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海岸ではよく目にする、ギザギザの葉っぱが特徴のアダン。昔はあの葉を使って帽子が作られていました。いまではほとんど作られなくなったアダン葉の帽子作りに取り組む女性がいます。彼女の思いを取材しました。

中城村の工場。ここで、アダン葉の帽子を作っているのは、糸数弓子さんです。今ではほとんど作られなくなった帽子です。

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糸数さん「全部アダンなんですけど。本島はこのとげありが多いんですよ。」

読谷村の海辺に広がる木、ほとんどがアダンの木です。

糸数さん「昔作っていたころはどこにでもあって。昔は海には絶対あったみたいで、今は埋め立てとかもされているのでだいぶ減ったりとか。」

沖縄の海辺で多くみられるアダン。葉の長さは1メートル程、古くからこの葉や幹で草履や鞄などが作られていました。

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読谷村渡慶はの歴史をまとめた資料によりますと、アダンの葉の帽子は1904年に作られたことをきっかけに、瞬く間に普及したと記されています。そして、沖縄の土産物と言えば「アダン葉帽子」と言われる程、ブームになったのです。

しかし、沖縄戦によって、アダンの葉の多くが焼けてしまって、帽子作りが衰退し、今では作り手がほとんどいません。

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糸数さん「これ位の量で大体1個ちょとくらい。」

糸数さんがアダン葉帽子と出会ったのは2年半前。

糸数さん「ただ本当に作ってみたいなっていう気持ちが一番最初でしたね。」

糸数さんの祖母が昔アダンの帽子を編んでいたことを知り、興味が沸いたのがきっかけでした。伊江島にアダン葉帽子の編み方を知っているおばあさんがいると聞いた糸数さんは、何十回も通い、編み方を教わりました。

収穫したアダン、まず最初に取り掛かるのは、トゲ取りから。その後シークヮーサーに付けて脱色し、およそ一か月干します。干したアダンは一度水に戻し、同じ太さにして編み始めます。

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糸数さん「編む時は本当に私自身が楽しい気持ちで編んでいるので、すごい楽しくて。これを編んだらどんな形になるのかなとか、今回はどんな風にできるかなとか、これを誰が被ったらどういう風に似合うかなとか、そういうことを常に考えながら編んでいます。」

1週間かけて下準備をした帽子は編むのに、さらに3日程かかります。アダン葉帽子は、丈夫で蒸れにくく、何よりも軽いのが魅力です。

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糸数さん「今は私にとってはすごく大切な帽子になっているので。せっかくあった技術が今なくなろうとしてはいるので、それが今後もずっと受け継いでいって広めることが出来たらすごくいいなと思っています。」

若い人たちにも被ってほしいとデザインを工夫しながら、糸数さんは、今日もアダン葉帽子を編み続けます。

昔は「沖縄パナマ」とまで呼ばれ一世を風靡したアダン葉の帽子、いまはなかなかなかお目にかかることはないようです。糸数さんの帽子も一般に販売されているわけではなく、注文を受けて作っているそうです。伝統を受け継ぐという気持ち、広がっていくといいなと思います。