2018年5月18日 18時30分

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

さて、海に住む生物の中で海中を優雅に泳ぐマンタは、ダイバーたちだけでなく、沖縄の海の豊かさを象徴するものとして、多くの人に人気です。

しかし、実はその生態はよくわかっていません。

そこで今、最先端のマンタ研究に取り組む沖縄美ら海水族館の飼育員たちの姿を取材しました。

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

ダイナミックな動きを見せるナンヨウマンタ。訪れる観客の視線を惹きつけます。

その珍しさから、最近注目を集めるブラックマンタも。水族館の目玉、ジンベエザメと共に、黒潮の海・大水槽を盛り上げます。

観光客「度肝を抜かれるようでした」「なかなか見たことがなかったので良かったです」

実は、その飼育の難しさから、生態がよくわかっていないナンヨウマンタ。水族館では、餌をはじめとする飼育する技術力を積み重ねる一方、世界でも類を見ない「生態の解明」が進んでいます。

飼育員の松本さんと村雲さん。息の合ったコンビです。この日、月に一度の「血液検査」と「エコーチェック」が行われました。

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

まずはゆっくり近づいて様子を伺います。

飼育をはじめてわかること。マンタは、それぞれ癖や好みが違うそうです。

沖縄美ら海水族館魚類チーム松本瑠偉黒潮展示係長「(頭に触れて)動きが止まるのもいれば止まらないのもいたり。逆に肩だけで止まったり、あとは頭鰭(とうき)で止まったり。いろんなタイプがいるんで、それの個体に合わせてそれぞれ止めるようにしています」

落ち着いた一瞬の隙をついて、素早く針を挿入!出来るだけストレスを与えないように、手際よく済ませます。

続いては、エコーの検査です。およそ3歳のオス。体に触れようとしたその時。

逃げられてしまいました。プロの飼育員とはいえ、一筋縄ではいきません。

再び挑戦。松本さんがマンタを落ち着かせます。今度はうまくいきそうです。村雲さんがやさしくエコーを取ります。およそ20分で作業は完了。こうしたことも珍しくないそうです。

沖縄美ら海水族館魚類チーム松本瑠偉黒潮展示係長「今日のご機嫌は普通でした。いつも通りです。一回怒ってましたけどね。ビュンビュン走り回ってダメなときはそれで中止しますけど、あのくらいは普通のマンタの反応なんで、問題はないと思ってやりました。悩みますね(笑)。悩むときは悩みますね(笑)」

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

ここからも大事な作業。採取した血液は、すぐに分析室に運ばれ、後日、詳しく調べるために、必要な成分を抽出して冷凍保存されます。

さらに、さきほど撮影されたエコーの動画。この日は、大きな異常は見られませんでしたが、定期的なチェックは欠かせないといいます。

沖縄美ら海水族館魚類チーム村雲清美さん「因みに今、映った、この辺が全部肝臓で、非常に板鰓類、サメとか肝臓が大きいのですが、肝臓で、これは胃の断面になります。本来ならこの辺に精巣が映りこんでくるはずなんですね。ひょっとしたらこれがまだ未成熟な精巣なのかなと思う」

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

成熟した場合の画像と比べてみます。

沖縄美ら海水族館魚類チーム村雲清美さん「もう発達しているここ赤く囲った部分が精巣で、はっきり臓器としての断面が映りこんできて、ここが螺旋腸という腸になるんですが、同じような場所で比較してみたら、今回のものは、そういった臓器が全然映り込んでこないので、まだ精巣の方の発達もしていないという判断をしました」

こうした飼育員のたゆまぬ努力が報われた瞬間がありました。およそ10年前、ナンヨウマンタの繁殖に世界で初めて成功しました。

あれから10年。このオスのマンタを飼育し続けることで、また新たなことが分かりました。

水族館が去年発表した論文で、オスは5年で成熟することが、世界で初めて報告されたのです。

沖縄美ら海水族館魚類チーム野津了さん「3年から6年くらいで性成熟するんではないかと。でもこれはどうしても野外での観察で、かなり断片的な情報だった」

Qプラスリポート 沖縄美ら海水族館 マンタ研究の魅力

研究チームが注目したのは、オスのホルモンの値。点が示すのは、2歳以降に採取された血液中の男性ホルモン、テストステロンの値です。

縦の線が示すのは、大水槽の中で、このオスがメスを追いかける行動が確認されたタイミング。そのうち最初と最後では、交尾する様子まで確認されました。

その間の、ホルモンの値を見てみると、それまでに比べ高くなっている事がわかり、性成熟が5年と世界でも初めて裏付けられたのです。

沖縄美ら海水族館魚類チーム野津了さん「彼ら(ナンヨウマンタ)はすでに保護対象種となっていて、今後水族館とかで増やしていくために、重要になってくると思う。まだ誰もやっていない、まだ誰も明らかにしていないことに、最初に我々が触れる。そういうところに非常に魅力を感じています」

沖縄美ら海水族館魚類チーム松本瑠偉黒潮展示係長「こうやって生き物にじかに触れて、そういうものが見れるので、一緒に泳いで、一緒の空間の中で作業ができるというのは面白いですね。はい。」

水族館では、メスの研究もすでに始まっています。その結果が見られるのも、そう遠くはなさそうです。

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