秋田県で4人が次々とクマに襲われ、1人が死亡しました。山形県ではニワトリ小屋の金網を突き破って侵入するなど、生活圏での被害が相次いでいます。
■クマ続出 住宅街で“発砲”も
秋田県南東部の東成瀬村。
消防によりますと、24日午前11時10分ごろ、近くに住む人から「クマに襲われている人がいる」と119番通報がありました。
男性3人と女性1人、合わせて4人がクマに襲われ、頭と顔にけがをしました。
警察によりますと、搬送時に男性1人は意識がなく、他の3人は意識があるといいます。その後、意識がなかった男性の死亡が確認されました。
ハンターが山側に向かって発砲。4人を襲ったクマが茂みに潜んでいるとみられます。
ハンター5人が並んで一斉に発砲。後ろには盾を持った警察官も構えています。
4人を襲ったとみられるクマが駆除されました。
地元の猟友会
「(Q.クマの大きさは?)1メートル10センチ、20センチあるのでは」
「(Q.川の方にいた?)向こうのクルミがある辺り。被害者を見たら何とも言えない。やっぱり駆除しないと」
北海道札幌市では、24日、住宅街の公園で子グマとみられる2頭が目撃され、「緊急銃猟」によるクマの駆除が行われました。
警察が住宅街の道路を通行止めに。現場付近では23日もクマ2頭が目撃されていて、24日現れた2頭と同じ個体とみられています。
そして、午後2時半ごろ…発砲されました。1発目の発砲から2分後、もう一発発砲されました。子グマ2頭は駆除されました。
富山県では正午すぎ、70代の女性が住宅街でクマに襲われ、けがをしました。同じ時間帯には、住宅近くの田んぼを走るクマの姿が。住宅の庭でも、成獣2頭が目撃されています。
女性は、庭の片付けをしていた時にクマに襲われたといいます。
猟友会
「まさかこんな時間帯に(クマが)出ると思わなかった、皆憤っている。皆注意しないといけない。いつでもできるように待機している」
クマに狙われるのは、人だけではありません。防犯カメラが捉えたのは…ニワトリ小屋の金網から顔を出す、ツキノワグマです。
力任せに金網を突き破り、ニワトリのひなに襲いかかります。
山形県小国町の鶏小屋にクマが現れたのは、3日前の午前2時半ごろです。
ニワトリ小屋には、10日前に仕入れたばかりだという「やまがた地鶏」のひなが36羽いましたが、そのうち、34羽がクマに食べられてしまいました。
■クマ“仁王立ち”農作物荒らす
秋田県鹿角市のそば畑。すっと顔を出し、仁王立ちしたままこちらを見つめるクマ。奥にはもう1頭、別のクマも。そのまま2頭のクマは山の方へと姿を消しました。
こうした田畑にクマが現れるのが当たり前の光景となっています。
対応に追われる自治体も、相次ぐクマの出没に頭を抱えています。
鹿角市役所 産業部農業振興課 北林瑛さん
「山間部にクマが出没するという話が今まで多かったが、集落や人が多いところに近年出るようになったと実感している」
鹿角市の山奥では、餌(えさ)となる木の実を探しているのか地面のにおいをかぐ姿が。結局、木の実は見つからなかったのか、クマは奥のほうへと歩いていき姿を消しました。
本来はこういった奥山に生息するクマ。しかし、里山に近い鹿角市では農作物を狙うクマが頻繁に出没。
畑の中心でソバの実を食べるクマ。畑のソバの実がすべて食べられたこともあるそうです。
こうした農作物の味を覚えたクマが山奥に戻らず里山周辺にうろついている可能性があるといいます。
さらに、市街地に出没する要因には住民の高齢化も…。
鹿角市役所 産業部農業振興課 北林瑛さん
「もともと、山間部や山に接した農地でクマがみられていたが、管理されていない農地や山が増えたことにより、クマが昔よりも市街地に出てくるような状況」
クマが街をうろつくのが当たり前になりつつある鹿角市。農作物が豊富にあるため、被害も甚大です。
鹿角市役所 産業部農業振興課 北林瑛さん
「収穫量や販売額にも影響してくるので、市としても農作物の被害に対策していかなきゃいけない」
鹿角市では、クマによる農作物の被害がわずか半年でおよそ1000万円にも上ります。
鹿角果樹協会 山本喜代宏会長
「まだ青いリンゴが向こうの林の庭で食べられたので」
リンゴを育てる果樹園では、クマによって30個ほどが被害に遭いました。
鹿角果樹協会 山本喜代宏会長
「作業中に襲われないように24時間電気柵を入れている」
果樹園の周りに電気柵を設置し、クマの侵入を防ぐことに。
鹿角果樹協会 山本喜代宏会長
「ここ、入りかけて(クマが)堀った。掘ったけど(果樹園に)入れなかった」
被害を防ぐにはこうした対策が必須となりますが、一方で、設置するための費用も必要となります。
そこで、鹿角市では電気柵などの設置に関わる費用の3分の1を補助。
鹿角果樹協会 山本喜代宏会長
「ここら辺の果樹農家はほとんどやっている。補助があるから助かっている。果樹を守るし人も守る」



