「自分しかいなくて」“102歳の母殺害の罪”71歳娘が証言台に

「自分しかいなくて」“102歳の母殺害の罪”71歳娘が証言台に

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 老老介護の末、102歳の母親を殺害した罪に問われている71歳の娘が証言台に立ちました。事件はなぜ起きたのか、被告人が自ら語りました。

■「自分しか…」71歳娘が証言台に

 事件当時、娘は70歳、母親は102歳。被告となった娘は、かすれた声で絞り出すように話し始めました。

弁護側
「トイレは一日何回くらい」

小峰陽子被告
「10分おきくらいです」

弁護側
「オムツをしてとは言わなかったのか」

小峰陽子被告
「トイレの度に毎回、言っていました。そのまましていいんだよと言うんですが、理解してもらえなかった。紙おむつをはかせていましたが、自分がはいていることを理解できていない様子だった」

 老老介護の末におきた殺人事件。

 小峰陽子被告は去年7月、東京・国立市の住宅で認知症を患う母親のフクさんの首をひもで絞め付けるなどして殺害した罪に問われています。

小峰陽子被告
「母は私の言うことは聞きません。ごはん食べて、すぐに『ごはん出して』と言われたり、私の言うことをあまり理解していないなと感じました」

 認知症を患っていたという母親を1人で介護していた小峰被告。

 午前中には別に暮らす妹が証言台に立ちました。事件3日前に姉の小峰被告から相談を受けたそうです。

小峰被告の妹
「母親を施設に入れることになったので、見学に行くから母親の世話を見てほしいと頼まれた」

弁護人
「当日の姉の様子は」

小峰被告の妹
「ボーッとしている感じ。道路にいたので私が『おねえちゃん』と声を掛けてもボーッとしているようで、最初は私のことを気付いていない様子だった」

 裁判員からは、こんな質問も…。

裁判員
「1人で介護、大変そうだなと思わなかったんですか?」

小峰被告の妹
「思わなかったです。看護師さんや週1回の入浴サービスがあったので、色んな人に見守られているから安心していました」

 一方、小峰被告は事件当日をこう振り返ります。

小峰陽子被告
「ガタンと大きな音がしてお母さんの方を見たらベッドから下に落ちていました。自分一人で持ち上げられないので助けが必要だと思いました」

弁護側
「それでどうしたのか」

小峰陽子被告
「誰か頼らなきゃと思ったんですが、誰も思い付かなかったんです」

 母親がベッドから転落したのが午前4時。小峰被告は警察や消防に通報して「母親をベッドに戻してほしい」と相談しましたが、駆け付けた救急隊は…。

小峰陽子被告
「同じことが起きても次からは119に掛けないでと言われました。私は次はどうしたらいいのだろうとショックで、気持ちが暗くなって憂うつな気持ちになりました」

 妹は国立市から1時間ほどの場所に住んでいるそうです。

検察側
「事件は早朝4時ごろだったが、もしその時に姉から『助けて』と連絡が来たらどうする」

小峰被告の妹
「『待っててね、すぐ行くからね』としたと思う」

 そして、事件の2日後には介護施設への入居が決まっていたと証言しました。

小峰被告
「この世に自分一人しかいなくて…」

 入居が決まっていたのに、なぜ事件を起こしたのか。小峰被告が自ら語りました。

■“老老介護”102歳の母 殺人の罪

 頼る人がいなかったという小峰被告。

 前回の初公判では、ケアマネージャーが小峰被告の人柄について「本当に真面目で毎日のルーティーン、流れを大事にされてる方」と証言しています。

 検察側によりますと、母親がポータブルトイレで排泄(はいせつ)ができなくなったため、小峰被告は7月17日に「母親を施設に入れたい」とケアマネージャーに相談。2日後、立川市内の介護施設を紹介されると小峰被告は即決しました。

 施設側は被告が介護に疲れていると判断し、事件前日には部屋を確保していたということです。

 妹は24日に入居できると小峰被告から聞いていたそうです。

弁護人
「(施設)入所が決まってどう思った」

小峰陽子被告
「安心したのと、腰痛いのに運ばなくて済むなあと」

 もうすぐ介護施設に入居できるタイミングで起きた今回の事件。

 小峰被告は殺意が沸いた理由を問われると…。

小峰陽子被告
「しっかりとは覚えていなくて、どうしてお母さんを…世の中に自分一人しかいなくて助けてもらう人が思い付かなかった。自分一人で、これをどうにかしないとと思い詰めて、殺すしかないと思ってしまった」