「私には国際法は必要ない」として、ベネズエラに介入、大統領を拘束したトランプ大統領。
その野心が次に向かう先は「グリーンランド」です。軍事力に加え、住民1人あたり最大「10万ドル」を支払うという圧倒的なカネの力をちらつかせる中、超大国アメリカの思惑として見え隠れするのは、やはり対中国、そして「レアアース」の存在です。
■トランプ氏狙う「グリーンランド」
(トランプ大統領)「アメリカの偉大な企業がベネズエラの荒廃した石油産業をいかに迅速に再建するか話し合う。」
トランプ大統領は、さっそくホワイトハウスに石油会社の幹部を集め、「ベネズエラの石油事業に参入すれば、莫大な利益がもたらされる」と豪語。
あらためて、グリーンランド領有への野心をあらわにし、軍事力の行使も示唆しました。
(トランプ大統領)「我々がやらなければ、ロシアか中国がグリーンランドを乗っ取ってしまう。ロシアや中国と隣国になりたくない。ディール(取引)をしたい。これが穏便な方法だ。そうでなければ、我々は強硬な手段でやる。」
国際法を無視してベネズエラを攻撃した今、単なる脅しとは受け流せない状況です。
デンマーク自治領のグリーンランドは、北極点を中心とした地図で見ると、アメリカとロシア、中国に挟まれ、安全保障上、重要な位置にあります。
日本の約6倍の面積に、5万7000人が暮らし、その9割は先住民のイヌイット系です。
主な産業は漁業などで、デンマーク政府からの補助金が歳入の半分以上を占めています。
■「10万ドル」米提案 住民は怒り
そこにトランプ流の新たな一手なのか。ロイター通信は8日、アメリカ政府関係者がグリーンランドの住民1人あたり、最大約1600万円の一時金を支払う案を協議したと報じたのです。
(住民)「いくらだろうとノーと言う。グリーンランドは私たちだけのものだ。」
「ダメ。良いと言う人もいるかもしれないけど、私はこのままでいい。」
■“北極海航路”の要衝 NATO対立懸念
なぜアメリカはグリーンランド領有を狙うのか。この島の獲得を試みたのは、トランプ大統領が初めてではありません。
グリーンランドは、1979年に自治権を得る前、200年以上の長きに渡って、デンマークの植民地にされてきました。1946年には、トルーマン大統領が、ソ連封じ込めという安全保障上の理由から、グリーンランドの購入を打診し、拒否された過去があります。
近年は地球温暖化で、グリーンランドの戦略的価値はさらに高まっています。氷が解け始めたことで、太平洋と大西洋を最短で結ぶ北極海が航行しやすくなっていて、その開拓を積極的に推し進めているのが、中国とロシアです。
これは北極海の氷を割って進む、中国の砕氷船。
ロシアも原子力潜水艦を投入し、北極海で軍事演習を行うなど、グリーンランド周辺は緊迫の度を増しています。
トランプ大統領は、グリーンランドを、デンマークには任せられないと不満をぶちまけます。
(トランプ大統領)「デンマークが最近グリーンランドの安全保障を強化するために何をしたと思う?犬ぞりを一台増やしたんだ。本当だ。」
NATO加盟国同士の対立が懸念される中、テレグラフ紙は、イギリス政府が中国やロシアからグリーンランドを防衛するため、軍部隊の派遣を協議していると伝えました。
■「レアアース」巡り米中主導権争い
さらにもう一つ、トランプ大統領の狙いに挙げられているのが“地下資源”です。
グリーンランドのレアアース埋蔵量は150万トンと、赤で示した開発が進んでいない地域では最大規模。これも氷が解け、掘削しやすくなっているのです。
去年はバンス副大統領や、長男のトランプ・ジュニア氏が次々とグリーンランドに足を運び、こう投稿しました。
(トランプ氏の長男 トランプ・ジュニア氏)「彼らはただ自分たちが持つ“素晴らしい資源”の一部を活用し、自分自身と自国、そして子どもたちが繁栄できるようにしたいのです。」
ただ、ここにも中国の影が―。
中国は2018年、「氷上のシルクロード」構想を打ち出し、北極圏での資源開発やインフラ投資を積極的に進めると宣言。実際に中国の政府系企業が鉱山開発会社に出資するなど準備を進めていました。
当時、私たちが取材した、グリーンランド自治政府のエネルギー担当大臣も中国からの投資を歓迎していました。
(グリーンランド自治政府 産業エネルギー担当相(当時))「私たちは中国のグリーンランドでの機会を閉ざすつもりはありません。投資をしたい人、雇用創出などで、経済発展に貢献したい人は歓迎します。」
しかし、その後、環境保護を重視する政権に変わるなどして開発は進まず、今もグリーンランドには手つかずの豊富な資源が眠っているのです。
グリーンランド自治議会の議員からは資源開発については、アメリカの投資に期待する声も―。
(グリーンランド自治議会 クノ・フェンカー議員)「我々は膨大な資源を適切に活用できていない。最も重要なのは、もしアメリカが自国と世界の安全保障にそれほど関心があるなら、アメリカも何かを提供しなければならないということだ。そうすれば、グリーンランドも何かを提供する。それがディール(取引)というものだろう。」
ただ、トランプ大統領の強引なやり方は受け入れられないと反発します。
(グリーンランド自治議会 クノ・フェンカー議員)「住民は怒りを感じているし、感情をあらわにしています。グリーンランドはグリーンランド人のもので、デンマークやアメリカのものではありません。」
1月11日『有働Times』より
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