女性初の自民党総裁 高市早苗氏どんな人?「志をともにしてきた」安倍元総理と深い絆

女性初の自民党総裁 高市早苗氏どんな人?「志をともにしてきた」安倍元総理と深い絆

新たに自民党総裁となった高市氏ですが、待ち受けるのは“いばらの道”です。衆参両院で少数与党という厳しい状況の中、待ったなしの物価高対策など、実行力を発揮できるのでしょうか?

■“初会見”で連立交渉急ぐ考え強調

4日午後6時から行われた総裁としての初の会見で、記者から最初に問われたのは、野党との連携について。

自民党 高市早苗新総裁
「基本的な考え方の合う政党、特に自民党の党是であります日本国憲法の改正もあります。それから外交政策安全保障政策。そしてまた、財政政策など経済に関する課題もございますので、ですから首班指名より前にというのが、これからのやはり安定した政治ということを考えますと、非常に大事な私の希望だったわけでございますが、自公連立と同じように、やはり政策しっかりと協定を結んでやっていく」

高市氏は、15日にも召集される臨時国会で、総理指名選挙が行われる前に、連立交渉を急ぐ考えを改めて強調しました。

自民党 高市早苗新総裁(先月19日の出馬会見)
「自由民主党の総裁を目指す者として、ぜひとも申し上げなくてはならないことがございます。第1に、時代の要請に応えられる、日本国憲法の改正をする。 第2に、男系の皇統をお守りするために、皇室典範を改正すること」

日本の伝統的な国家観や価値観を重視する高市氏。今回の総裁選では、毎年続ける靖国神社参拝についての明言を避け、“物価高対策”に力を込めました。

自民党 高市早苗新総裁(先月19日の出馬会見)
「いま最も急がなくてはならないのは、生活の安全保障です。これは物価高から暮らしと職場を守ることです。ガソリンと軽油の暫定税率を廃止していく。年収の壁の引き上げについては、これは、私はもともと大賛成でございます。手取りを増やす、これ本当に大事なことですので」

「ガソリンの暫定税率」は、石破政権で、年内廃止を野党4党と合意したものです。また、「年収の壁の引き上げ」は、去年、自民・公明・国民民主の3党が、178万円への引き上げを目指すことで合意した政策。積極的な財政出動も掲げますが、衆参で少数与党になり、野党の協力が欠かせない中、まずは、野党が掲げる政策を進めていくようです。

■連立拡大も?公明代表は懸念伝達

協力する相手となる野党は、高市新総裁をどう見ているのでしょうか?

立憲民主党 野田佳彦代表
「高市さんのことは昔から知っておりますけど、ガッツのある人なんでね。少数与党に衆参で追い込んだわけですから、チャンスですので、総裁が決まりましたけど、まだ総理ではないので、我々にも野党が一致すれば、(政権交代の)可能性はなくはないので」

国民民主党 玉木雄一郎代表
「年収の壁の問題であったり、我々が言っていたことについては、かなり尊重する旨の発言もされていたと聞いていますので、政策協議の要請があれば、政策協議にはしっかり向き合っていきたい」

日本維新の会 吉村洋文代表
「我々自身も、是々非々の立場で、維新の会が考える国家のありかた、本質的な改革、また物価高対策、そういったものをしっかりと議論していきたいと思います」

午後5時、連立を組む公明党の、斉藤代表らのもとへ挨拶に訪れた高市新総裁。連立拡大についての話も出たといいます。

公明党 斉藤鉄夫代表
「首班指名までに連立の拡大と仰っているけれど、これについても連立政権というのは、政策と理念の一致というのは不可欠であって、そんなに簡単にできるものではないと。特に維新の党の「副首都構想」や「都構想」を前提にした議論については、我々は非常に大きな疑問点を持っているということも率直に申し上げたところでございます」

■元キャスター 安倍元総理と深い絆

自民党きっての保守派だという高市氏ですが…

高市早苗氏(1990年 テレビ番組出演時)
「はい、こんばんは。ご挨拶をしなければなりません。暑くなるといろいろと変な人も増えてくるというわけで、ちょっとおかしくなってきました高市早苗でございます」

「元アメリカ連邦議会 立法調査官」として出演しているのは、当時29歳の高市氏。

高市氏はその後、参院選に出馬しますが落選。そして「政治評論家」に肩書を変え、テレビ朝日「朝まで生テレビ」に出演。テーマは政治とカネに揺れる「自民党解体」ついて。

高市早苗氏(1990年 テレビ番組出演時)
「私も選挙を戦ってみて、おカネを受け取る方の気持ちも、渡す方の気持ちも身に染みてわかった」

そして翌年、高市氏は、無所属で衆議院議員選挙に初当選。同期には、安倍元総理がいました。

初当選から13年、第1次安倍政権で、沖縄・北方担当大臣として初入閣。それ以降、女性初の自民党政務調査会長、そして、女性初の総務大臣に就任しました。総務大臣の在任期間は歴代最長です。

長らく行動を共にしてきた安倍元総理が亡くなった後、高市氏は悔しさをにじませました。

高市早苗氏(2022年)
「安倍晋三元総理も私も、全くヒラの議員だった頃からいろんな勉強会をつくって、いろんな活動をともにしてきました。安倍元総理がおっしゃっていたことで、まだできていないこと。憲法改正、そして拉致問題の解決、そしてさらには自分の国を自分で守れる国防力の強化。さらには自分の国に誇りを持てる子供たちの教育。アベノミクスの成果をしっかりと完結させて、持続的な成長をつくっていく。志をともにしてきた私たちが一生懸命働いて、いろんな政策を実現させて発展させていく。それが務めだと思いますので、ともに働いてまいりましょう」

