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さて、12月7日、宜野湾市・緑ヶ丘保育園の保護者らが、アメリカ軍ヘリの落下物が見つかってから1年になるのに合わせ行った政府要請。「子どもたちのために、諦めない」チーム緑ヶ丘のお母さんたちに密着しました。

12月7日、緑ヶ丘保育園のお母さんたちは、東京上野の街頭に立っていました。

与那城千恵美さんは、「皆さんのお子さんは安心して学校へ通えていますか?私たちはただ安心・安全で学校へ通わせたい、ただそれだけの思いでここに立っています」と演説しました。

今までは、ごく普通の生活をしていたお母さんたち。その前の日は。

「両面テープ係するよ」「これは、あっち側に持っていこう、ホワイトボード。ちゃんと見てから帰ってくださいね」と準備していました。

2度目となる要請を前に、子どもたちの写真や手作りの資料を会場に並べていました。

保育園の屋根にアメリカ軍ヘリからの落下物と思われる部品が見つかって1年。お母さんたちの願いはただ、「子どもたちの命を守りたい」というものでした。

しかし原因は「調査中」と繰り返していた政府。今度こそ、何らかの進展があるかもしれないと臨みましたが…。

防衛省担当者は、「米軍に対し安全面に最大限配慮するとともに地元の皆様に与える影響が最小限にとどまるよう引き続き求めてまいりたいと考えております」と回答し、外務省担当者は、米軍機の実際の飛行については風向き等の気象条件等様々な要因があることから経路以外の航路の飛行を余儀なくされることも想定されるところでありましてこのことをもって日米合同委員会合意の違反であるとは考えていないところです」と話しました。

そして、警察庁からは…。「現時点においては当方物件が米軍航空機からの落下物ということについて特定には至っていないというのが現状です」と報告が。

さらに。「米側からすべての(部品の)在庫を確認した回答をふまえているとういうこと、現時点においてこれはまさに米軍関連事案だという特定がないことを踏まえまして現時点で基地内での事実確認にはいたっていない」と話しました。

警察はアメリカ軍が自分たちが落とした部品とは認めていないため、基地内に立ち入るなど踏み込んだ捜査をしていなかったのです。

与那城さんは、「米軍は部品を認めていますよね、米軍のものって。なのに米軍関連事案の特定ではない?じゃあなんですか?これは。どこの事案ですか?この1年間、何を調べているんですか?」と聞くと、警察庁担当者は、「個別事案の詳細についてはお答えを差し控えますけれども各機関の協力を得ながら事実確認を進めているところ」と繰り返すだけです。

新たな報告が聞けるどころか、同じ答えが繰り返され、要請行動の手ごたえは前回よりも悪いものとなりました。しかし、お母さんたちはこの1年で、前よりも強く、たくましく戦っています。

街頭で与那城さんは「同じ親なら私たちの気持ちわかると思います。よろしくお願いします」と訴えました。

宮城智子さんは、最後に「(政府は)諦めさせるためにこういう態度なのかなと、そういう風に今まで来て変わらないのかなと感じられて、だから絶対あきらめない」を話しました。

キャスター:ここからは取材にあたった比嘉さんです。

比嘉:今回は3つの省庁に要請しましたが、各省庁の回答は、お粗末なものでした。このうち、外務省は、「そもそも、保育園上空は飛行ルートの外であり、なぜ毎日のようにアメリカ軍ヘリが飛行するのか」と訴えるお母さんたちに対して、「気象条件などで、経路以外を飛ぶ場合もあるから違反ではない」と開き直りました。

比嘉:さらに警察庁の報告なんですが、「落ちてきたものがアメリカ軍ヘリからの落下物かどうかは確認中」とした上で県警が落下物の再現を行うことを考えている、その準備をしているということだったんです。

キャスター:準備というのは、具体的に何をしているということですか?

比嘉:QABが県警に対し取材をしたところ、県警は「再現のためにアメリカ軍に対して部品と同じものの提供を求めているが、提供がない」ということなんです。つまり、再現すら、厳しい状況なんです。

キャスター:アメリカ軍に足元をみられている感じがしますし、日本政府の弱腰の姿勢も見えてきますよね。

比嘉:はい。やはりこの事件の背景にも地位協定の壁があります。今回調べてびっくりしたんですけど、日本の航空法では、飛行前に安全点検をするよう定められているんですが、常識だと思えるこうした取り決めすら、地位協定の下の特例法で除外されているんです。つまり、仮に安全点検が十分ではないと判断されても日本の警察が立件するのは難しいと言えます。

比嘉:お母さんたちの要請行動に同行する中で、政府の対応は理不尽だと思いましたし、地位協定はひどいとも思います。ただ、お母さんたちの諦めない姿には勇気をもらったような気もします。県民がこうして諦めずに訴え続けることでしか、状況は変えられないとも思いました。