安全保障を担当する官邸関係者が「日本は核を持つべき」と発言したことが波紋を広げています。19日午後に会見を行った中国外務省は「警戒すべきだ」と述べています。
■自民党内から辞任求める声も
官邸関係者
「私は核を持つべきだと思っている」
「個人的な見解」と前置きし、そう話したのは高市総理大臣に安全保障政策についてアドバイスをする立場の総理官邸関係者です。オフレコを前提とした記者団による非公式取材の場で出たもので、安全保障環境が厳しさを増すなかで日本も核兵器を保有すべきとの見解を示しました。
木原官房長官
「報道については承知をしておりますが、個別の報道の逐一についてコメントすることは差し控えさせていただきます。政府としては非核三原則を政策上の方針として堅持をしていると申し上げておきます」
非核三原則とは核兵器を「持たず」「作らず」「持ち込ませず」のこと。今回の発言は個人的見解としながらも歴代の政権が堅持してきた政府見解とは異なるものです。
高市総理周辺
「いくらオフレコの場とはいえ慎重を期すべきだ。軍国主義の再来だなどと言われたら厄介かもしれない」
自民党 中谷前防衛大臣
「政府の立場として個人的な意見を軽々に言うということは控えるべき。けしからん話ですよね」
立憲民主党 野田代表
「今回の発言者は核軍縮担当でしょ?不拡散担当でしょ?その担当がこういうことを言っているんじゃ、どうしようもないじゃないですか。常に総理と接して安保政策に提言をする人が、こういう人がそばにいては私は良くないと思います」
公明党 斉藤代表
「罷免(ひめん)に値する重大な発言だと思います。適格性に欠いていると」
進退を問う声は政権内からも…。
政府関係者
「普通は核兵器なんて口にしない。自分であれば迷惑が掛かるから辞める」
自民党中堅議員
「辞任不可避でしょう。日中関係がこじれている真っただ中で、中国からすれば『ほら見たことか。日本は危ない』と世界に吹聴する材料を与えてしまった」
■中国外務省「警戒すべきだ」
その中国は…。
中国外務省 郭嘉昆副報道局長
「もし情報が事実であれば、事態は非常に重大です。日本側には一部の人が国際法を破って核兵器を所有したい危険なたくらみを持っていることを意味しています。中国と国際社会は高い警戒と注視をすべきです」
■被団協は“不信感”進退は?
世界で唯一、戦争被爆国である日本。
日本被団協 田中重光代表委員
「80年前、広島、長崎で人々がどんなに苦しんで死んでいったか。核を持てば安心かといったら、かえって危険が増すわけですよ。絶対、核兵器で武装する考え方はなくしていかなければならない」
総理就任前、非核三原則の「持ち込ませず」について見直しが必要との考えを示していた高市総理。今回の核保有発言で原爆の被害者は不信感を募らせています。
広島県被団協 佐久間邦彦理事長
「非公式とはいえ、私はそういう考え方が総理の中にもそういう考え方が強いのではないかと」
小泉防衛大臣
「(Q.高市総理は三原則のうち『持ち込ませず』の変更を主張。大臣は今後も一切変更すべきではないという考えか?)『持ち込ませず』については2010年当時の岡田克也外務大臣による答弁を引き継いでいく考えです。もしも日本の安全が守れないような事態が、核の一時的な寄港を認めないと守れないということであれば、その時の政権が政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明をすると。これは同じ考えですし、引き継いでいきたいと思います」
波紋を広げている核保有発言。官邸関係者については与野党から進退を問う声が上がっています。



















