去年、東京や千葉など1都3県で発生した一連の首都圏闇バイト強盗事件のうち、千葉県市川市の強盗傷害事件を指示したとして20代の男4人が逮捕されました。
<1都3県で18件が連続発生>
東京や千葉など1都3県で発生した首都圏闇バイト強盗では去年8月から3カ月ほどで18の事件が発生し、被害総額は2000万円以上に上りました。
去年10月18日に警視庁などによる1都3県の合同捜査本部が設置され、これまでに実行役や金の回収役など延べ74人が逮捕されましたが、指示役は逮捕されていませんでした。
<100人以上の捜査員投入指示役4人を逮捕>
合同捜査本部は一連の闇バイト強盗事件の指示役を特定すべく、1年以上経った現在も100人以上の捜査員を投入し捜査を続けてきました。
その結果、去年10月に発生した千葉県市川市の強盗傷害事件で実行役らに指示を出したとして福地紘人容疑者(26)、村上迦楼羅容疑者(27)、齊藤拓哉容疑者(26)、渡邉翔太容疑者(26)の4人を強盗傷害容疑で4日と5日に逮捕しました。
<千葉・市川市の事件「パトリック」など9つのアカウント>
この事件は、実行役3人が市川市柏井町の住宅に侵入し、住人の50代の女性を脅して暴行し重傷を負わせたうえ、車などを奪った事件で、実行役3人はすでに逮捕されています。
捜査関係者によりますと、指示役の4人は知人で、秘匿性の高い通信アプリ「シグナル」を使って実行役らに指示を出していました。
「パトリック」や「ビリー」など9つのアカウント名を使っていたということです。
<急展開のきっかけ…千葉県内の傷害事件>
事件が大きく動いたのは、去年9月に発生した一連の強盗事件とは関係のない千葉県内での傷害事件などに関わったとして、4人のうち、福地容疑者、村上容疑者、齊藤容疑者の3人が逮捕・起訴されたことでした。
押収した3人のスマートフォンを解析するなどしたところ、市川市の強盗傷害事件に指示役として関与している疑いが浮上したのです。
<複数台のスマホ、50以上のアカウント、「シグナル」…周到な準備>
一連の強盗事件では、指示役らはそれぞれが複数台のスマートフォンを準備し、あわせて50個以上のアカウントを使用していました。
指示役同士のやり取りも「シグナル」を使うなど自身に捜査が及ばないよう周到に準備していたとみられています。
また、奪い取った金が指示役の福地容疑者らに届くまでに複数人の回収役をかませ、指示役に近付くほど回数を重ね実績があり一定の信頼性がある人物に金を回収・運搬させていました。
<回収役への指示…「お前の家はわかっているから」「殺すぞ」>
スマホの解析などから回収役に指示をしていたのは、4人のなかで福地容疑者とみられています。
福地容疑者は強盗事件の他に別の特殊詐欺事件でも回収役に指示をしたとして8月、警視庁に逮捕されています。
さらに、福地容疑者は特殊詐欺事件に関わらせた回収役らを一連の強盗事件でも使っていたとみられています。
これまでに逮捕された実行役らの裁判では、指示役らの残忍性が明らかになりました。
福地容疑者らは「シグナル」の通話アプリで実行役らに被害者を殴るなどの暴行を指示していますが、ためらう実行役らには闇バイトに応募した際に提出させた免許証などの写真を引き合いに出し「お前の家は分かっているから」「殺すぞ」などと言っていました。
<実行役が「U」「D」「タタキ」を選択>
一方で、捜査関係者によりますと、福地容疑者らは実行役らに「U」=「受け子」や「D」=「出し子」のどちらに応募するのか、または、報酬が高い「タタキ」=「強盗」を選ぶのか、自身で選択させていて、実行役が自ら犯罪行為に加担したという背景もあるということです。
<捜査情報の共有・集約と緻密な取り調べ…合同捜査本部「事件解決のスタート」>
ある捜査幹部は「今回の捜査に関し、重要だったのは1都3県で捜査情報を共有し、合同捜査本部に実行役らから押収したスマートフォンを集約して解析したこと、実行役ら一人ひとりから緻密な取り調べを行い、その供述から指示役らを浮上させることができた」としています。
その一方で、「今回の検挙はあくまでスタートであり、今後、1件でも多くの事件を解決し被害者の無念を晴らさなければいけない」と話しています。
合同捜査本部は18の事件の住宅などが狙われた経緯や奪われた金の流れなどを詳しく調べるとともに、今回逮捕した4人以外にも関与した人物がいないかなど事件の全容解明を進めるとしています。







































