300キロのヒグマが箱罠に…クマの町に学ぶ対策

300キロのヒグマが箱罠に…クマの町に学ぶ対策

20 回視聴・6 時間前

 箱わなに入っていたのは300キロの巨大ヒグマでした。岩手では露天風呂でクマに襲われたとみられる従業員が行方不明となる事態に。クマによる犠牲者は過去最悪となっています。

■ハンター「今年は異常」

 北海道でもクマの出没が相次いでいます。

 箱わなの中で何とか向きを変えるヒグマ。鋭い爪を立て、暴れています。

苫前町猟友会 林豊行会長(76)
「これが(体重)300キロ」

 巨大ヒグマと対峙(たいじ)したハンターは今年の状況をこう表現しています。

苫前町猟友会 林豊行会長
「今年は異常。どうしようもない状態になってきている」

■露天風呂に血痕も

 16日も、各地でクマによる人身被害が続出。

アナウンス
「先ほど、この地域でクマの目撃情報が寄せられました」

 岩手県北上市では、行方不明になっている男性の捜索が続いています。

通報(午前11時15分)
「男性露天風呂に清掃に入った50代男性従業員の姿が見えない」

 通報があったのは四方が山に囲まれた温泉施設です。警察が現場に到着すると、複数の血痕とともに、眼鏡などが散らばっていました。

 警察はクマによる被害とみています。

 環境省によると、4月から9月のけが人を含めたクマの被害は全国で108人。亡くなった人は7人となり、半年間ですでに過去最悪の数字です。

 クマ対策への関心は、かつてないほど高まっています。

 現在、レンタルも含め全国で330台導入されている野生動物撃退装置「モンスターウルフ」です。クマを赤外線で感知し、光と音でクマを威嚇。

 今、その効果を高める改良で「ウルフムーバー」に進化中です。

太田精器 太田裕治社長
「下に車輪付けて動かせるように。(今後は)GPSなどを使って自動走行化を目指している」

■“クマの町”ハンターの対策は?

 人々の生活を脅かすクマに、私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。

 16日、取材班が訪ねたのは、体重300キロのクマが捕獲された北海道苫前町。クマの看板が点在する“クマの町”です。

 ハンター歴48年の林さんが、そう呼ばれるキッカケの事件を教えてくれました。

苫前町猟友会 林豊行会長
「三毛別羆事件」

 「三毛別羆事件」。110年前の大正4年、北海道開拓時代に冬眠しない「穴持たず」と呼ばれるヒグマが空腹にまかせて次々と臨月の女性や子どもを食い殺した事件です。

 そんな悲劇が後世に語り継がれる苫前町でもクマの出没は増えています。

 奥から姿を現したヒグマ。一歩一歩、歩くたびにお腹の脂肪が揺れているのが分かります。

 そのわずか3日後には、明らかにサイズの違うクマが箱わなに掛かりました。推定体重150キロのヒグマです。

 複数のヒグマの出没に、ハンターは今年の異常を感じているといいます。 

苫前町猟友会 林豊行会長
「もう…手に負えないだけ増えた」

 北海道で1990年に廃止された「春グマ駆除」。近年の頭数増加を受け、33年ぶりに再開しています。

 ただ林さんは、その効果を疑問視しています。

苫前町猟友会 林豊行会長
「これが右へ左と何回も倒されて」

 その理由が分かる映像です。よく見ると、クマが金属でできたおりを押しています。

苫前町猟友会 林豊行会長
「人間の力と比べものにならない。杭が残っているでしょ、40から50センチ打ち込んである」
「(Q.なぜ箱わなを転がす?)いい匂いのものを入れている。これリンゴかな、なかなかわなに入らないので」

 映像から分かるのは用心深いクマの捕獲の難しさ。そして、「おいしい餌(えさ)」に対する異様な執着です。

 “クマの町”のハンターが改めて語るのは…。

苫前町猟友会 林豊行会長
「クマの好むものは片付ける、近付けない。人間の生活圏に出てきたクマは駆除しなければならない」