岩手県でクマに襲われたとみられる67歳の男性が遺体で見つかりました。現場となったのは、住宅の敷地内です。この敷地内で、銃でクマが駆除されました。
■クマ駆除 カメラの前で発砲3発
物々しい雰囲気に包まれた現場。身構える人々。人々が車の陰に身を潜めた次の瞬間、銃声が2発。さらに猟友会の関係者が踏み込むと…。
カメラマン
「車待機の指示が警察からありましたので待機します」
クマがいた茂みのほうに、猟友会や警察関係者らが続々と集まってきます。
男性を襲ったとみられるクマは駆除されました。
カメラマン
「クマの体長を計測している模様です」
クマは体長1.5メートル。4歳の成獣とみられています。
この住宅の敷地から遺体となって発見されたのは、住民の佐藤富雄さん(67)。遺体にはかみつかれた痕や爪痕が残されていたことから、クマに襲われたとみられています。近くには飼い犬とみられる犬の死骸も残されていました。
近隣住民
「まさか亡くなるっていうのは、クマに襲われるなんて考えもしなかった出来事」
「昔の仲間だから、残念としか言いようがないね。言葉がないね。まず、今のところはね…」
今回駆除されたクマとの関連は分かっていませんが、この付近では先週からクマの姿が目撃されていて、別の住民の犬も被害に遭っていました。
■都内クマ カメラの前に巨体
各地で相次ぐクマによる人的被害。
スタッフ
「えっ、クマ?クマじゃん!」
カメラに向かってゆっくりと体を揺らしながら進んでくるクマ。今月、東京・日の出町に設置したカメラが捉えた映像です。
東京の西部・多摩地域で多発するクマの目撃情報。日の出町周辺で多く確認されていることが分かります。
住民
「きのうは(枝が)折れてなかった。つい最近だね。まだ、そんなに時間経ってない」
クマが食べた跡なのか。カメラを設置すると…。
時刻は日が暮れて間もないころ、一頭のクマが姿を現しました。柿の木を通り過ぎ、落ちた枝の方に下りていきます。
激しい息遣いの後、クマは一気に柿の木をのぼっていきます。10分ほど柿の木の周りをうろつくクマ。何かの気配に気づいたのか、逃げるように斜面をかけ上がっていきました。
翌日も再び…。
住民
「いた!ほらほらほらほら。いた、いた」
見回りの人のライトに照らされると、クマは山へ帰っていきました。
2夜連続でクマが出没したこの家の住民は、このように話します。
「怖いね。だから、なるべく裏の窓は開けないようにしている」
■犬が吠えても気にせず 柿を食べるクマ
さらに100メートルほど離れた別の住宅に設置したカメラにも、クマの姿が捉えられていました。
荒い息遣いのクマ。こちらも狙いは柿の実なのでしょうか。暗がりのなか、土ぼこりが舞い、何かをかんでいるような音が響き渡ります。この時の様子を、住民も撮影していました。
住民
「すごい音がしたので。ガサガサガサガサ。おかしいなと思ったので行ったらクマがいて、しばらくしたらこっちの柿を食べてて」
柿の木にのぼり、前足で器用に枝を引き寄せ、柿の実を食べている様子が分かります。ライトに照らされても、飼い犬が吠えても、気にする様子はありません。
住民
「(木に)スルスル登っていって、あそこ枝が折れてると思うんですけど、あれはみんなクマが折った跡です。(柿が)青い時には来なかったので。やっぱり赤くなって、おいしい時期を分かっているんですかね。(クマが出たことは)もう全然ないです。30年住んでますけど初めてです。東京に来るなんて」
都内のクマの映像を専門家に見てもらいました。
岩手大学 山内貴義准教授
「あの大きさなので、4~5歳以上いっててもおかしくないと思います。(体長)150センチくらいあるでしょう。でも、もうちょっと太っててもいいのかな、今の時期であれば。餌(えさ)はないと思いますね、やっぱり」
■防犯カメラが捉えたクマの姿
クマの出没から5日後、山間だけでなく住宅地でも。午後10時ごろ、日の出町を走行中、歩道から飛び出してきたクマ。運転していた女性は驚き、急ブレーキをかけました。
都内でのクマの目撃情報は、他にもあります。
東京都あきる野市の住宅街では、9日の未明に住宅の玄関先に設置された防犯カメラがクマの姿を捉えていました。
防犯カメラの映像を見せてもらうと、深夜1時の玄関先にクマの姿がありました。顔を上げ、辺りを何度か見渡した後、家の裏手へ消えていきました。
住民
「(防犯カメラ)見たらびっくり。(秋田などのニュースを)テレビ見てね、『向こうでや』と思ったけど他人事じゃなくなった。(クマを見たのは)初めて、生まれてからだから75年で一度もない」
■秋田県 今年これまでに1000頭以上駆除
25日、秋田市内ではライトに照らされ現れたツキノワグマ。巨体をゆすり、車の前を通り過ぎます。撮影されたのは幹線道路も近くに通る住宅地。秋田駅から2.5キロほどの場所です。
さらに10分後にも、車の目の前を走るクマの姿が。そのまままっすぐ走り去っていきました。
市の中心部で相次ぐクマの出没。
「クマなんですけど。クマなんですけど」
ドライブレコーダーに映っていたのは秋田大学近くの歩道を猛然と走る1頭の子グマ。さかのぼると、子グマが現れる直前、同じ歩道には自転車で走る人の姿もありました。
24日にはクマによる死者も。住人4人が相次いでクマに襲われた秋田県東成瀬村。
駆除されたのは体長1メートル20センチのメスグマ。襲われた佐々木喜行さん(38)が死亡、他の3人は重傷です。佐々木さんは畑で作業中、クマに襲われた2人を助けに入ったところ襲われたとみられます。
クマの駆除にあたった猟師は、このように話します。
「あのクマも本当に、あんなにサイレン鳴らして人がざわざわいる所で(こちらの)様子を見ているのはちょっと考えられない」
「結構痩せて太ってはいなかった。食い物がないから下りてきたんだろうな」
人の生活圏に近づくクマ。自動ドアから侵入する事例もあったことから、湯沢市内のうどん専門店では入り口の自動ドアを手動に切り替えて営業を続けています。
稲庭うどん小川 阿部智江さん
「いつ来られても不思議じゃないという恐怖心があります」
そう話すのには、理由があります。
阿部さん
「きょうの朝6時半ぐらいなんですけど、クマがうちの前に出て。(クマを)見たのも初めて。柿の実を順番に食べている感じだった」
秋田県では今年度2人が死亡、52人のけが人が出ています。27日も秋田市で女性の遺体が見つかりました。遺体の損傷が激しく、付近ではクマの目撃情報があったそうです。
今年これまでに1000頭以上駆除したという秋田県。
秋田県 鈴木健太知事
「本当にもう限界を超えている。1カ月以上はこういう被害が多発している状況が続いております。何らかの力をお借りしないと、まわらないという状況です。非常に危険を伴う業務であることと、純粋にマンパワーの不足なんですね。この2つを考えると、私は自衛隊にお願いするほかない」
鈴木知事はこの後、小泉進次郎防衛大臣に面会し、自衛隊の派遣を要請する予定です。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年10月28日放送分より)









