ここからは「早わかりビズ」です。りゅうぎん総合研究所の研究員に分かりやすく解説していただきます。きょうの担当は、志良堂 猛史(しらどう・たけし)さんです。よろしくお願いします。
志良堂さん「よろしくお願いします。
きょうのテーマはこちら『SIP(エスアイピー)防災OKINAWA2025の実施』についてです。「SIP防災」聴き慣れない言葉です、こちらはどのような取り組みか、そもそも、なぜこのような取り組みが必要なのか?まずは、その背景から教えてください。
志良堂さん「県内では、昨年11月に北部豪雨災害が発生しました。その際、現地の災害状況が関係者間で迅速に共有されないという課題がありました。その課題解決に向けて国の災害研究機関である防災科研と連携し、沖縄で全国初の防災に関する総合検証訓練を実施します。
では、北部豪雨災害でどんな問題が起きていたのか整理していきましょう。
志良堂さん「昨年の11月8日から、北部では線状降水帯が連続して発生し、東村では観測史上最大の雨量を記録しました。広域で道路寸断や土砂崩れが起き、一部地域では河川の氾濫が発生し、就寝中の住民に命の危険が迫りました」
具体的にはどんな課題が明らかになったんですか?
志良堂さん「このような災害が県内で発生した場合、沖縄県では、災害情報を共有するための手段として『防災情報システム』がありますが、これが十分に機能していませんでした」
なぜ、機能していなかったのでしょう。
志良堂さん「理由はいくつかありますが、最も大きな要因は、災害情報の入力を被災している自治体職員に任せていることだと考えます」「自治体の職員は、殺到している住民からの問い合わせや避難所開設などの対応に追われており、災害情報の入力などできる余裕がありません。実は、このことは、ここ沖縄県だけの問題ではなく、全国で同様のことが起きています」
それは大きな課題ですね、どのような対策が必要になりますか?
志良堂さん「はい、国ではすでにこの課題解決に向け、取り組みが進められています。それが『SIP戦略的イノベーション創造プログラム』と呼ばれるものですが、その中に防災に特化した研究があります。
「私たちは、その中でも災害対応のプロである、消防・警察・自衛隊など災害実動機関との連携強化を目指したプログラムに注目し、その研究プロジェクトを沖縄県に招致することを考えました」
それが「SIP防災OKINAWA2025」ということですね。
志良堂さん「その通りです。被災地の自治体職員だけに災害情報の提供を求めるのは困難です。災害対応のプロである災害実動機関のご協力を得ながら全方位で災害情報を共有する仕組みが必要です。ですが、実動機関は指揮系統が異なり、それぞれ独自のシステムを持っているため、連携が困難という側面もあります」
「そこで『共通のデジタル基盤』で被害状況を把握・共有し、対策本部が迅速に意思決定をする、環境の整備が必要になります。その実現のために、防災科研のご協力をいただき、沖縄県内で『全国初』の検証訓練を実施します」
その検証訓練というのは、どんな内容なんでしょうか?
志良堂さん「大規模災害の発生を想定し、消防・警察・自衛隊・海上保安庁・医療機関などの実動機関が参加して、合同調整に重点を置いた検証訓練を行います」「そこでは、共通のデジタル基盤を使い、災害情報の共有を音声認識や画像認識、生成AIなどの最新技術を活用して検証します」
「この『総合検証訓練』は、災害研究機関である『防災科研』が主催者となり、中立的な立場で実施します。今回は12月21日、南城市にご協力をいただき実施します。さらに次年度以降も県内での実施を検討しています」
全国の防災面での課題解決を、ここ沖縄県で行うのは有意義ですね。さらに沖縄県は島嶼地域としての課題もあります。
志良堂さん「おっしゃる通りです。沖縄県は、東西1,000km・南北400kmにわたる島嶼地域のため、離島への支援や情報伝達が難しいという特徴があります。さらに南海トラフ巨大地震のように大規模災害が発生したときには外部からの支援が得られず、孤立する可能性が高いです」
「こうした『地域の特性と弱点』を踏まえて限られた人員で対応していくためにはデジタルを活用した防災体制の構築『防災DX』が不可欠です」
北部豪雨災害で捉えた課題を、次にどうつなげるか。これは、大きな一歩になりそうですね。
志良堂さん「はい、沖縄の『防災DX』を進める重要な取り組みとして、りゅうぎん総研も協力し、しっかり検証して県の防災力向上につなげたいと思います」
きょうは、りゅうぎん総合研究所の志良堂 猛史(しらどう・たけし)さんに解説していただきました。ありがとうございました。
志良堂さん「ありがとうございました」
以上、ビジネスキャッチーでした。










































