日本時間の4日未明に会見したトランプ大統領、ベネズエラの大統領を軍事作戦で拘束し、犯罪者としてアメリカ国内で裁くと主張しています。一国の大統領が、どのようにして拘束されるに至ったのか。アメリカのCIAによる周到な準備など、詳細がわかってきました。
■大統領拘束NYで移送一部始終
現地時間3日、午後4時ごろ。ニューヨークの空軍基地に到着した飛行機から降りてくる大勢の人々。
手錠をかけられた男性が、ゆっくりとタラップを降りてきます。拘束されたベネズエラのマドゥロ大統領だとみられます。
この後、マドゥロ大統領はヘリコプターに乗せられます。カメラはその様子も追っていました。
自由を奪われたマドゥロ大統領は、ニューヨーク、摩天楼の上を通過。アメリカの自由と民主主義を象徴する「自由の女神」の上空を通り過ぎていきました。
その後、ニューヨークの麻薬取締局に到着。両脇を抱えられ、こう言いました。
(ベネズエラ マドゥロ大統領)「グッドナイト ハッピーニューイヤー」
3日未明、ベネズエラで拘束されたマドゥロ大統領。当初、アメリカ海軍の強襲揚陸艦「イオージマ」でキューバに移送されました。その艦内の様子をトランプ大統領がSNSに投稿しています。
これがその時の写真。アメリカの有名スポーツブランドのスウェット上下を着用。ペットボトルを持つ手には手錠をかけられ、目隠しもされています。
(NY支局小松靖記者)「こちらがマドゥロ大統領が収容されている拘置所です。高い塀に囲まれていまして、建物に目をやってもほとんど窓がない構造です。ハイリスクで注目度の高い被告が収容されていることでも知られています。」
マドゥロ大統領はアメリカに大量の麻薬を流入させた罪などで起訴されていて、ニューヨークの連邦地裁に5日にも出廷する見込みだと、複数のメディアが伝えています。
■トランプ氏「私の指示で壮大な攻撃」
日本時間4日未明、フロリダにある自身の邸宅「マー・ア・ラゴ」で会見を開いたトランプ大統領。
真っ先に強調したのが、軍事作戦の成果でした。
(トランプ大統領)「昨晩遅く、本日の朝早く私の指示のもと、アメリカ軍はベネズエラの首都に対して大規模な軍事行動を行った。陸海空に及ぶ圧倒的なアメリカの軍事力が駆使され、壮大な攻撃が行われた。これは第2次世界大戦以来、誰も見たことのないような攻撃だ。その目的は無法者の独裁者ニコラス・マドゥロを裁きの場に引きずり出すためだ。アメリカ史上、最も衝撃的で効果的かつ、圧倒的な米軍の軍事力の示威の一つであった。」
この邸宅で作戦をリアルタイムで見ていたというトランプ大統領。
(トランプ大統領)「もし昨夜私が目撃したものを見られたなら、きっと驚かれたことでしょう。あなたがそれを目にすることは永遠にないかもしれないが、まさに信じがたい光景だった。アメリカ軍兵士は1人も犠牲にならず、アメリカ軍の装備品もひとつも失われなかった。重要なことは、軍人1人も死亡しなかったのだ。アメリカ軍は、敵が想像すらできない能力と技能を備え、圧倒的に地球上で最強かつ最も恐るべき軍隊である。」
そして、ベネズエラに大規模な軍事作戦を行った理由については…
(トランプ大統領)「非合法な独裁者マドゥロは、膨大な量の致死性違法薬物をアメリカに密輸する巨大な犯罪ネットワークの首謀者だった。起訴状の通り、彼は凶悪組織を統括し、我が国に致死性の毒物を氾濫させ、この毒物により数えきれないほどのアメリカ国民が命を落とした。何十万人ものアメリカ国民が、長年にわたり、彼のせいで死亡したのである。マドゥロとその妻はまもなく、我が国の司法の力を目の当たりにし、この地で裁判にかけられることになる。」
■“就寝中”の大統領夫妻自宅に突入
3日の午前2時ごろ、ベネズエラの首都カラカスの住民は、複数の爆発音と低空で飛行する軍用機の轟音を耳にします。
(住民)「燃えている。なんてことだ。ほら見ろ。爆発している」
ブルームバーグによれば軍事作戦は3時間足らずで完了しました。ベネズエラの防空網を無力化した後、150機あまりの米軍機がなだれ込み、大統領がいる軍事基地に、陸軍の特殊部隊「デルタフォース」が突入。就寝中だったマドゥロ大統領夫妻を拘束したといいます。