国民は、新総裁に何を期待するのでしょうか。

会社員女性
「自民党がどの程度国民に寄り添っていただけるかというのは、すごく心配であり期待もしつつ、初めての女性総裁ということなので期待というか、いままでなかった女性目線での活躍を期待したい」

会社員男性
「ぜひ経済政策と、安全保障政策をすすめてください」

■総理就任はいつ?スケジュール変更の可能性も

高島彩キャスター
「では、今後のスケジュールについて見ていきます」

板倉朋希アナウンサー
「まず週明け6日に党役員人事が行われます。そして再来週の連休明け15日を軸に臨時国会が召集され、総理指名選挙、そして新内閣が発足する見通しです」

高島彩キャスター
「総理指名選挙まで1週間以上空くのは、なぜなんでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「これだけの期間が空くというのは、これまでなかったことです。いま自民党は少数与党で国会を運営していくためには野党の協力が不可欠です。この長い期間を使って、どういったところと協力していくのか、調整していく期間に充てていたようです。ただ自民党内から聞こえてきたのは『この日程は本来、小泉さんが総裁になった時を念頭に置いて作ったスケジューリングだ』ということで、『高市さんだとゼロベースで野党との交渉を進めていかないといけないので、日程は変わる可能性があるんだ』と、そういった見方を示す人もいました」

高島彩キャスター
「高市さんはどこと連立を組むのでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「高市さんが念頭に置いているのは、国民民主党です。まず経済については“積極財政”、この点が高市さんとかみ合っています。“ガソリンの暫定税率の廃止”、“年収の壁の引き上げ”、これは国民民主党が協力していくための条件にあげています。高市さんはこの2つはいずれも賛成しています。国民民主党とは、ある意味マッチングしているわけです」

■抑制してきた高市カラーどうなる?

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「総裁選で高市さんは、かなり右寄りという印象を和らげて、むしろ現実路線というスタンスを取っていたと思うんですけど、このままいくのか、それともまた元の高市カラーを強く出すのか。そのあたりは公明党も高市さんのスタンスというのを非常に警戒していると思うんですが、どうでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「高市さん自身もそれを懸念しているからこそ、新総裁になった後、いの一番に訪れたのは公明党です。会談が終わったあと高市さんは『温かく迎えてくれた』と言っていましたが、公明党の斉藤藤代表は、かなり厳しい条件を高市さんに突き付けたんです。まず高市さんの“歴史認識”、それから“靖国参拝”、あと“外国人と共生しなければいけない”という点についてかなり懸念を持っていると。あと維新の“副首都構想”も受け入れられないと言っています。『維新と連立を組むことは、ある意味認められない』と言っているんです。そういう意味では、最初から高市さんに相当な足かせをはめた形だと思うんです。10月6日の週前半にも再び連立を組めるかどうか、高市さんと公明党幹部の人で協議が行われますので、ここで色々と見えてくる部分があると思います」

高島彩キャスター
「連立を組まないという選択肢がほぼないと考えた場合、高市カラーをどう出していくのでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「ここがやはり一番難しい。“靖国参拝”について、前回の総裁選では一丁目一番地でしたけど、今回は会見でも「適時適切に判断する」と言って、カラーは封印していました。公明党の足かせもありますし、中国、韓国やアメリカとの関係もありますから、どこまで高市さんのカラーというものが出てくるのか。ここは封印してそのまま進むのか。このあたりは動き出さないと見えない部分があると思います」

■小泉氏らの処遇は?早期解散の可能性も?

高島彩キャスター
「総裁選で戦った4人の処遇についてはどう考えられますか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「挙党一致、全員野球でやると言っていますので、一緒に戦った4人については内閣や党の役員などで処遇することは間違いないと思います。特に今回2位につけた小泉さんを党の要職、または重要閣僚というところに据えるのだろう思います」

高島彩キャスター
「今回後ろから支えていた旧安倍派、そして最後にがらっと動かした麻生派、このあたりの処遇はどうなるんでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「麻生さんは新総裁誕生の立役者ですから、麻生さんに限らず、麻生派の処遇というものは念頭において人事を進めるんだろうと思います。あと高市さんを支えたグループは旧安倍派の議員が多いんです。旧安倍派の議員についても『排除するつもりはない』という趣旨のことを言ってますので、ここをどういったポストにつけるのかというところが非常に重要で、『国民にとって、おかしいんじゃないか』というような見え方をする場合もありますので、ここはかなり気をつけてやる可能性があると思います」

ジャーナリスト柳澤秀夫氏
「党役員人事とあわせて閣僚人事が気になるんですが、特に外交・安全保障。トランプ大統領は今月末に来日しますし、このあとの中国・韓国との外交問題ということも考えると、外務大臣や防衛大臣にどういう人を据えてくるのか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「中国と韓国を念頭にすると、高市カラーを出すなら同じ考えの保守系の人を据えるんだろう思います。ただやはり高市さんは、いま気を遣っているように、『見え方としてバランスをとる』ということに傾けば、リベラルな方を起用して高市さんのカラーと、外務大臣・防衛大臣のカラーを分けるということも1つ考えられると思います」

高島彩キャスター
「最後に、“早期解散” の可能性はあるんでしょうか?」

テレビ朝日 山本志門政治部長
「現実性はまだ低いと思います。自民党の信頼が回復していない。それから参政党や国民民主党の勢いが続いていますから、このあたりを計算して、タイミングをこれから考えていくと思います」