26年前の主婦殺害事件で女を逮捕 夫の執念…26年間家賃を払い“現場を保存”

26年前の主婦殺害事件で女を逮捕 夫の執念…26年間家賃を払い“現場を保存”

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 1999年に名古屋市の主婦・高羽奈美子さんが殺害された未解決の事件で、愛知県警は先月31日に容疑者を逮捕しました。容疑者は高羽さんの夫の同級生でした。

■夫の執念 26年間“現場を保存”

 四半世紀、解決を見なかった殺人事件。逮捕されたのは、名古屋市に住むアルバイト・安福久美子容疑者(69)です。

 この瞬間を待ち続けていた人がいます。

高羽悟さん(69)
「捕まってよかったなという思いしかない」

 高羽さんは、26年前の殺人事件で妻を失いました。

 1999年、名古屋市西区。高羽さん家族3人が住むアパートに、何者かが訪れ、妻・奈美子さん(当時32)を殺害しました。

 死因は首などを複数回刺されたことによる失血死でした。遺体のそばには、まだ2歳だった一人息子の航平さんが無傷で座っていたといいます。

 最愛の妻を突然奪われた高羽さん。高羽さんは犯人を見つけ出すため、事件現場となった部屋をそのままの状態にすることを選びました。

高羽さん
「ここで絶対現場検証をやるんだということで、それは僕らの犯人に対するメッセージというか、いつまでも諦めない」(2007年)

 住まいを別に移しながらもアパートを借り続け、これまでに2200万円以上の家賃を支払っています。アパートは時が止まったように事件当時の状態を保ったままとなっています。

高羽さん
「これが犯人の血なんですね」

 玄関に残された血痕。現場から逃げ去った犯人のものです。血だまりを踏んだのか、くつの跡まで、くっきりと残されています。

 この血液のDNA鑑定から、犯人はB型の女性で、足跡からくつのサイズは24センチであることが判明。さらに目撃証言から、年齢は40代から50代、手に傷を負いながら逃げていたことが分かりました。

 しかし、そこから捜査は難航。犯人に近づくことができないまま、月日が過ぎていきます。

 高羽さんは街行く人に情報提供を呼びかけ続けます。

高羽さん
「がんばってはいるが、なかなか“かすり”もしない。犯人になかなか行き当たらない。DNAがある限りひょんなことで捕まることもあるので、警察の方の力にすがるしかない。頑張って犯人にプレッシャーをかけたい」

 多くの取材を受ける一方で、カメラの前で泣き言や涙をこぼさなかった高羽さん。その思いを語ったのは、2010年の「時効制度見直し法案成立」の会見の場でした。

高羽さん
「私がテレビに出ることによって、きっと犯人は見ていると常々思ってメディアには顔をさらしてやってきたので。犯人の動機が分からない現在、犯人が私が泣くと喜ぶのではないか、絶対そんなことだけには屈したくない」

■容疑者は被害者夫の高校同級生

 執念を燃やし続けてきた高羽さんに先月31日突如舞い込んだのが…。

愛知県警本部
「発生から約26年の時を経て、被疑者を殺人罪で通常逮捕しました」

 安福容疑者が1人で出頭し、先月31日逮捕されました。決め手となったのは、高羽さんがそのままにしてきた現場の血痕と安福容疑者のDNAが一致したことです。

 高羽さんが感じたのは“安堵(あんど)”でした。

高羽さん
「ほっとしました。信じられないかもしれないが26年やってきたから」

 さらに、高羽さんにとって意外な事実も判明します。

高羽さん
「(警察から)『悟さんの知っている人』、高校の同級生と。『心当たりないですか』と聞かれ、『テニス部?』と聞いたら『あたり』。きょう捕まった人の名前を出したら『あたりです』と。(警察が)『どうしてあてられたの?』と。バレンタインの時に手紙とかチョコレートもらっていた。(高校時代に)他の女性とは思い出が何もない」

 安福容疑者と高羽さんは事件の前年、部活のOB会で顔を合わせていました。

「(安福容疑者が)一言言ったのは『結婚して頑張っている』と。『結婚したんだ』と、その一言ぐらいしか話していない」

 安福容疑者は容疑を認めていて、警察は動機などを調べるということです。

「長かったが、トータルで見たら一生懸命いろんなことにトライしてきた。26年かかったが捕まってよかったという思いしかない」

(「グッド!モーニング」2025年11月1日放送分より)