アメリカ軍の攻撃で民間人を含む少なくとも40人が死亡。ベネズエラ政府は、民間施設も標的になったとして「極めて深刻な軍事的侵略だ」と非難しています。
(CNN)「重大な速報です。先ほど、ベネズエラのカラカスで爆発が発生したとのことです。トランプ政権が同地域での軍事行動の可能性を示唆した直後の出来事です。」
(CNNマリー・ミーナ記者 ベネズエラ・カラカス)「市内の重要なエリア、例えば空港やカラカスの主要な部分、大統領宮殿があるカラカス市の西部からも報告が上がっています。」
CNNによるとアメリカ軍の攻撃が行われた場所は首都カラカス周辺の空港や基地など7カ所。マドゥロ大統領はフエルテ・ティウナ軍事基地で拘束されたといいます。
これは、その軍事基地の衛星写真。攻撃された跡が確認できます。
(CNNマリー・ミーナ記者)「街を車で走る人はほとんどいません。人々は安全上の懸念から、首都の自宅にとどまることを決意したのです。マドゥロ氏を取り巻く人々のほとんどはベネズエラにとどまっています。ですから、私たちは彼らの発言に耳を傾け、注意深く見守っています。彼らの発言が、今後ベネズエラで何が起こるかの鍵となるからです。」
■ベネズエラ副大統領が猛抗議
ベネズエラの国営テレビが被害現場をリポートしています。
(リポーター)「ここが攻撃された場所です。現在中継しているこの場所は攻撃の対象となったラ・カルロタ空軍基地です。民間用の運送車両が複数破壊されているのがわかります。未明に起きた攻撃が実際に何をターゲットとして何を破壊したかを確認するのが大事です。」
「マドゥロが必要だ」
カラカス市内では、アメリカへの抗議集会も開かれました。
ベネズエラ最高裁から暫定大統領に就任するよう命じられたロドリゲス副大統領は国営テレビでこう演説しています。
(ベネズエラ暫定大統領に任命 ロドリゲス副大統領)「我々は、マドゥロ大統領とその妻の即時釈放を要求する。我々の自由への決意は固い。ベネズエラで蛮行が行われているのです。」
■CIA“大統領の正確な位置”把握
トランプ大統領は会見でマドゥロ大統領を拘束したときの詳細についても明らかにしました。
(トランプ大統領)「暗闇の中、カラカス市内の照明は我々の特殊技術によりほぼ遮断された。」
(記者)「大統領、あなたは任務のすべてをライブで見ていた数少ない方の1人です。マドゥロ大統領が抵抗した場合に、殺害の可能性も検討していた?」
(トランプ大統領)「その可能性はあった。彼は安全な部屋に入ろうとしていた。安全な部屋はすべて鉄製でできている。だが彼は部屋にたどり着けなかった。なぜなら、私たちの兵隊はとても速く、相手をすごいスピードで倒したからだ。多くの抵抗があった。銃撃戦も数多く発生した。彼は安全な部屋に行こうとしていたがそこは安全ではなかった。なぜなら、鉄の厚さにかかわらず、約47秒でドアを爆破できるからだ。それは非常に厚く重いドアだったが、彼はそのドアにたどりつけなかった。」
ニューヨーク・タイムズによると、CIA=中央情報局は8月から諜報員のグループを秘密裏に派遣。ベネズエラ政権内からの情報提供で、マドゥロ大統領の居場所を正確に把握していました。
マドゥロ大統領拘束につながる情報提供に対し、アメリカ政府が提示した5000万ドル、日本円で約80億円の報奨金が居場所の特定に有利に働いたといいます。
■米国民は“電撃拘束”に賛否
「ベネズエラに干渉するな!」
(箕輪適記者)「ホワイトハウスの目の前では、ベネズエラから手を引けと、トランプ政権を批判する集会が行われています。」
(デモ参加者)「これは違法であり、人々は立ち上がって闘い続け、声を上げ続ける必要があります。米国国民として、この狂気の戦争に反対の意思を表明することが私たちの役割です。」
一方、賛成の声も…
「今回は(トランプ大統領を)支持します。現状では必要だったからです。マドゥロは支持されておらず、選挙でも選ばれていません。国民にも酷いことを行っていました。」
■麻薬密輸船攻撃100人超殺害
ベネズエラ攻撃に踏み切ったトランプ大統領の本当の狙いは何なのでしょうか?
