観測データを使って3分以内に出していた津波警報や津波注意報があっているかどうかという評価をして、もしも過小評価をしている場合は、観測データを使って引き上げるといったことを行う。それが今回10分程度早くなるので、今までよりも早めに切り上げたりすることができるようになる」
気象庁は20日の正午から津波の観測データの活用を始める予定です。



