診療報酬を不正に受給したなどの罪に問われている産婦人科医院長の男の裁判で那覇地方裁判所沖縄支部は被告の男に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。

判決文などによりますと沖縄市にある「あいレディースクリニック」の院長北條英史(ほうじょう・ひでし)被告(53)は、4年前に、自然分娩だった出産を帝王切開手術と偽るうその診療報告を提出するなどしてこれまでにおよそ374万円をだまし取った罪に問われています。また、元病院スタッフの女性に無理やり触れた罪にも問われています。

北條被告は起訴内容を認めていましたが、診療報酬の不正な受給について「必要のない治療や薬剤の投与をしたか?」という質問に「やっていない」と否定していました。

QABが元患者に取材したところ、そうとは言い切れない実態が浮かび上がってきました。

元患者・Aさん(仮名)「切迫早産なりかけているから手術しようって言われて」「(手術のために)入院して、まわり(の入院患者)が切迫早産だったのが、一番おかしいと感じました」

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7年前に第一子を妊娠して3カ月ほど経過した時にAさんは北條被告から「開いた子宮を縛る手術をして、早産を避ける必要がある」と指摘され入院して手術を受けました。驚くべきことに、Aさんが入院していた当時、Aさんと同じように切迫早産で入院すべきだと言われていた患者が15人のうち6人もいたというのです。

初めての妊娠で不安が多いなか、手術が本当に必要なのかどうか疑問を抱いたAさんは北條被告に手術の理由を聞いたことがあったといいます。

元患者・Aさん(仮名)「これ(エコー写真)見せただろ、というのは。エコー見せられて、これが(子宮口が)開いているんだよっていう、本当に小さい黒い感じの丸だったんですけど、自分なんか初産だったから、(先生の)言う通りにしないといけないというのがあったから」

術後の通院を続けるなかで募る不信感…、出産を1カ月後に控えた頃、意見の食い違いから北條被告に「もう診きれない」と言われ、Aさんは転院を余儀なくされました。

出産まで面倒を見てくれた転院先の病院では「手術によって子宮が破裂し、母体やお腹の赤ちゃんに危険が及ぶ可能性があった」と告げられたのです。

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元患者・Aさん(仮名)「本当に必要だったら、一から説明してほしかったですね」「患者を金としか見ていないと思う」

このような事例は氷山の一角だった可能性があります。北條被告の逮捕をきっかけに、あいレディースクリニックに通っていた患者を対象に有志の弁護士による電話相談会が実施されました。

相談会に携わった・金高望弁護士「(相談)件数の多さに驚きました。いろいろな相談会を私どももやっておりますけども、ここまで短時間に多くの相談が寄せられたというケースは本当にないです」「不必要な医療だったと疑われるケースがかなりの数あるな、という印象を持ちました」

相談会では96件の問い合わせがありそのうちの9件は本当に必要な医療だったか見極める必要が出てきといいます。弁護士らは民事裁判を起こすことも視野にカルテを取り寄せるなど詳しく調べる手続きを進めています。

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きょうの判決で那覇地裁沖縄支部の林田海(はやしだ・かい)裁判官は診療報酬の詐欺について「医師兼経営者の立場や制度を悪用した巧妙で悪質なものであり、被害金額も高額。詐欺の方法が定まっているなど高い常習性が認められ、厳しい非難に値する」と指摘し、強制わいせつについては「被害者の意思を顧みず、性的欲求を満たす身勝手な動機に酌むべきところはない」としました。

そのうえで「刑事責任は重い」として北條被告に懲役3年・執行猶予4年の有罪判決が言い渡されました。北條被告は控訴しない方針です。