アメリカ軍は9月以降、ベネズエラ沖の公海上で麻薬密輸船に対する海上攻撃を繰り返し、これまでに100人以上が殺害されています。
さらにトランプ大統領は先月上旬、「地上作戦を始める」と明言。
(トランプ大統領)「まもなく地上でも同じ作戦を始めるつもりだ。我々は密輸ルートも製造場所も、どこに集めているかも把握している。」
11月中旬にカリブ海に入ったのは世界最大とされる原子力空母「ジェラルド・フォード」。
さらに、「イオージマ」など上陸作戦の要となる、強襲揚陸艦も…
「サザン・スピア」と名づけられた軍事作戦。先月初めの時点でカリブ海周辺に、少なくとも12隻の艦艇と原子力潜水艦が集まっていました。アメリカの艦艇がこれだけ大規模に展開するのは1962年のキューバ危機以来だといいます。
■“石油ねらい”?タンカー拿捕も
反米左派の独裁政権が続く南米ベネズエラ。
「植民地になるのは拒否だ」
(ベネズエラ マドゥロ大統領)「植民地には決してならない。奴隷には決してならない」
トランプ政権は、マドゥロ大統領とその妻らが麻薬の密輸に関与しているとして退陣を求めていました。
アメリカによる攻撃の4日前、マドゥロ大統領はメディアの取材に、「アメリカと話し合う用意がある」と語っていました。
(ベネズエラ マドゥロ大統領)「我々に麻薬対策の取り決めを話し合う準備ができていることはアメリカ政府も理解しています。石油が必要であるならば、いつでもどこでもアメリカの投資を受け入れる用意はあります。」
実は、攻撃の数時間前、マドゥロ大統領が最後に会談したのは、ベネズエラと友好関係にある中国の特使でした。
(ベネズエラマドゥロ大統領)「ウマ年です。ウマのように進んでいます。過去にない試練を超える完璧なパートナーシップです。いつも勝利にむけて。最高速度でね。」
しかし…
マドゥロ大統領が拘束されたことについて中国外務省は…
(中国中央テレビアナウンサー【中国外務省の談話】)「アメリカが主権国家に対し露骨に武力を行使し、一国の大統領にまで手を出したことに強い衝撃を受け、強く非難する。アメリカに対し、国際法と国連憲章の趣旨と原則を順守し、他国の主権と安全を侵害する行為をやめるよう促す。」
ベネズエラの石油埋蔵量は世界トップとされますが、その主な輸出先は中国で、総輸出量の約80%を占めています。
実際にトランプ政権は先月10日、ベネズエラ沖で石油タンカーを拿捕したとする動画をSNSに公開。トランプ大統領がベネズエラの港への石油タンカーの出入りの阻止を命じるなど圧力を強めていました。
(トランプ大統領)「ベネズエラは一方的にアメリカの石油・資産・石油掘削装置を押収し売却し、我々に数十億ドルもの損害を与えた。彼らは我々の財産をすべて奪った。あれは我々の財産だった。我々が築き上げたものだ。しかしこれに対処しようと決心した大統領は1人もいなかった。代わりに、彼らは1万マイルも離れた場所で戦争を戦ったのだ。我々はアメリカの才能と意欲と技術でベネズエラの石油産業を築き上げたのに、過去の政権下で社会主義政権がそれを奪い取った。しかも武力によって奪い取ったのだ。」
そして、今後のベネズエラへの関与については。
(トランプ大統領)「我々は安全かつ適切で賢明な移行が実現できるまで、この国(ベネズエラ)を運営し続ける。つまり、他者が介入して過去長年にわたって続いてきた状況が再び生じるような事態は避けたいのだ。ベネズエラの石油事業は長年にわたり完全に失敗に終わっている。本来可能な生産量や実現可能な状況と比べれば、ほとんど何も採掘できていなかった。我々は世界最大級の米国石油企業を現地に派遣し、数十億ドルを投じて壊滅的な状態の石油インフラを修復させ、同国に利益をもたらす事業を開始させるつもりだ。そして必要であれば、第二の、はるかに大規模な攻撃を仕掛ける準備は整っている。」
麻薬対策を理由に他国に武力行使を行い、国家元首の拘束にまで踏み切ったことは、国際法上の正当性が問われる行為です。
国連安全保障理事会は5日午前に緊急会合を開催します。
国連のグテーレス事務総長は、アメリカの攻撃は「危険な前例になる」と指摘し、「地域全体に懸念すべき影響を及ぼしかねない」と声明を発表しています。
ベネズエラと友好関係にあるロシアの外務省も「アメリカはベネズエラに対して武力侵略行為を行った。このような行為を正当化する口実には根拠がない」と批判しています。
一方、イギリスのスターマー首相は「イギリスはかねてよりベネズエラにおける政権交代を支持してきた。我々はマドゥロ氏を非合法な大統領と見なしており、政権の終焉について何の涙も流さない」と述べました。
高市総理は4日午後SNSに「日本政府として、これまでも、一刻も早くベネズエラにおける民主主義が回復されることの重要性を訴えてきました。ベネズエラにおける民主主義の回復、及び情勢の安定化に向けた外交努力を進めてまいります。」と投稿しています。
1月4日『有働Times』より
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