トランプ米政権がキューバへの圧力を一段と強めている。トランプ大統領は1月29日、キューバに石油を供給する国の製品に重い関税を課す大統領令に署名し、エネルギー供給網を通じて体制に揺さぶりをかける姿勢を鮮明にした。キューバの原油輸入はメキシコとベネズエラに大きく依存している。こうした中、トランプ大統領は2月2日、メキシコがキューバ向け石油供給を停止すると述べた。米紙フィナンシャル・タイムズによると、キューバの石油備蓄は約12~15日分にとどまるとされ、供給が途絶えれば社会機能が急速に停滞する恐れがある。現地ではすでに深刻な燃料不足が生活を直撃している。英ロイター通信によると、炭火ストーブを使った調理が広がり、ガソリンスタンドには最大72時間待ちの長い列ができている。首都ハバナでは1日12時間に及ぶ停電が常態化し、市民生活は大きな制約を受けている。さらに米AP通信によると、キューバでは国内で初めて0℃を観測したと発表され、寒波が到来。電力不足と重なったことで暖房や生活インフラの確保が難しくなり、市民生活は危機的状況に近づいている。
こうした事態に対し、ディアスカネル大統領は2月5日、国営放送を通じて「米国の封鎖は公共交通機関、病院、学校、経済、観光業に深刻な影響を与えている」と強く批判。その上で、燃料輸入を再開できるよう必要な措置を講じていく考えを強調した。トランプ大統領は2月2日、キューバ政権の指導部と交渉を進めていることを明らかにし、「合意にかなり近づいていると思う」との認識を示した。その上で、キューバ側が路線を変更し、国民の自由を回復させた場合にのみ、石油禁輸措置の解除を検討するとの考えを強調した。これに対し、キューバのディアスカネル大統領は5日、米国との交渉に応じる用意があると表明。ただし「いかなる協議も外部からの圧力から解放され、国家主権が尊重されるものでなければならない」と述べ、対等な立場での対話を求めた。仏AFP通信によると、キューバ政府は緊張の高まりを受け、毎週土曜日に軍事演習を実施することを決定した。また、米国のルビオ国務長官は1月28日、上院外交委員会の公聴会に出席し、キューバ情勢に関する認識を明らかにした。両親がキューバ系移民であるルビオ氏は、同国の現体制について「独裁的だ」との見方を示した上で、その体制が将来的に転換することは、米国にとって大きな利益になるとの考えを述べた。
1959年のキューバ革命によって、カストロ元国家評議会議長が政権を掌握して以降、米国は軍事、情報など多様な手段を通じて体制変化を促そうとしてきた経緯がある。その象徴的な出来事が1961年の「ピッグス湾事件」。CIA(米中央情報局)が支援する亡命キューバ人部隊がキューバ本土に上陸し、武力による政権転覆を試みたが、カストロ政権側に撃退され失敗に終わった。さらに1975年、米上院のチャーチ委員会は、CIAがキューバ革命後の混乱期にカストロ氏の暗殺を繰り返し計画していたとする報告を公表した。仏AFP通信によると、毒を仕込んだ葉巻を渡す計画や、菌を付着させたダイビングスーツを贈る案、潜水場所に爆発物を仕掛ける構想など、さまざまな工作が検討されていたとされる。その後も米国は政治・経済面で圧力を維持した。レーガン政権期の1982年、キューバは「テロ支援国家」に指定された。ブッシュ政権は「キューバ自由委員会」を設置し、民主化支援を名目とした反体制活動の後押しを行った。一方、オバマ政権は対話路線へと大きく舵を切り、国交正常化に踏み切るとともに、制裁を緩和した。
トランプ政権がキューバへの圧力を強める中、米国に亡命したキューバ人社会では、その政策を一定程度支持する声が上がっている。2021年にキューバから亡命したガルシア氏は、2月6日に米CNNの取材に応じ、トランプ政権について「多くの点で批判できる」としながらも、「ベネズエラとキューバに関しては、ベネズエラ人とキューバ人が長年叫び続けてきたことを実行しているだけだ」と語り、対キューバ政策に一定の理解を示した。
★ゲスト:佐橋亮(東京大学東洋文化研究所教授)、中林美恵子(早稲田大学教授)
★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)
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